宣伝
「何ですか、宣伝って」
「いや、ダンジョンの」
「何で宣伝するんです? そもそも、ここのダンジョンの事は知ってるでしょう?
宣伝なんかされたら困りますよ、冒険者が増えるから」
「増えてもらわないと困るんだよ!」
「え~~~。ドラゴンが居るって事で奥まで来ないのに、来るようになったら困るじゃないですか」
「冒険者は増やす! 困れ!」
「ヒドい!」
「しかし、そうか。ドラゴンが居るから恐れて来ないっていうのもあるのか。
……他の人と替えるか?」
「ちょっと! 勝手に人事異動しないでくださいよ!」
「じゃあ、一緒に増やす方法を考えろよ」
「え~~~、それもちょっと……」
「……そうだ、このダンジョンの宝箱にドラゴンの鱗でも入れるか。
沢山あるから問題無いだろ。そうすりゃ鱗目当てにワラワラと冒険者が来るだろうな。剥ぐか」
「剥ぐ?! はい! 真面目に考えます!!」
なかなか良いアイデアだと思ったんだが。
はい、皆、引かない引かない。
半分は冗談だから。
「では、第39581回。冒険者呼び込み会議~~~」
「そこにはもうツッコまないっス」
「諦めたら終わりだぞ、コタニさん。
さて、どうやったら冒険者が来るようになるでしょうか?」
「あのですね」
「はい、ナグラさん」
「そもそもですね、冒険者の人数が少ないのが問題なのでは?」
「どういう事?」
「全員が移動した訳では無いのですが、少しの人数が減っただけでも困るんだと。
でも絶対数が少ないので、もしこちらに呼び込む事が成功すると、他のダンジョンが困ると思います」
あ~、なるほど。
確かにカジノの町のダンジョンに参加する冒険者が減ったら問題になるよね。
その場合、また俺に相談が来るかも。
堂々巡りですな。
「でも、冒険者ってそんなにポンポンと増やせないでしょ?」
「勿論です。素人にやらせても死ぬだけでしょうし」
違う問題が出てきたな。
俺の脳ではもはや処理出来ないレベルだ。
こうなったら使える頭脳を増やすか。
って事で、ヒヨを召喚。
後、場所はニーベル国なので、ヌマタ卿とネモト卿も呼ぶ。
ついでに頭の良いホウズキさん、仕事は任せろサガワさん、万能執事ヒタキさんも呼んだ。
「あの~福田さん。これ、私の所でやらなくても良くないですか?」
「良いだろ別に。場所くらい提供してよ」
「はぁ。まぁ、良いですけど」
「良くないですよ」
「えっ? ヌマタ卿、それはどうして?」
「ここはダンジョンの一階だという事じゃないですか。
知らない冒険者が入ってきたらパニックですよ?」
あっ、そうだった。
「タローが一階に出てくるから」
「福田さんが正面から入ってくるから」
「いや、責任のなすりつけあいをしてる場合じゃないでしょ。移動しましょうよ」
「そ、そうだな。タロー、転移」
「私がやるんですね……。判りましたよ」
タローのダンジョンなので、こんな大人数の転移もお手の物。
楽チン楽チン。
着いたのは、タローがいつも居る最下部の場所だった。
「タロー、椅子とテーブル。ついでにお茶と茶菓子も」
「ドラゴンに何を期待してるんです?! ある訳無いでしょ!
体のサイズを考えてみてくださいよ!」
「しょうがない。俺のを出すか」
「持ってるなら最初から出して下さい!
と言うか、そんなのが必要なら、ここ以外で会議するのが一番だと思いますけどね!」
「まぁまぁ、タロー。落ち着いて。くつろいでくれよ」
「私の住処なのに!!」
テーブルとかをマジックボックスから出して設置。
お茶はヒタキさんがすぐに用意した。さすが優秀。
席に着き、経緯を皆に説明。
はい、アイデアをお願いします!
俺? 俺は聞いているだけ。
採用になったアイデアを実行する役目です。




