サイン
ヒヨのお陰で方向性は決まった。
後は承認してもらうだけだ。
「閻魔様、やる事を決めましたよ」
「ん? おお、そうか。ちょっと待ってくれ」
話し合いは過熱している。
問題があったから余計にだな。
だが、向こうで現在も被害に遭っている人の事も考えて、早く動いた方が良いと思うんだが。
俺が早く終わらせたいから言ってるんじゃないんだよ? 本当だよ?
「ヒヨ。これ、どうにかならない?」
「責任は主が取ってくれるなら可能にゃ」
「じゃ、それで」
「了解にゃ」
どうするかと思ったら、ヒタキさんに紙とペンを用意させた。
それを俺の前に置く。絵でも書くの? 俺、あんまり上手く無いよ?
「これに主がやろうと思ってる事を全部書くにゃ」
「あっ、判った。で、承認のサインをさせるんだな?」
「その通りにゃ」
ドサクサに紛れて、サインをさせる王道の方法だな。
なんて卑怯な! よし、やろう。
じゃあ、書くか。
向こうで楽がしたいから、家は必要だね。
移動するかもしれないから、馬車みたいに外と中が違うのが良い。
あっ、一人だと料理も出来ないから、ヒタキさんにも着いてきてもらおう。
参謀として、ヒヨも確定だな。
それから~、そうそう、王様の所に行くから防衛機能も居るね。
馬車の仕組みを全部、家に付けてもらうか。
楽しくなってきた!
自重? ははは、誰も俺の事を知らない世界だ。必要無いね。
それに神という後ろ盾が居るし。自由だ! ビクトリー!
こっちで各国に挨拶に行った時みたいに、タローに乗るか。
練習してるらしいし、また実践の機会を与えてあげなきゃね。
皆は行かないって言うだろうな。
ナグラさんは出版で忙しいし、コタニさんはそれの手伝いしてる。
カンキジコンビは来るって言うかもしれないが、そうなるとミミちゃんも来る事になる。
流石に異世界には連れていけないわ~。って事で仲間は無し。
そうなると、やはり従魔だな。
向こうでも呼べるようにしてもらおう。
トムさんとか呼べれば無敵だ。タローも居るし、いっその事四天王を全員呼ぶか?!
と、好き勝手に書いてしまった。
今は少し反省している。
よし! 反省の時間は終わり!
さ、承認のサインをもらおう。
「閻魔様、まだですか?」
「ん? うむ、もう少し待て」
「判りました。待つ間にお茶とお茶請けを買ってきます。
料金はそっち持ちで良いですよね?」
「ん? ああ、大丈夫だ」
「そうですか。じゃあサインください」
「ん? おお」
勝った。
サインは貰ったぞ。
では、会議を終わらせるか。
加護を使い、ルシファーさんを呼び出す。
「緊急ってなんだい? ん? 皆で何を? あぁ、異世界召喚会議か」
「そうなんですよ。で、閻魔様から承認を得たので、家を下さい」
「……どういう事?」
「異世界に俺が行く事になったんで、生活出来る場所が欲しいんですよ。
そうですねぇ、あの馬車みたいな改造してください。好きなだけやって良いですよ」
「えっ?! マジで?!」
「ええ。閻魔様が承認してますから」
「やった! 任しといて! 凄いの作るから!!」
「待って! まだ帰らないで! この会議を止めてください!」
「俺が?!」
「一応、お偉いさんでしょ? 止めて下さいよ」
「……判ったよ」
ルシファーさんの一喝で、会議は静まり返った。
お見事です。そして少~し怖かったです。
さすが堕天使と言われるだけはありますね。
「注目してくださ~い!
閻魔様から承認を貰ったので、とにかくまずは異世界に連れて行かれた人達を助けてきます。
その後に会議をしてください。その人達の意見も参考になると思いますよ」
「待て! ワシが何時承認した?」
「先ほどのサインで」
「あれはお金を立て替えるという物だっただろう?!」
「その話は、俺が『そうですか』と言った時点で終わってますよ。
その後に、『サイン下さい』って内容を書いた文書を提出したじゃないですか。
読まずにサインしたのは閻魔様です。ですが、サインがあるので有効ですよね?」
「「「やり方が汚い!!」」」
神様全員に卑怯者呼ばわりされた。
ルシファーさんまで一緒になって言わないで欲しい。




