団長の相談(前)
ある日、ムカイ団長が訪ねてきた。
「お久しぶりですね」
「久しぶり。元気そうで何よりだ」
「ところで、今日は? いや用が無くても来てもらっても全然良いんですけども」
「ちょっと相談があってな。
出来れば福田君の仲間の女性も一緒に聞いて欲しいのだが……」
仲間の女性?
ナグラさんとコタニさんの事か。後キジマさん。
チョロに呼んできて貰ったら、皆家の近くに居たようですぐに集まった。
カンダさんとミミちゃんも一緒に来たので、勢揃いしてしまった。
「揃いましたよ~。それで相談とは?」
「うむ……。実はな……。
え~~~~……、この度、こ、婚約する事になったのだ」
「へ~、おめでとうございま………………えーーーーーーーーーーーーーっ?!!」
皆も同様に驚いている。
そりゃそうだ。だって、言い方が悪いかもしれないけど、オッサンだもん。
「ここここここ婚約?!
ムカイさん、未婚だったんですか?!」
「いや、違う! 違うぞ!!」
「じゃあ、何で?! この国の貴族は重婚OKでしたっけ?!」
「違うわっ! いいから話を聞けっ!!」
話を聞く。
前の奥さんとは死別したらしい。
そしてここからは相談。
前の奥さんとの間には、子供が出来なかったらしい。
で、貴族の話になるけど、跡継ぎは必要。
ムカイさんは弟が居るので、そっちに任せたいらしい。
弟の言い分は、現在サポートをしているがトップはムカイさん。
だから後妻を貰って、跡継ぎを作って欲しいようだ。
その子が育つまではサポートを続けるからと。
そう言えばムカイさんは貴族だったわ。
で、結婚となると関係してくるのが家格。
この国は比較的甘いけど、それでも相手は貴族が望ましいらしい。
で、弟が頑張って婚約者を見つけてきたそうだ。
相談内容は「どうしよう?」って事。
「したら良いんじゃない?」
「いや……でもな…………」
「ああ。前の奥さんを愛していると」
「いや……そうはっきり言われるとアレなんだが……」
「遠回しに言っても同じでしょ。だから再婚はしたくないと」
「うむ……まぁ……そういう事になるかな…………」
デカいオッサンがテレても需要は無いぞ。
いや、ナグラさんなら欲しがるか?
って、ナグラさん? 何で目を輝かしているの?
「政略結婚! 悪役令嬢!!」
「うおっ! びっくりした!! 何だよ、急に?!」
「こういう場合は、相手の令嬢は悪役だと決まってるでしょう!」
「あぁ、ラノベの話ね。でもそれだと、ムカイさんを狙ってる人がもう一人は必要じゃないか?
で、取り合いになってるんじゃないの? それで悪役令嬢は姑息な手を使って邪魔するんだろ?」
「その通り! きっとムカイさんの貴族としての格が目当てなんだわ!」
「え~と、失礼な事を言ってるって分かってる?
遠回しに貴族としての格以外は好かれていないって言ってるようなものだよ?」
「いや、自分でもそう思う」
「ムカイさん?! 自分で認めるの?!」
「だから相談に来たんじゃないか」
え~? 怪しいの、その人?
でも弟さんが見つけてきたんじゃないの?
しかし、一つ気になる事がある。
どうでも良い事かもしれないが、聞いておきたい。
「ナグラさん、悪役令嬢ってさ、悪事をバレたらダメなんじゃないの?
特に結婚相手には。現状で本当に悪役かは分からないけど、ムカイさんが疑ってるぞ?」
「むむっ、確かに……」
「それにさ、“悪役”ってなんだよ。“悪”なら分かるけど、“悪役”だと乙女ゲームの世界って事?」
「むむむ……」
「少し良いかな?」
「何ですか、ムカイさん」
「よく話の内容は分からないんだが、婚約しようとしている女性が悪だとしてだな。
それに気づけない貴族の男は失格だぞ」
「へ?」
「普通は調査を入れる。貴族の結婚の話となれば国も調べる」
「何で?」
「それで貴族のような権力を持っている者に暴走されては困るからな」
言われて納得。
ヘタすりゃ忍者みたいなのを雇ってて調べそうだ。
乙女ゲームにありそうな陰湿なイジメなんかすぐに発覚するだろう。
逆に罠にハメようとしてもバレるだろう。
特にこの国は貴族と平民との恋愛結婚もある程度は認めている。
だから権力目当てで近寄ってきているかくらいは、絶対に調べるはずだ。
そしてそれを見抜く目も必要なのか。
まぁそうだよな。
ラノベでは王子を相手に闘うけど、簡単に騙される王子の国ってイヤだな。
だっていずれは王になるんだろ? そんな王子が王になったら、外交でも騙されるんじゃないか?
もしくは宰相とかの言いなりになりそう。
そもそも、王になるような人物が、恋愛に溺れてちゃダメだよなぁ。
あっ、国を潰す意味で、傾国の女を送り込んだ可能性もあるのか。
まぁ、それでも普通は王子に近づく人間は全員調べるだろうけど。
調べても分からないから分かるまで放置? それはない。分からないならその時点で引き離すのが普通だ。
まぁ、転生して来てるって前提がある話だから、進み方も知ってるからこそ出来る事かもしれないが。
ま、もし俺がその悪役令嬢の役なら、そんな国は見捨ててさっさと逃げるね。
恋愛に溺れる王子、相手を調べもしない国(調べても分からない無能)、指示しない王。
うん、絶対近い内にその国は潰れるね。
生まれた国だから守る? 一貴族が王に逆らってまで守る? 無理無理。
まだ、自分の領土だけは守る!ってした方が可能性があるわ。
自分の領土に戻って、軍備を整えて、境界を固く守る。兵糧も貯めておく。
うん、こっちの方が現実的だ。
おっと、思考が逸れた。
今はムカイさんの相手の話だったわ。
どうしよ?
今週中に続きを投稿出来たら良いなぁ…。
色々な病院に行かなきゃいけなくて…。




