禁止
ええっと、ここに来た理由は2つ。
一つは、ウエダさんに変装がバレるかどうかの実験。
もう一つは、あっ、買い物だった。
「買い物に来たんだよ」
「ふ~ん。何を買うんだ?」
「色々冒険に必要な物をさ」
「はぁ?! 大体の物を持ってるだろ?
それに、必要な物が有ったら取りに帰れば良いじゃねぇか」
「そんなにポンポンと『コネクト』を使うべきじゃないよ」
「ポンポン使ってただろうに。何を今更。まぁ良いけどよ。
で、何で冒険なんだ?」
「いや、ヒマでさ」
「……神様の眷属がヒマってどうなんだよ。しかもヒマだから冒険?!」
や、やばい。悪印象になりそうだ。
何とか誤魔化さないと!
「いやいや、ウエダさん。何言ってるんだ?」
「は? 何がよ」
「神様の眷属がヒマってのは良い事なんだぞ?
忙しいって事はこの世界で問題が多発してるって事なんだからな?」
「……そう言われればそうだな。ヒマな方が良いか」
「そうそう。国の兵士と同じだよ。ヒマって事は平和って事なんだからさ」
「そうだな! だがよ、ヒマだから冒険ってのはどうかと思うぜ?」
「ちゃうねん」
「は?」
「ほら、この格好を見ろよ。変装してるだろ?
眷属を前にしたら、誰もが悪い事しないじゃんか。
でも一般人だったら悪い奴らが出てくるかもしれないだろ?
世直しに行くんだよ! そう! まだ各国の王も知らない問題を未然に解決しに行くのさ!」
「そういう事ね。しかし、なんか必死だな?」
「そう見えるだけだよ。変装してるからかな? はははは」
何とか誤魔化せたかな?
でもウソじゃないんだよ? 発見したら解決するよ? じっちゃんの名にかけて!
「ところでヒマなのか?」
「買い物が済んだら、まぁヒマっちゃあヒマかな?」
「じゃあギャンブル……」
「断る!」
「え~」
「そもそも、もう俺はカジノの町でのギャンブルは出来ない!
出入り禁止にされてるからな!」
そうなんだよ。
その店も出入り禁止にされてしまった。
唯一入れるのはサガワさんの店。
俺に献上する為に入らせてくれるらしい。
そんな店に行きたくない。
って事で、俺が活躍して収入が得られる唯一のものが封印されてるのだ。
……自分で言ってて悲しくなるな。
「とにかく! ギャンブルはしない!
って言うか、一人で行けば良いじゃん。行ってるんだろ?」
「いや、行ってるんだけどさ。最近は入っただけで注目されるようになってさ。
やりづらいんだよなぁ」
「あぁ、なるほど。俺が一緒なら注目されずに済むって」
「そうそう」
「断る!!」
アホか。
何で人身御供になりにわざわざ行かなきゃいけないんだ。
「ちぇっ。ま、考えておいてくれよ。で、何を買うんだ?」
ウエダさんの事は放って置いて、色々と買い物した。
と言っても必要な物はほとんどマジックボックス内にあるんだが。
買った物は主にミミちゃんの物なんだよ。
大人用じゃあ、ちょっと大きくて使いにくいだろうからさ。
準備も出来たので、早速旅だ!
「で、どこに行くっスか?」
「えっ? そこは何も考えて無いけど?」
「どうするんスか?」
「どうしよう? ミミちゃんにでも決めてもらう?」
「はーい! 私、ハズキ君の所に行きたい!」
この国の、しかも王都じゃないか。
行きなれた場所すぎるな。
「う~ん、他の所にしよっか。ほら、まだ行った事の無い所に行ってみたいと思わない?」
「う~ん……そうだね! それで良いよ!」
「で、何処に行くの?」
「どっかのダンジョンに行こうか」
「それは良いけど、どこの?」
「えっと……そうだ! コンピューターに聞いてみよう!
アレなら行ってない所とか良さそうな所とか知ってるだろ」
すぐにコンピューターを呼び出す。
「オヨビデスカ、ゴシュジンサマ」
「……何で片言なの?」
「イツモコウデスヨ?」
「いつもは流暢に喋ってるじゃん」
「ピー、ガー、エラー、エラー」
「ピーガーも電子音じゃなくて、言ってるじゃん。エラーなんかなってないだろ?」
「ユーモアですよ、ご主人様」
めんどくせえなぁ!




