翔べ! タロー!
ルシファーさんは帰り際に一言残した。
「そうそう、ウイルスや細菌とかはアポロンが太陽熱で殺すってさ」
それが一番重要じゃないかな?
まぁ行く俺達もあっちの人達も、未知の病気にならないのは良い。助かります。
いよいよ、本日は出発日。
問題を起こした神は捕まってるが、使ってたシステムの解明に時間がかかったらしい。
で、やっと解析出来たので止めるそうな。
止まったら送り込まれた人が困るだろう、って事で今日になったんだ。
準備は万端。
貰った家に従魔とヒタキさんに入ってもらう。
タローは入れないので、現地に呼び出す。と言っても閻魔様が送り込むんだけど。
いざ、出発!
到着した場所は森の中。
早速家をマジックボックスから取り出し、設置する。
家からレイを連れ出して、周囲の警戒をしてもらう。チョロには上空の監視を。
今回は馬は連れてこなかったので、ガーに乗って王都を目指す予定。
ある程度進むと、道に出た。
スマホで確認したけど、この道を北に進めば1時間くらいで到着するな。
って事で、タローを召喚!
おっ、どうしたタロー、嫌な顔して?
「私はいつまでこうやって福田さんのわがままを聞くのだろうか……」
「凄いな、俺。ドラゴンが嫌な顔してるとか、判別出来るようになったよ」
「あっ、スルーですか……。いや、良いです。さっさとやって帰りましょう」
「そうだな。じゃあ俺を乗せて飛んでくれ。目指すは北!
木に止まるセミのように、城の壁に貼り付くのだ!!」
「判りましたけど、もう少し言い方が……」
「じゃあ、トイレの壁に張り付くショウジョウバエのように……」
「セミで良いです! セミ最高!」
5分後、城下を大パニックにしながら、城に張り付いたタロー。
わざわざ「ミーン、ミーン」と言ってる。嫌味か?
さて、どうやって入ろうか?
入る方法まで考えてなかったわ。
下に降りて入り口からと思ったけど、兵士がワラワラ居るので降りたくない。
壁を壊して入るのもなぁ。別にここの王様に文句があって来た訳じゃないしね。
そうだ、屋上から入ろう。
「タロー、屋上から入るわ。登ってくれ」
「最初からそう言ってくださいよ!」
文句を言いつつも登ってくれるようだ。
……ん? 何で本当に壁を登るんだ?
「タロー。飛べよ」
「自慢じゃありませんが、張り付いた状態から飛ぶ自信がありません!!」
「本当に自慢じゃないな!」
カサカサと壁を登るなんて、黒い台所の天敵の虫じゃないんだから。
もう少し、カッコ良く登って欲しい。
屋上に到達すると、そこにも沢山の兵士の姿が。
……そりゃそうだよな。下から登っていくのが見えるもんな。
普通、配置するよね~。
とにかく声をかけて警戒を解いてもらおう。
「ヴヴン! 私は神の使いである! 王に会いに来た!」
「ウソをつけ! 信用出来るか!」
「おい、タロー。信用出来ないって言われたけど。
お前のせいじゃないか?」
「ドラゴンで城に行くって言ったのは福田さんでしょ?
私のせいじゃないですよ?」
「どうしたら良いと思う?」
「誠心誠意、話したら良いと思いますけど?」
それ、採用。
じゃあ優しく子供に話すように。
「すみません。神様の使いでこちらに来たんですけど。王様に会う事って出来ますかね?
いや、待てって言われるのであれば、いくらでも待ちますから。お願い出来ますか?」
「ドラゴンに乗っていきなり来るヤツの言う事なんか信じられるか!」
「……おい、タロー。ダメじゃないか!」
「今のが誠心誠意だとするなら、どうやっても無理ですね」
俺が悪いみたいな言い方だな。
タローには帰ったら壁から飛ぶ練習をさせよう。
下には落ちても安心出来るように、ローションの池でも作ってあげよう。
しかし、面倒になってきたな。
早く終わらせたいのに、問答ばかりだ。
「……強行突破しよう」
「もうですか?! 短気ですね……いえ、なんでもありません」
「タローのブレス……じゃあ皆殺しになるな。弱火も出来ないゲロだもんな」
「言い方! さっきはブレスって言ったのに、何でゲロって言い直すんですか!」
「そうだ、家の機能を使ってみるか」
「またスルー…………」
アポロン神が付けたという、攻撃機能でも使ってみるかな。
船と同じなら、人を殺す事無く無力化出来るだろ。多分。
「今から武装解除してもらう!!」
俺がそう叫ぶと、森から眩い光の筋が何百本と飛んできた。




