ステータス確認
コマを持って帰り、ヒヨに渡す。
丁度キジマさんの所に居たから良かったよ。
「これは……コマニャ? どうしたのニャ?」
「お土産だよ」
「お土産……コマで遊ぶ年はもう過ぎたニャ」
いや、小さい頃から一緒だし。
コマで遊んでる所なんか見た事ないし。
「いや、これは珍しいコマなんだよ。ここに魔力を流すとさ……ほら回った」
「ふ~んニャ。仕組みは気になるニャ。でもそれだけニャ」
あれ~? 運に従って手に入れたのに、気に入ってくれないぞ?
おかしいなぁ……はっ! もしかしてあの兄弟には運が効かないのか?!
そんな事を考えながら次々にコマを回す。
4つ目まで回した所でコマ同士がぶつかり、軌道を変えた。
そのコマに素早くネコパンチを繰り出すヒヨ。
「ハッ!! ち、違うニャ。落ちそうだったから捕まえただけニャ!」
「ほほぅ、そうですか」
貰ったコマは10個。
キジマさんにも協力してもらい、全部を回す。
さすがに10個もあると、次から次にぶつかって軌道を変えて回るコマ。
そしてそれに手を出すヒヨ。
「ニャ! ニャ!! シャーーーー!!」
「完全に気に入ったね」
「ハッ?! ちちちちちち違うニャ!!」
「そして完全にネコだね」
「ネコじゃないニャ! ヒョウニャ!!」
そう言いながらも目はコマを追い続けてる。
その姿をキジマさんも気に入り、止まったコマにまた魔力を流してる。
確かに、ニマニマしながら見てしまうわ~。和む~。
「福田様」
「うおっ! ヒタキさんか。ビックリしたよ」
「お客様です」
「えっ? 誰?」
「ホウズキ様です」
「うん? 何だろう?」
ホウズキさんに会う為にリビングへ。
何か聞きたい事でも合ったのかな?
「おう、福田君」
「どうしました?」
「いや、福田くんに謝罪をしにな」
「謝罪?! 何をですか?!」
「先ほどな、『相手のステータスを見る事が出来れば判る』と言ったじゃろ?」
「はい、聞きました」
「その時に福田君がしまった!という顔をしてたので気になってな。
帰ってから気づいたのじゃが、福田君はうちの学校を出ていない一般人じゃったよな」
「はい、そうですけど。それが?」
「勘違いをさせてしまったと思っての」
勘違い?
俺は何を勘違いしたのだろうか?
「相手のステータスを見て判るのは、相手の強さの一端だという事じゃよ」
「はあ……。どういう事ですか?」
「そうじゃな……例えば『剣術(B)』とあったとしよう。これで何が判るかね?」
「えっ? 剣で戦うのが上手いんだろうな、という事ですか?」
「そうじゃ。だが、逆に言えばそれだけしか判らないのじゃよ」
「えっ?」
「その者がまだ剣を使いだしてから1年だったとしたらどうじゃ?
逆に、30年以上使ってるとしたら?」
「あ! 確かに! 伸び続けてるBと止めってるBでは違いがある!!」
「そういう事じゃ。それに『B』というのも判りにくい。
Aに限りなく近いBと、Cに限りなく近いB。どちらが強いか判るじゃろ?」
「本当だ!!」
Bを数値化すると判り易いな。
Aが100~91、Bが90~81、Cが80~71だとして、81と90じゃあ違うよな。
「こういう事は学校で教えてるんじゃがな。通ってないので、勘違いしてると思って来たのじゃ」
「なるほど! ありがとうございます!」
「いや、判ってると思い込んで言ってしまったワシが悪い。すまんかったの」
それをわざわざ伝えに来てくれる。良い先生に出会ったなぁ。
「後、ついでに講義しておこうかの」
「何か?」
「ステータスを見ると、ある程度相手の事が判る。
そうするとな、それに頼りすぎてしまうのじゃよ。
ステータスを見れないと相手を信用しなくなるのじゃ。最後には人間不信になる」
あ~、なんとなく判る。
確かにずっと敵のレベルを見てた場合、見れない敵が出たら混乱するよな。
戦って良い相手か判断出来なくなる。
多分見た目が弱そうでも戦えなくなるだろう。
うん、危険だ。
「理解しました。注意します」
「うむ。
それと相手もステータスを見る事が出来る場合は、魔力が干渉しあう事があるぞ」
「それは何かマズいですか?」
「魔力が干渉しあうという事は、ステータスを見た事が相手にも伝わるという事じゃよ。
こっそりと見られたら、良い気分ではないじゃろ? プライベートを覗き見されたようなモノじゃからな」
た、確かに。
やましい事が無くても、見られて気分の良いものじゃないね。
でもラノベの主人公はしょっちゅう見てたような……。
あれは小説だしな。見て相手の情報を書く事で、読者に相手の人となりを教える事が出来る簡単な方法だ。
「スライムが現れた!」と書くよりも「レベル1のスライムが現れた!」と書く方が強さが判る。
登場人物にしてもそうだ。
名前:A 称号:ホニャララ領主
こう書く事で領主って一発で判る。姿や振る舞いを書くよりも簡単だ。
おっと、思考が逸れてしまった!
俺の事だったわ。
「忠告、ありがとうございます」
「判ってくれればそれで良い。使うなという事ではない。上手く使えば良いだけじゃ」
「はい」
ステータスを見る『鑑定』も使い方があるんだなぁ。
勉強になるわ。
またちょこちょこと色んな事を習いに行こう。
次話も土曜日の8時に投稿予定です。




