サポート
本日2話目です。
落ち着け。
まだリカバリー可能だ。
俺は大丈夫、俺は大丈夫。うん、よし。
「では、改めて。
うおっほん! 私は福田哲司! 神の使いである!!」
「いや、今更ですから……」
「……うん。まあ俺もそう思ったけど。
とにかく! 元日本人で、今は神の使いだと思ってくれたら良いよ」
「「は、はぁ……」」
あれ? 反応が薄いなぁ。
「次に神の世界について話そう。
簡単に言えば、神は神達で独自の世界があり、そこでの法律に従っている。
まぁ、当たり前だよね」
「えっ? と言う事は、神も沢山居るって事ですか?」
「そうだよ? ほら、日本でも八百万の神って言うでしょ。本当にそれくらい居るんじゃないかな?
で、勿論その中でも序列がある。そうだなぁ、会社だと思ってくれたら間違いない」
「か、会社……」
「そう。神様株式会社って感じ?
トップ、今風に言えばCEOは閻魔様ね。乗務とか専務とかが神とか仏とか言われてる人。
その下に大天使と呼ばれるグループがある。部長や課長クラスかな。
その下が天使。これが平社員。
君達が神って言ってるのは、実は役職では大天使なんだよ」
「「えーーーーっ?!」」
「しかも、大天使には地上の事を管理する事は許されているけど、人の生死に関わってはいけないルールがある」
「おい! 俺達は殺されて連れて来られたぞ! どうなってんだ!」
「だから問題なんだよ。しかも異世界に送り込む事も禁止事項。
日本の法律で言うなら、殺人・誘拐・脅迫、数え役満だね」
「そそそ、それで、どうなるんですか?」
「君達の事が発覚したから、既に逮捕されてるよ。ま、二度と会う事は無いね。
前に似たような事をした神が居たけど、禁固2000年だったかな? ん? 200年?
こいつは大天使クラスだから、もっと罪が重くてさ。
聞いた話だと、人間、しかも一般人以下のステータスにされて、どっかの異世界の大陸に落とされるんだってさ。
そこでその大陸を人力で開発させられるらしいわ。
今まで天使の力に頼ってたから、精神的にも体力的にも地獄だろうね」
書類に書いてある事を読んだだけだけど、結構驚いてくれる。
俺も最初知った時はそうだったなぁ。
「アホの神の事は判った。殺してやりたいが無理なんだろ」
「無理だね。異世界って言っても無限にあるから、どこに行ったか知らなければ会うのは不可能だ」
「お前も知らないんだろ」
「知らないねぇ。関わりたくも無いし」
「で?」
「で?とは?」
「お前、助けに来たって言ってたじゃねぇか!
元の世界に戻れるのか?!」
「マジですか?!」
「あっ、それは無理」
「何でだよ!」
「非情かもしれないけどさ、君達死んだじゃん。
そういう情報って魂に書かれてるんだってさ。イジろうとすると消滅するらしい。
日本に戻るなら、この世界で死んで魂になってからだなぁ。
勿論そうなると記憶も無くなるし、赤ちゃんからスタートになる。
それにさっきも言ったように、異世界に送るのは禁止事項なんだよ」
「何でだよ!」
「分かりやすく言えば……あぁ、日本と海外だと思ってくれ。
死に至るような病気が海外で発生してます。日本に来て欲しい? 来るなって思うだろ?
そんな感じ。異世界は異世界なんだよ。今君達が無事だからって、帰っても大丈夫かは判らない。
君達が持ち込んだ未知の病原菌で多数の死者が出たら?」
「それくらい神の力で何とかしろよ!」
「だ~か~ら~、何とかしたとしても、魂の問題があるだろ。
輪廻転生するなら死んだと同じだぜ?」
「…………じゃあ、助けるって何だよ」
「この世界で生きて貰う。そのサポートだよ。
で、俺、困ってるから助けてって言ったよな。どうサポートして良いか判らないんだ。
アイデアをくれ!」
王様とは話し合いをしたけど、タクヤ君のチートの事は王様でも無理なんだよ。
神様サイドでの問題だから、何か解決策が欲しい。
「助けるって言われてもな……」
「あっ、リョウ君達のはもう考えてあるから。
問題はタクヤ君だけだから」
「考えって何だよ?」
「俺が問題ですか?」
「え~と、同時に聞くのは止めてくれないかな。
まず、リョウ君達。君達は既にチート持ちだから楽なんだよ」
「楽? 手抜きしようってのか?」
「ちゃうがな。
ここの王様の前に神の使いとして姿を現しておいた。
で、君達の事を頼んでおいたから。はい、これ。身分証ね」
「ここの王に仕えろってか?」
「違うって。
身分は男爵扱い。ただし何の義務も無い。招集にも応えなくて良い。
税金も払わなくて良いけど、国からの給料も無し」
「……本当か?」
「そんなに都合良く、王や貴族が納得するかって事だろ?
大丈夫! OHANASHIしてきたから!!」
「『おはなし』ってとこが変に聞こえたぞ。
何をした?」
「別に特別な事はしてないよ。いつもの通り、ドラゴンで城に行って、謁見してきただけ」
「ドラゴンで乗り付けるのがいつもの事かよ!」
「力は見せておいた方が良いでしょ?
軽く見られると、利用しようとする者が必ず出てくるから。
神に逆らうとどんな目にあうか理解して貰うには、目に見える脅威が一番!」
まぁ、タローは何時も通り、見た目だけで活躍してないけどな(笑)




