完成した物は…
会議に来ている全員から抗議されてる。
でも既に遅いのだよ、ふははははは。
「サインは貰ったので、早速内容の事をして下さい」
「待て! 内容を見せろ!」
「どうぞ。あっ、書類を破ったりしないでくださいね。
もしその書類を無効化したら、絶対に助けに行きませんからね。
ついでに加護を貰っている神様全員に、異世界に何も持たずに人助けに行けと言われた、と言いふらします」
「くっ!」
「さあ、書類を読んで、履行してください!」
ま、俺的には、半分もしてくれたら良いかな~とは思っている。
さすがに全部は無理でしょ。
「…………判った。見ずにサインをしたのはワシの落ち度だ。
全てOKにしよう」
「えっ? マジですか?」
その時、閻魔様はニヤリと笑った。
うっ、嫌な予感がする……。
「その代わり、ここまで準備するという事は、これからも今回のような要望があった時に行くと了承したものとみなす。
これからも頼むぞ、福田君」
「げえぇぇぇぇ!」
マジかよ!
いやいや、落ち着け。
これでは主導権を盗られたままになってしまう。
何か反論をしなくては!
そ、そうだ! ヒヨ! 何かアイデアを!
「これからも、と言われたけど、こんなミスばかりで良いのかにゃ?」
「うっ!」
「そもそも、主が異世界に救いに行かなくても良いようにするのが先決ではないかにゃ?」
「ぐっ!」
「もっと言えば、その為の会議じゃないのかにゃ?
人の意見に反論ばかりせずに、互いの意見を聞いてバランス良く決めるのが正解じゃないかにゃ?」
「「「ぐっ!!」」」
見事だ。
さすがヒヨ。
正論には言い返せないようだ。
「と、主が言ってますにゃ! では自分は散歩の時間なので、これで失礼するにゃ!」
うぉい! 最後に裏切るなよ!
こら! 言い逃げするな!
さすが猫だけあって、窓からヒラリと逃げやがった。
くそ、神様達の視線が痛いぜ!
こういう時は小粋なジョークを言って、場を和ませないとな。
「ははは。皆さん、日本の政治家みたいですね」
あれ? 皆の顔が怒りに満ちてきたぞ?
日本の政治家の事なんか知らないだろうから言ってみたんだけど……ヤバい雰囲気だな。
よし、『混沌』を使おう。
神の力が使えないなら、喧嘩になっても俺の方がレベル的に強いからね。
『混沌』を使った事で、その場は収まった。
やっぱり神は気づくようだ。
嫌そうな顔をしてたので、神の力を使えなくなるのは大変なんだろうな。
ってか、だったら俺ん家でしなきゃ良いと思うんだがなぁ。
それからの会議は意外におとなしく進み閉会した。
『混沌』が影響しているのだろうか?
2日後。突然ルシファーさんがやってきた。
「家! 完成したよ!!」
「早いですね」
「事情も事情だし、頑張ったのさ! アポロンにも手伝ってもらったしね!」
ふ~ん。凄く嫌な予感がするなぁ。
アポロン神が手伝いとか、不安要素でしかない。
「これです! ジャーン! どうだい!!」
「……えっと、仮設トイレですか?」
「そう、いつでもトイレに……って違うよ! これが家なの!
最初は扉だけにしようかと思ったけど、それだと某マンガのピンク色の道具に見えるから止めたの!」
あぁ、あのどこにでも行けるドアか。
自由に犯罪出来るやつ。未来ってどうなってるんだろう、と無粋な疑問を持つやつね。
「なんと、この建物。重量は5kgしかありません!
しかもこのネックレスを触れさせると、ネックレスの中に収納させる便利さ!
中は勿論、5LDKで、風呂トイレは別! 台所はシステムキッチンになってます!
防御も完璧! 島と同じで招かれてない者は入れません!
攻撃も常備! 太陽ビームで敵を撃ち抜くよ!!」
この1m×1m×2mの仮設トイレ風の家が、驚く程の高性能だ。
説明は怪しいテレビショッピングっぽいけど。
「ちょっと待て! 攻撃って何だよ!」
「これを壊そうとする者には容赦無い! 2徹もしたんだから!」
「いやいや、まず防御を突破出来ないだろ?」
「防御だけでは敵を調子に乗らせるだけ! アポロン特製の太陽ビームで敵は排除じゃー!」
徹夜明けでテンションが高いな!
そんな、汚物は消毒だー、みたいに言われても……。
しかも太陽ビームって……排除と言うよりも消滅するんじゃないか?
これ、持っていって大丈夫かなぁ。




