またまた閻魔様
貴族問題は終了した。
と言っても、どんな問題行動をしていたかよく知らないんだけど。
まぁ、コンピューターが問題アリとしたのだから、問題だったのだろう。
顛末はアンドロイドが国に報告するらしい。
俺が行くのが本当だと思うんだけど、そんな事よりも閻魔様の方が大事と言われた。
いや、個人的には閻魔様の方は後回しでも良いと思う。
だってさ、絶対にまた無理難題を言ってくるんだもん。
どうしよう、アサイさんを教育しろ!とかだったら。絶対に無理だ。
皆は王都の家へ、俺だけはトムさんの所に移動させられた。
ミミちゃんも来たがっていたが、多分難しい話だよと言ったら頑張ってねと言われた。
納得してくれたのは良いが、子供に心配されるってのは悲しい……。
「トムさーん、来ましたよー」
「いらっしゃい」
「で、何の話か知ってる?」
「いえ、全然。面倒なんだろうな~とは思うけど」
「やっぱり面倒なのか……。そんな話し合いにトムさんも参加とか、なんか申し訳ないな」
「まぁねぇ……あれっ? 私も参加するなんて聞いてないんですけど?!」
「一緒に頑張ろうな!」
「あっ! 参加させる気ね! 私は参加しないわよ!!」
「頑張ろう! エイエイオー!」
「参加しないったら!!」
トムさんと言い合いしてたら、閻魔様が直接トムさんの家に来た。
諦めろ、トムさん。まさかの本人登場だ。
ん? 閻魔様だけじゃないな。仏様と、他にも知らない神様が何人か。
うわ~、メチャクチャ嫌な予感がする。
「これより会議を始める」
「いやいやいやいや、閻魔様。会議って何ですか。
俺、閻魔様が呼んでるって言われただけなんですよ?」
「聞かされていないのか?」
「ええ、何一つ」
「異世界人誘拐事案についての会議だ。
福田君は既に2回も関わっているので、参考人として呼んだのだよ」
うわ~。
コンピューターめ、知ってて言わなかったな?
こんなのって聞いてたら参加しなかったよ。
そんなの神様だけで決めてくださいよ。
俺を巻き込まないで!!
「ついでに言えば、福田君には取り締まりもやってもらいたいんでな」
「はぁ?! 俺がですか?! 神様同士でやってくださいよ!!」
「世界に簡単に降りる訳にはいかないのだ」
「俺が簡単に異世界に行くのも問題でしょ!」
「「「神が行くよりマシ!」」」
神様が声を揃えて言う事ではない。
「つまり、神の事は神がするので、人間の事は人間がしろ、と?」
「そういう事だ」
「その世界の人に任せたら良いじゃないですか」
「君の言う『チート』も持っている人間を、その世界の人間が捕まえられるとでも?」
ぐっ、確かにラノベでは不可能かも。
でも、それでは俺はどうなのよ。
「俺なら捕まえられるんですか?」
「幸い、運が高いなんてチートを貰った者は今までに居なかった。
大概が分かりやすい、全魔法使えるとか何かに特化してるとかだったな」
「運が特化してるってのは?」
「居なかった。やはり誰もがその時になると、自分の世界に無い物を使えるようになりたい感じだった。
『全属性の魔法を使えるようになりたい』『武力・防御力に特化したい』『魅了が欲しい』、この4つが多かったな」
まぁ、魔法は憧れるよね。
ドラゴンでも倒せるような武力も魅力的だ。
逆に防御力が高ければ死なないので、チクチクと攻撃すればこちらもドラゴンが倒せるだろう。
で、魅了。好きになってもらえれば、喧嘩を売られる事も無いから安全と言えるけど……。
絶対にハーレムを作ろうとしてるな!
そんなのと出会ったら……フルボッコで捕獲してやる!
「まぁ、そんなにポンポンと誘拐なんぞ無いから安心したまえ。
万が一の話だよ、万が一の、な」
「はぁ……判りましたよ。どうせ納得するまで終わらないんですよね?」
「承諾ありがとう」
「承諾と言うか、脅迫と言うか。まぁ、良いですよ。
で、異世界人誘拐事案についての会議ってなんです? 今のを決めただけ?」
「違うぞ? これから会議を始めるのだ。
おっとその前に、福田君には紹介したい者が居る。こいつだ」
「始めまして。フォルトゥーナと言います。よろしくね」
おっと女神様の登場だ。
今までの神とは違い、背中に羽を生やしている。
「彼女はな、運命の神なのだよ」
「えっ? でも後ろ髪ありますよ?」
「あ~、福田君もそれを言うか~」
「嫌ですよ! 女神ですよ?! ハゲで、なおかつ前髪だけあるなんて!
考えたヤツは万死に値しますね! 不幸にしてやる!!」
「いや、もう死んでるし」
「未来永劫不幸になれ!!」
上手い事例えたな~と思ってたんだけど。
確かに女神だとするなら、嫌な話だ。
というか、男でも嫌だ。
しかし、運命の神に未来永劫呪われたぞ。輪廻にしても付いてくる呪いだろうなぁ。
可哀想だ。ナムナム。
「全く……。女なんですからそこをちゃんと考えてもらいたいです」
そう言いながら、フォルトゥーナ神は上着と共に背中の羽を脱いだ。
外行きの服装かよ!




