その内容はどうだろう?
何でそこまでアニメに拘るのだろうか?
聞いてみた。
「だって、小説、マンガと来たら、次はアニメ化でしょ?」
「ラノベかよ! 確かにその流れはあるけど!」
「そもそもね、もっと簡単に作れると思ってたのよ!
ラノベとかだと、魔法って万能じゃない?」
「確かに。でもこの世界の魔法は科学ありきだろ?」
「そうなのよ! だから大変だったの。
イメージだけで簡単に作れる魔法とかが良かった」
「いや、そう俺に言われても……」
「魔法のある世界って科学が発展してないのが常識じゃないの?」
「だから俺に言うなって!
それに、今になって考えてみたら、それは変な世界じゃないか?
例えばレンガ。誰かが作り方を発見したとするだろ。
それを魔法で作れるか研究する人は当然居る。
でも、それをより良い物にしようと研究する人も居るはずだ。
その人は配合を変えたりして実験するだろう。それは科学じゃないのかって事だよ」
「あっ! それが錬金術師じゃない?」
「確かに。出てくるね、錬金術師」
「手のひらを合わせて円にしてね」
「それは違う錬金術師だ! 等価交換の方! 言わせるなよ!」
地球でも科学をやってるのは錬金術師だったと思う。
でも錬金術師に限らず『何でそうなるんだろう?』と考える人は居るはず。
特に子供なんかはそうだ。
親戚の子供に「何で空は青いの?」と質問された事がある。
勿論答えられないんだけどさ、そんな人はこの世界にも沢山居るだろう。
それを調べない? 魔法がある世界でもありえないだろ。
それに魔法の事も調べるでしょ。魔力がどうのこうのって言うじゃん。
それって科学的に調べてるんじゃないのか、って事だよな。
何が言いたいかって、魔法があっても科学は発展するだろ、って事だ。
進みは遅いかも知れないけどさ。
「魔法の事はわかったから。で、何でアニメなの?」
「だから、コミカライズの次はアニメでしょ?」
「それはさっき聞いた! そういう事じゃなくてさ」
「まぁ、娯楽よね」
「それにしては豪華なメンバーだけど」
「ほら、王族ってヒマだから」
「ヒマじゃないぞ! 忙しいって!」
「冗談、冗談よ。これはね、PRも兼ねてるの」
「PR?」
「ほら、王族って雲の上の人じゃない? 庶民からは『居るのは知ってるけど知らない偉い人』でしょ?
同じ人なんだよ、こんな事もしてますよっていうアピール」
「へ~」
「だから、最初のに付属してくるディスクには王様の日常がコミカルに描かれてるのよ」
「ふ~ん。これはどこの王様の?」
「ニーベル国で売る物にはニーベル国王の物が付属してくるの。
他の国ではその国の王様のよ」
「なるほどね~」
「ちなみに、福田さんのもあるわよ?」
「はぁ?! ……ま、まさかBLじゃないよな?」
「子供向けの商品なのに、ある訳無いでしょ!」
「そ、そうか。良かった」
「でも、その手もあったわね……」
「…………おい」
「ちょっと! こういう時は難聴になるのがお決まりでしょ!」
「都合良く難聴になるか! 作るなよ! ゼッタイだぞ!」
「それはダチョウ的な?」
「ちゃうわ! リアルだよ!」
「あぁ、ヤバイよ、ヤバイよ、のほうね」
「お笑いから離れろ! で、俺のってどういうヤツだよ?」
「これよ」
見せてくれた。
それには俺の仕事がコミカルに描かれていた。
朝、アンドロイドに無理矢理起こされる
↓↓↓
転移で王様を訪問。王冠を頭に乗せた人がヘコヘコ
↓↓↓
盗賊を魔法で一撃で倒す
↓↓↓
海に舟で出て、デカいタコと戦闘
↓↓↓
昼飯を食ってからゴロゴロ
↓↓↓
転移でドラゴンの所に。ドラゴンと模擬戦
↓↓↓
帰って就寝
……これ、なんかダメ人間、いや、ダメ眷属に見えないか?
王様相手に偉そうになんかした事無いけど?
盗賊を魔法で倒した事無いし。ソレ以前に戦闘しないし。
タコ相手でも同じ。舟の一撃で終了だろ。
ドラゴンと模擬戦?! タローに絶対断られるわ。
「……これか?」
「ええ。既に販売開始してるわ。結構売れてるらしいわよ」
「え~……」
「人気なので続編も決定してるわ! 次は2クールにするわよ!」
「アニメかよ! いや、アニメだけどさ! もっとちゃんと作ってくれよ!」
「大丈夫! ちゃんと箱には『これはフィクションです。実際の福田さんとは関係ありません』って書いてるから!」
どう考えても関係してるって判るじゃないか! 個人名を書くな!
このままでは続編を作られてしまう。どうにか阻止しなくては。
そうだ!
「アサイさんのを作るってのはどうだ?
神様だし、面白いのが作れるんじゃないか?
あの人なら協力してくれると思うぞ?」
「確かに面白そうね。神様の事も知ってもらった方が良いわよね」
「他にも、トムさんやタローやジローのを作ったらどうだ? サキのでも良いかな」
「四天王ね。面白そう!」
よし、興味は移行したな。
しばらくは俺のは出来ないだろう。その間に何か対策を考えておこう。
「おい師匠よ。アニメの話も良いんだけどさ。何しに来たんだ?」
そうだった。ウエダさんの家に来てたんだった。




