ボケにはツッコみましょう
本日２話目です。
チョロはすぐに戻ってきた。
どうやら目には見えないが、俺の前に穴があるらしい。
ただ高さが１ｍくらいしかないらしいので、はいはいで進むしかないようだ。
うん、嫌だね。入りたくない。
とりあえず、安心してもらう為にも外から声をかけるか。
「お～い、そろそろ出てきてくれないか？ ……入りたくないんだよ。出てきてよ」
返事がない。ただの屍のようだ。
いや、違うって。聞こえて無いのかな？
もしくは出てきたくないとか？
出やすいように声をかけよう。
「出てきてくれないと、イタズラするぞ！ トリックオアトリート！」
……何のアクションも無い。
出てこいよ！ スベったみたいに見えるだろ！
こうなったら、チョロに行ってもらおう。
さっきは確認だけだったけど、声掛けまでお願いします。
さ、出てくるまでにここに居る人を確認しようか。
えっと、一人は前田亮クンか。
貰ったチートは『魔法はイメージで変わる』？！
正にテンプレなチートだな！
初級魔法でも威力がデカくなったりするんだろうね。
もう一人は？
真島卓也クン…………あっ、一番やっかいな人だ。
テンプレイベントをクリアすれば能力が増えるって人。
元々チート持ちじゃないから、神の力を止めたら苦労しそうなんだよなぁ。
どうしようか。よし、本人に丸投げしよう。
チョロに説得されたのか、這って出てきた。
そして俺を凝視している。
あぁ、黒目黒髪だからかな？
「やあ、会いたかったよ！
俺の名前は福田哲司。助けに来たんだけど、困ってるんだ。助けてくれ！」
「……えっと、言われてる事がよく判りません」
理解してもらえなかった。
タクヤ君の問題なんだけどな。
「おい、相手の話に乗るな」
「君は……前田亮君だね」
「……そうだが。お前は誰だ」
「だから言ったじゃん。福田哲司。気楽にてっちゃんとか福ちゃんとか福田様とか呼んでくれたら良いよ」
「気楽じゃねえのが入ってるじゃねぇか」
「冗談だって。さて、状況を説明しようか。
まず、君達の言う神様は、今は逮捕されてるから安心してくれ」
「逮捕？」
「そう。神の世界も法律があるから。違法な事をすれば逮捕される。これ常識」
「そんな事、信じられるか！」
「いや事実だから。
そうだなぁ……タクヤ君、ステータスを確認してごらん」
そう言うと、ステータスを確認し始めてくれた。
これで信じてくれるかな？
「イベント欄がバグってるだろ？
それは、与える神が居なくなったからだよ」
「おい、本当か」
「ええ。数字が出なくなってます」
「マジか……。おい、根本的な事を聞くぞ。お前は何者だ？」
「また言うの？ だから福田だよ」
「そうじゃねぇよ！ 職業とか役職とかあるだろうが！」
「なぜか神の眷属。そして使徒。ＡＴフィールドは出せないぞ？」
「使徒……で、何の用だ？」
「くっ！ ボケてもツッコまれないと、悲しいな。
やっぱり誰か連れてくれば良かった……」
ナグラさんならすぐ反応してくれたろうに。
「答えろよ！」
「え～と、君達を救出しに来たんだ。詳しく説明するから、ちょっと場所移動しようか」
落ち着いてもらう為にも、家に移動しようか。
外観は仮設トイレみたいだけどね。
