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中世ヨーロッパ

「前にも話したと思うのですが、神が人間のフリをして人間の世界に行くのが流行っています」

「あ~、なんか聞いた事があるような気がします。

 確かハンティングとかしに行くってのを聞いたような」

「それはもうトレンドから外れて居ます。それと、もう一つありまして」

「はい?」

「福田さんのせい、いや、お陰で日本の小説も流行ってまして」

「俺の“せい”ってなんですか?! ……何か関係が?」

「つまりですね、神が人間の体で『神様にチートを貰って異世界転移しました』とやるのが流行りだしたのです」

「ちょ、ちっと待って下さい! 理解が追いつきません! 考える時間を下さい!」


え~とつまり、神が日本人のフリして日本に行き、そこで死ぬフリする。

で、その後に神様に会って、チートを貰ったフリして異世界に行く。

最後にその異世界でチート(元々持ってる能力だけど)を使って楽しむ。


こういう事?


「はい、その通りですね」

「え~と……楽しいの?」

「楽しいらしいですよ。福田さんに分かりやすく言えば、遊園地等でやるような『体験型のRPG』って感じですかね」

「あ~、なるほど」


確かにそう言われれば楽しそうだ。

元々神様だから、その世界で怪我する事は無いし。

だって次元を少しだけ変えるだけで見えるけど触れなくなるんだから。

小説の世界を体験出来るなら面白いんだろう。


「楽しそうなのは分かりました。

 でも、俺に何か関係が? 日本の小説が流行ったのは俺のせいじゃないですからね?」

「そこじゃないんですよ。

 福田さんはそういうラノベに詳しいですか?」

「いや~、読んだ事はあるけど、もう昔の話だよ?

 今ならナグラさんの方が詳しいんじゃない? 今でも購入して読んでるみたいだし」

「なるほど。では御二方にお伺いします。小説の異世界ってどんなイメージですか?」

「えっ? え~と、剣と魔法の世界?」

「魔王が居る?」

「貰ったチートがクソだと思ってても活用出来る?」

「中世ヨーロッパな町並み?」

「食べ物が地球と同じだけど名前が違う?」

「モンスターや魔物が居る?」

「それ言ったらドラゴンが居るとか?」

「今はスライムの方が有名よ。かわいいのから強いのまで」

「へ~。あっ、後はエルフとかドワーフとか?」

「オークが女騎士を襲うとか?」

「もう結構ですよ。まぁ、そんなイメージですよね」

「っていうか、俺からしたら、今居る世界もそんな感じですけど」

「この世界は除外します。福田さんが居るので、観光地に認定されていませんので」

「は、はあ……」

「つまりですね、観光地、いや観光世界を決めるのに、そういうイメージに沿った場所を選定するのですよ」


そりゃそうか。

チート貰って異世界転移したら、地球で言うなら原始時代だったらイヤだもん。

なるべくイメージに近い所が良い。


「全てに該当するような世界は多くありません。

 しかもその中で観光がOKな世界は更に少ないです。

 ですが、候補地を3箇所ほど選定しました」

「あ~、何かイヤな予感がします……。もしかして大丈夫かどうか観光して来いとか言うんじゃ?」

「いえいえ。事前に既に調べていますよ。ただ、イメージを違うとクレームが多くてですね」

「クレーム?」

「はい。その世界は、

 中世ヨーロッパくらいの発展度・魔法有・冒険者ギルド有・異種族存在有・モンスター存在有、って感じです」

「おおっ、理想的じゃないですか」

「ですよね? でもクレームが来るんです。

 そこで福田さんとナグラさんに、何が悪いのかを調べて欲しいのです」

「どうやってです?」

「観光に行った神が撮影した物がありますので、それを見てもらえたら」

「了解です」





え~と、今見終わったんだけどさ……。

確かにこれはクレームが出るわ!

なかなか怖いぞ、この世界!

想像してた異世界と違う!!


「どうですか? 何か問題がありましたか?」

「いやいやいやいや、問題だらけですよ!」

「えっ?! どの辺りでしょう?」

「まずですね、宗教が強すぎる!」

「ラノベでもそうでしょう?」

「そういうのもありますけど、ここまでじゃないですよ!

 普通政教分離じゃないんですか?!」

「いやいや、中世ヨーロッパは王が支配する為にキリスト教を利用してましたけど?」

「むむむ……、じゃあ、薬! 何で麻薬が普通にあるんですか?!」

「普通ですから。子供が夜泣きした場合も、ミルクにお酒や麻薬を混ぜて飲ませて静かにさせるんです」

「怖い!! それ、本当に地球の中世ヨーロッパでされてたの?!」

「はい。そうですよ」

「マジか?! じゃ、じゃあ、子供! 子供が大人と一緒に猥談してたりギャンブルしてるけど?!」

「子供は正確には子供ではなく『不完全な大人』です。6歳くらいから大人扱いですよ。

 ラノベでもそうでしょう?」

「確かにラノベでも、貴族とか王族だとそういう扱いだったりするけどさ!

 一般人までそんなんじゃないじゃん!」

「そうですか?」

「そうなの! こんな所を中世ヨーロッパに忠実にしなくて良いの!

 ラノベの世界観を期待して行ってるんだから、もっとラノベっぽい所が良いの!」

「しかしですね。普通に人類が成長していけば、こうなるのは当然ですよ。

 教育や医学、つまりは文明ですね、これが発達するまでは無茶苦茶なものですよ」

「じゃ、じゃあ、ある程度文明が発達した所で良いです! そっちを候補にしてください」

「ある程度文明が発達していると、戸籍の問題が出てきます。

 その世界に送り込んでも、戸籍無しでは何も出来ませんよ?」

「……と、とにかく、こういう世界は却下です! もう少し検討してください」

「しかし3箇所ともこのような感じなのですよ?

 無限にある中から、福田さんが探してみますか?」


それはイヤ。

そんな事言われても無理。自分が転生する場所選びだって苦戦したのに。

う~ん、良い世界は無いものか。


「は~い」

「どうした、ナグラさん?」

「福田さんのさ、島みたいなのを作れば良いじゃない」

「どういう事?」

「その島にさ、役者さんを配置してさ、モンスターもダンジョン内に設置して。

 要は島全体がアトラクションみたいなのを作れば良いんじゃない?」

「なるほど。それなら希望通りな町並みになるだろうし、ラノベを再現出来るか!」

「そういう事。役者さんはこの世界から雇えば良いでしょ。

 それに宿屋とか冒険者とかは普通に居るから、役者じゃなくてもそのまま移住してもらえば良いでしょ」

「良いかも! どうですか、イイクラさん?」

「ふむ。確かに良いかもしれませんね。その方向で検討してみましょうか」

「そうしてください」

「しかもこの世界なら、神が何かしようとしても福田さんが抑えられますからね。

 では早速帰って会議にかけたいと思います」

「チョット待って! 今、不穏な事言った! あっ、帰るな! 待て!!」


……逃げられた。

良い案だと思ったけど、これって、俺に負担が増えるだけじゃね?!

ここで書いた中世ヨーロッパの内容は適当です。

正しい部分もありますが、創作の部分もあります。

「こんなんじゃない!」とツッコまないでください(笑)

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