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目立たない方法

手元にはキーボード。

そして渡し忘れたからだと思うが、空中から現れた1冊の本。

「スライムでも判る……かもしれないし無理かもしれないけど頑張ろう!ショートカットの使い方」という題名。

バカにしてるとしか思えない。


とにかく出来る事を知っておかないと何も出来ない。

例えば「王族の記憶を全部イジっちゃえ!」と考えても実行出来なければ意味が無いから。


早速本をめくりつつ、キーボードのスイッチを入れる。

すぐに目の前に半透明のモニターが現れた。

画面に表示されているアイコンは3つ。

1つはメールだろう。封筒の形をしてるし。

もう1つはパレットのような形。お絵かきソフト?

残る1つは表みたいな形。表計算ソフトかな?


とりあえず起動してみよう。

マウスが無いので、十字キーを押してみたが反応無し……。

本を見ればTabを押すらしい。おっと反転したね。後は十字キーか。

お絵かきソフトに合わせてEnter。


立ち上がった!

って、これに描かれてるの、この世界じゃない? 平面だけど地形が表示されてる。

もしかして、これで書いたり消したりすると現実に反映されるのか?

……俺はそっと閉じるを選んだ。危険すぎるだろっ!


この流れだと、もう1つのアイコンもイヤな予感がするが……起動してみる。

出たのはそのまま表計算ソフト。でも何の数字も書かれてない。

あっ、ファイルがあるのか? 何とか探して「開く」を押してみる。

おっ、出た出た。ファイルが沢山あるな。

えっと……ファイル名がそのまま国名なんだけど。

とりあえずニーベル国を開いてみる。うわっ! 一杯数字が出てきた!

どうも縦列が項目で、横列が地名のようだ。

項目には、現在の人口や宗教名などが並んでいる。変わった物だと薬屋とか宿屋等も書かれている。

常に数値が変動しているので、生まれたり死んだりしてるって事がリアルタイムで反映されているのだろう。

えっ? これも書き換えられるの?! 例えば人口を0にしたら、誰も居なくなるの?!

怖いっ! このソフトも黙って閉じた。


出来る事は大きいが、大きすぎる。

神様が基本的に人類を放置してるのが納得出来たわ。

出来る事の規模が大きすぎて、干渉したら大事になるからだ。


最後に一応メールも開いてみた。

こっちは普通のメールソフトだったけど、中がフォルダ分けされている。

面白いのはフォルダ名。神様とか友人とかある中、願い事ってのがある。

現在0件だけど、これが信仰関連なんだろうな。

教会みたいな所で願えばここに送られてくるんだろう。

色々イジってたら、メッセージフィルタの機能もあった。

これで「宝くじが当たりますように」とか「彼女が出来ますように」みたいなのは届かないように出来る。

ま、今は必要無いから放っておこう。




では、ふまえて会議をしよう。

キーボードで出来る事はデカすぎてダメかもしれないが。


「さて、どうしたら良いと思う? 目立ちたく無いんだけど」

「はははは。面白い事言うわね。目立ちたく無いなんて。ラノベの主人公じゃあるまいし」

「おいおいナグラさん。あんな無計画なのと一緒にしないでくれよ。

 あれは目立ちたくないとか自重するとか言いながら派手に行動してるだろ。

 目立ちたくないとか言うなら、人助けもせずに田舎でこっそり暮らせって話だよ。

 自重するなら、異世界の常識とか知って行動しろって思うだろ?

 知らなかった、で、目立ちました。貴族に目をつけられました。当たり前だっての。

 元の世界の常識に則って行動? 旅行に行った先で日本と同じ様に行動するのと同じだぞ? バカだろ?」

「そこまで言わなくてもさぁ……」

「一緒にされたら誰だって気分悪いだろ。

 海外に旅行に行って、その国では犯罪じゃ無い行為を見た。日本の常識で助けるか?

 もしチートがあっても干渉して良い事じゃないだろ。

 大体、今回、俺の場合は違うぞ」

「ゴメンゴメン。で、何が違うのよ」

「簡単だ。目立つと信仰に支障が出る」

「あの~、目立った方が良いのではないですか?」

「良い管理者、良い使徒としてなら目立った方が良いだろうけどさ。

 今回は王族をどうにかするって話だろ? ヘタすりゃ悪評になる可能性がある。

 信仰の対象が恐怖ってのはテロ組織みたいじゃないか。

 そもそも、宗教は政治に関わったらダメだと思うんだよ」

「何でですか?」

「神の考えって事にして、大司教とか宗教の上の人間が好き勝手するから。

 ウソかどうかなんて判らない上に、逆らえば信心が足りないと罰の対象になったりするし」

「あ~、ダヒュテムがそんな感じだったっスね」

「神が戦争しろって言ったとなれば戦争するだろ。危険過ぎる」

「福田さんの場合は会えるので、そういう事にならないのでは?」

「そうだけど、会えるからOKとかおかしいでしょ。最初から全部NGにしておいた方が良いよ。

 宗教の上の方の人間は権力を持っちゃいけないよ」


あっという間に会議は違う方向へ行ってしまった。

いかんいかん、方向修正しないと。


「とにかく! 目立たない方法で何とかする!

 ナグラさん、ラノベではどうだった?」

「え~、参考にするの~? 無謀だよ?」

「何で?」

「だってさっき言ってたように、目立つような動きしかしてないもん。

 物語が面白くなるようにだって事なんだろうけど、チートで無双が多いよ?」

「そりゃそうか。引き篭もりじゃあ話が膨らまないよな」

「そうそう。だから正面から突入してOHANASHIで良いんじゃない?」

「目立ちすぎだっての!」

「じゃあ、さっきのソフトでサイラス国の王族を全員消す?

 残った王族が1人だから、王になるのは簡単でしょ?」

「怖い事言うな! 可能だから更に怖いわ!」

「前にやったようにドラゴンで突入はどうでしょう?」

「それも目立つなぁ……。出来れば一般人には知られない方向で行きたい」

「そうなると、こっそり潜入とかですか?」

「う~ん、そうなるのか……。ん? 待てよ? その逆は出来ないかな?」

「「「「逆?」」」」


良い方法を思いついたぞ。

まぁ、表計算ソフトでそこまで出来るかを実験する必要があるけどね。

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