弊害
本日1話目です。
「おい、これトイレだろ? 用を足しに来ただけか?」
「……やっぱ、日本人にはそう見えるよねぇ。
まぁ、そこは流しておいてよ。トイレだけに」
「面白くねぇぞ。で、場所ってココか?」
「いや、小屋の中だ」
「3人も入れるか! 2人でもギュウギュウだろ!」
「え~と、魔法で広げてあるから大丈夫」
信用してもらう為にも、俺が先に入る。
外からは中の暗闇に消えていったように見えたはず。
これで魔法で広げてあるという事が判っただろう。
少し待つと、おっかなびっくり入ってきた。
凄くキョロキョロしてる。
イメージで魔法がイジれるなら、これくらいやりそうなんだけど。
そのまま二人をリビングに案内する。
ソファに座ってもらい、落ち着くために飲み物でも出そうか。
「えっと、何飲む? コーヒー? 紅茶? 日本茶? コーラ? 水? 青汁?」
「コーヒーとかあるんですか?!」
「あるよ。コーヒーが良い? それとも青汁?」
「コーヒーでお願いします!」
「じゃ、じゃあ、俺も」
「……コーヒー2つね。判った。ヒタキさん、コーヒーをお願い」
「かしこまりました」
青汁はスルーされた。
まぁ、マジになって注文されても出せないんだけど。
少しは反応して欲しかった。
ヒタキさんが出したコーヒーに、感動している。泣きそうな顔をしてるな。
そんなに美味いか? いや、懐かしさか?
苦労したんだな……。
これからは楽が出来るようにしてあげるからね。閻魔様に頼んであげるから。
「さて、落ち着いたと思うし、詳しく話そうか。
まずは俺の事から話そうかな。どうもまだリョウ君は警戒してるみたいだし」
「そりゃ警戒するだろ。神の力を消し、こんな建物まで持ってるヤツ相手だ。
正体も怪しいしな」
「怪しいかな? もっとラフな格好だったら良かったか?
Tシャツにジーンズが良かったかもなぁ」
真面目に見えるように新調して来たんだけど……。
スーツっぽい格好で、インナーは白のTシャツ。
逆に怪しいセールスマンに見えたかも……。
「俺の名前は福田哲司。元日本人だ。
死んで異世界に転生?転移?して生きてたけど、なんやかんやあって、神の眷属になった」
「えっと、なんやかんやって?」
「いや、そこは俺にも良く判らない。気づいたらなってた感じ。
いわゆるチートは、『運が高い』ってのを貰ってる」
「『運が高い』? ショボいチートだな」
「そうかい? どうしてそう思う?」
「ラノベじゃああまり扱われないだろ。
それにギャンブルで得するくらいじゃねぇか?」
「俺もその程度に考えてたよ」
「実際には違ったんですか?」
「ああ。ギャンブルでは必勝。敵の攻撃は当たらないし、勝手に自滅する。
したい事がすぐに出来る。王様と簡単に知り合える。神がついてくる。
歩けば50円拾える。交差点でパンを咥えた美少女とぶつかる」
「本当にチートじゃねぇか!!」
「だからそうなんだって。運だけでその世界で、上がりたくないのに成り上がったんだから」
ちょっと調子に乗って誇張して話してしまったが、概ね間違いは無い。
それに『50円拾いたい』と願いながら歩けば、拾えるし。
それよりもギャンブルした方が儲かるけど。
願えば『交差点でパンを咥えた美少女とぶつかる』事も可能なはずだ!
……願わなくても、ナグラさん辺りがやりそうだね。
そんな事を考えてたら、タクヤ君からアクションがあった。
おっ、疑問か? 何でも聞いてくれ!
「一つ聞いても良いですか?」
「ん? 何?」
「ちょこちょこボケみたいなのを挟むのは何でですか?
そのせいで信じにくくなってますけど」
「……いや、緊張を和らげようと思ってね」
しまった、そういう弊害があったのか! 盲点だった!!




