予備じゃない?
仕事前に投稿しておきます。
中には説明書が入っていた。
どれどれ?
『これをベルトとして巻いた人間は、姿を変える事が出来ます。
ただし、神様・もしくは従者・もしくは眷属、等の力が無い者が使うと……』
「……なぁ、しょっぱなからヤバい雰囲気がするんだけど」
「福田さんなら問題無いでしょ?」
「そうだけど! 大体、力の無い者が使うとなんだよ!
『……』で誤魔化すなよ!」
「間違いなく碌でもない事になるんでしょうね」
「でも何で限定なんスかね?」
「魔力を吸うとか? 神関連だから神力?」
「違うんじゃない? 邪な考えの者が使ったらヤバいからでしょ」
「なるほど! 納得だ!」
他人になれるなら、犯罪者はどうやっても欲しいだろうな。
「ところで、これ、6本入ってるけど。
何でイイクラさんは6本も送ってきたんだろうか?」
「……予備じゃない?」
「その間は何だ? 何か思いついたんだろ? 言ってみ?」
「言いたくないです」
「禁書を発行している出版社ごと燃やすよ?」
「くっ! 卑怯な!
……多分、私達全員分って事じゃないの?」
「なるほど。
俺、カンダさん、キジマさん、コタニさん、ナグラさん。あれ? 5人だよ?」
「居るでしょ。今、離れない人が一人」
えっ? 誰か居たっけ?
離れない? 幽霊みたいに取り付いてるのか?
「ナグラさん、幽霊にでも取り憑かれてるのか?」
「失礼な事言わないで!
そしてコタニさん、違うから! 退魔の剣を持ったままにじり寄って来ないで!」
コタニさんの目が怖い。
そうだった、霊とかお化けが怖いんだったね。
メンゴメンゴ。
「冗談は置いといて、で、誰?」
「ミミちゃんよ!」
おおっ! カンキジコンビの子供のミミちゃんね!
確かに、どこに行くにも付いてくるな。
キジマさんは止めさせたいみたいだけど、カンダさんが甘やかしてる。
お陰で各国の王様とも顔馴染みなんだよなぁ。
そう言われると、変装させないとすぐにバレそうだ。
でも今何歳だったっけ? 3歳? 4歳だったか?
変装させても演技出来るかなぁ。
「ま、ミミちゃんにも変装してもらおうか」
「で、バレないようにして何をするの?」
「えっ?」
「えっ?」
そ、そう言えばバレる事を言い訳にして、何をするかは考えてなかった。
「逆に、俺には何が出来ると思う?」
「何でも出来るんじゃない?」
「そうっスね」
「投げやりな返答! ちょっとは考えてくれよ!」
「え~。じゃあ商売でもしたら?」
「そうっスね。ノートルダムに最初に行った時も馬車で行商してたっスよね」
あったな、そんな事。
確かショートカットする道沿いにあった村に食料とか売った記憶があるわ。
「じゃあそれで」
「簡単に決めるのね……。まあマジックボックスとか持ってるから行商向きではあるかも。
でも、仕入れはどうするのよ?」
「そうだなぁ、相手は庶民だし、普通の所で仕入れるかな」
「普通じゃない所って?」
「サガワさんの所とかタルーンさんの所とか」
「確かに普通じゃないわね。でも仲介業をするの?」
「どういう事?」
「仕入れまで自分ですれば儲かるわよ?」
「つまり?」
「採取したりダンジョンから取ってきたり」
「なるほど。ドラゴンの鱗とか取ってきて販売すれば良い、と」
「やめなさい。タローが泣くから。それに高額すぎて誰も買えないわよ。行商で売る物でもないし」
「そこは目玉商品って事で」
「…………ゴメンね、タロー。私では止められなかったわ」
いや、フったのはナグラさんだからね?
しかし自分で採取してきて売るってのは良いかも。
レアなドロップならいくらでも手に入るし。
よし、早速ダンジョンに行こう!
あっ、その前に変装が通用するかウエダさんで試すか。
買い物もしたいし。




