2柱
本日2話目です。
俺の守備は皆に任せて、すぐに『混沌』を使いそして『俺にダメージがありませんように』と願う。
そのまま二人に対して接近し、左右に同時に拳を出す。
うん、上手い事二人の顔面を捉えたね。
それを見ていた信者っていうか全員が即座に襲い掛かってきた。
すぐに『仲間が誰も怪我をしませんように』と願う。
でも見てるとそれも杞憂に感じるけど。
「いやぁ、福田君は良い事するねぇ」
「これだけの人数を相手するとは、肩慣らしに丁度良いですな」
楽しそうだ。
そして、誰も苦戦してない。
やっぱり見た通り、コチラの世界はアチラの世界より弱い。
何だろう、筋力が違うのかな? 重力に差があるのか?
おっと周りを見てる場合じゃ無かった。
二人の神を捕まえないとね。
「はい、捕まえた~」
「な、何だお前は! 神を殴ってタダで済むと……」
「思ってるよ? 閻魔様に許可取ってるから」
「な!」
「俺は君達の両親とか同僚ほど甘くないから。
さあ、仲違いの原因を話してもらおうか。そして仲直りしてもらおうか」
「こ、断る!」
「良い度胸だ。顔が変形するまで殴れば気が変わるかな?」
「暴力反対!」
「お前達が長年掛けた迷惑を考えれば、この程度は暴力じゃないよ。教育だよ、教育」
「教育って言えば許される訳ないぞ!」
「あっ! そこの女性! お前は天使だな! 助けろ!」
アサイさんを発見したか。
アサイさんは何か言いたそうにアワアワたが、俺がギロって見たらシャキってなった。
「今回の件は福田さんに一任されています! 天使如きがどうにか出来る事ではありませんので!」
「くそっ! 頼りにならない!」
「落ち着いてよく見ろ! アレはあのアサイだ! 無理に決まってる!」
「ちょっと! あのアサイってどういう事よ!」
あっ、有名なのね、アサイさん。
何処でも迷惑をかける、それがアサイクオリティ。見事。
「じゃあ喋ろうか。殴られるのは右の人からが良いかな? その後は交互に殴るから。
早く喋った方が少なくて済むよ」
「判った! 言う! 言うから!」
「折れるの、早いな。ま、良いか。ほれ、言え」
「そもそも! こいつが俺の菓子を取ったからいけないんだ!」
「手前っ! ウソだぞ! こいつが俺のを取ったんだ!」
その後も言い合いが続き、俺を放おって置いて殴り合いが始まった。
そこから聞こえてくる内容を整理するとだな。
『二人で一袋のポテチを食べてたが、最後の一枚をどちらかが食べてしまった』
というアホな事だった……。
こんな事で色々な人達に迷惑を掛けたのか。
ある意味凄いな。なかなかいないぞ、ここまでのバカは。
周りを見ると、会話を聞いていたのか静かになっている。
そして絶望した顔になっている。
そりゃそうか。信じる神の諍いの原因がポテチ一枚なんてな。
戦争までしてるのに、クソみたいな原因。
「お前ら、おとなしくしろ。殴るぞ」
「殴りながら言うな!」
「もう喧嘩は終了だ。これからは仲良くしろとは言わないが、普通にしろ」
「コイツが謝ればな!」
「アイツが謝ればな!」
「良し。二人同時に謝れ」
俺は双方の頭を持って、グイと下げる。
「ほら、この状態で『ゴメン』と言え。それで手打ちだ」
「「………………ゴメン」」
「よし。じゃあ後は賠償だな」
「賠償?! 何で?!」
「お前らのせいでアチコチに迷惑がかかってんだよ!
まずはこの世界の戦争を終わらせろ! 武闘会自体は続けても良いけど、宗教戦争の形はダメだ」
「「……はい」」
「その後は、迷惑をかけた神達に謝って回れ。監視にアサイをつける」
「ちょっと! 福田君!」
「ちょっと待って下さい! それはヒドくないですか?!」
「そうです! ちゃんと回りますから、それだけは!」
「そこのソース! 何を言ってるんですか?!」
「いや、ダメだ。それも罰だと思え。
ちなみに謝る方法だが、原因を話し、謝り、そして気持ちとしてポテチを渡せ」
「うわ~、それ、無茶苦茶恥ずかしいですよね……」
原因を話すのはかなり情けないし恥ずかしいだろうね。
でも、こればかりはちゃんとしてもらおう。
「ほれ、今からだ。行動しろ。俺は閻魔様に伝えておくから。
あっ、アサイさんも今から仕事ね。頑張って付いて回ってね~」
「私の負担が凄いんですけど?」
「途中の食事とか必要経費は二人にタカって良いよ」
「頑張ります!」
二人は、まずここに居る信者の前に行き、二人で頭を下げた。
神が頭を下げて謝るってのは、ある意味ズルいよな。許すしか無いもの。
後ろにはちゃんとアサイさんがついていってる。
きっとあのアサイさんの事だ。高い飯とか食べるんだろうな。
うん? 誰かが俺の肩を叩く。
振り向くとムカイ団長だった。
「福田君。それで武闘会はいつ始まるのかね?」
次話は本日の17時に投稿します。




