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フォルトゥーナ

「あ、あの……羽は?」

「ああ、これですか? 最近女子の間で流行ってるんですよ。可愛いでしょ?」

「へ、へ~、そうですか。か、可愛いですね」


ファッションかよ。

しかしどう見ても女子って年齢じゃないと思うのだが、そこは言わないでおこう。


「で、閻魔様。フォルトゥーナ様を紹介と言ってましたが」

「福田君にはこれからも運を使って頑張ってもらわねばならない。

 いざという時に運の運用を間違えてもらっても困るのでな。

 その為に加護を付けてもらおうと思って呼んだのだ」

「か、加護ですか? 山の様に付いてますけど、増やして良いんですか?」

「いまさらだろ?」


いや、付けてきたのは貴方達ですよ? しかも強制が多い。

俺が欲しいって言った訳じゃ無いし。

沢山あるから1個や2個増えても問題無いってか?


「えっと、どのような物です?」

「そこからは私が説明しよう。

 私の加護があるだけで、運気が上がるのだ。

 ほら、この本を見てごらん。ここに書いてあるだろ。

 『フォルトゥーナ様の加護のお陰で万馬券が当たりました!』とか。

 『フォルトゥーナ様の加護のお陰で結婚出来ました!』とか。

 『フォルトゥーナ様の加護のお陰で収入がガポガポで笑いが止まりません!』とか」

「いや、これって怪しい通販ですよね?!」

「疑うのは良くないよ~。疑うって事だけで運気が下がってしまうんだよ。

 運気が下がるって事は、それだけで不幸な事が……」

「怪しいセールストークは止めてください!」

「ははは、冗談冗談」


よく見れば、雑誌も他のページは真っ白。

冗談の為にわざわざ雑誌まで作ったのか……。

さてはヒマだな、この人。


「本当はね、シャレにならないんだ」

「えっ? シャレにならない? どういう事です?」

「私の加護を得るとね、星が味方になるんだよ」

「星が味方?」

「う~ん、つまりだね。

 この星、つまりスフィアがね、福田君の味方になる。

 だから、この星に居る限りは全てが福田君の運に作用するようになるんだよ。

 何も福田君がしなくてもね」

「え~と、規模が大きすぎて、理解出来ません……」

「そうだなぁ。例えば、遠く離れた地で福田君を害そうと考えた人が居るとしよう。

 当然その事には福田君は気づかないよね?」

「そうですね。考えただけですし。場所も遠いなら尚更です」

「でもそれは星には判るんだよ。なので、星の持つ権限が発動する」

「権限ですか?」

「うん。その人の運が下がるんだ。ただ下がるんじゃないよ?

 人の持つ運の基本値100が70とかになる。

 福田君の場合、基本値は120でしょ? それが下がるんだよ。怖くない?」


怖い!!!

使ったから下がるんなら良い。調整する力が働き、また上がるんだから。

なのに上がらなくなるんだぞ?

人よりも30も低くなるなんて……運が高くて助かってきただけに、怖さが判るわ。

しかも一生低いまま。


「あっ、でも死んだ時は? 確か俺の時は補正を貰いましたけど」

「死んで魂になった時に、星が返すね。だから補正は無し」


恐ろしい話だ。

こないだ雑談で話してた『チートの人間には出会わない(出会う前に死ぬ)』が本当になった。

冗談だったのに……。


「ちなみに、閻魔様の要請で異世界、まあ違う星だね、に行った時にも有効だから」

「行った先で星が味方になる、と?」

「そういう事。普通は行く事が無いから関係無いんだけどね。

 ははは、チートだね」

「チートどころじゃないですよ! 物語が始まりませんよ!

 ラノベなら、即クソ話に認定ですよ!」

「まあね。移動しても平和だからねぇ」

「に、任意での切り替えは?!」

「星に頼めば? その星次第だけど、少しは聞いてくれると思うよ?」


うわ~、その人(星)次第か~。

とりあえず後でスフィアと話し合う必要があるな。

話を聞いてくれる人(星)だったら良いな……。


「理解したか、福田君」

「閻魔様……良いんですか?」

「本来は強すぎる加護なので、弱めて渡すんだけどな。

 ま、福田君には良いだろう。解決してもらいに行った先で苦労されても困るし。

 それに気にしなければ判らない事だ。問題無いだろ」


そりゃ星の意思なんか気にした事も無いからね。

聞いたら意識してしまうけど。


「さて、任命も加護の渡しも終わった。

 早速会議を始めよう」

「えっと、すみません。何で今更その会議なんですか?」

「……身内の恥だからあまり言いたくないんだが。

 ダヒュテムがこないだ問題起こしたろ?」

「ああはい。吉田君誘拐ですね」

「そうだ。あれは悪い例だかな。しかし、あれを見て面白そうと思ったのが意外に居たのだ」

「はぁ?!」

「今は世界作りも止めていてな、管理だけだから、ぶっちゃけヒマなのだよ。

 そこに来て異世界から異世界へ人を送る事での変化。

 これが面白いらしい」

「でも禁止されてますよね?」

「そうだ。だが、緩和しようという流れになりだしている。

 こちらとしても、緩和しないと、ダヒュテムのように勝手にやりだすヤツが出ても困る。

 という事で、会議をするのだよ」


そりゃ作るよりも管理の方が退屈だろうけどさ。

任務だろ?! ちゃんとしろよ!!

仕事に刺激を求めんな!!

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