統括者は誰?
あっ、肝心な事を聞いてなかった。
「で、どうしたいの?」
「えっ?」
「貴方はこれからどうしたいの?
復権の為に手伝いを頼む? この国に亡命する? 他国に行く? 自殺する? どうしたい?」
「わ、私は……」
「ちゃんとしたい事を言ってくれよ? 後で違いましたって言っても遅いからね?」
「私は……民を助けたいです! でもその為にはどうしたら良いのか判りません……」
「だってさ、王様。どうするの?」
「ふむ。よくある話だと、我が国が後ろ盾となりサイラス国に攻め込む、という流れではないか?」
「その言い方だと、あまりやりたくなさそうだね」
「うむ。戦争になるだろうし、成功するとも限らん」
まぁそうだろうな。
確かサイラスは国土の中心に首都があったはず。
そこまで攻め上がらないと成功にならない。
だがそれまでに民は大変な事になるだろう。徴兵でもあればなおさら。
「福田殿なら、どうとでも出来るのではないか? 例えばドラゴンで首都を強襲するとか」
「いや、可能だろうけどやらないよ?」
「何故だ?」
「管理者はね、基本的には関与しないの。面倒とかじゃないよ?」
「……面倒なんだな?」
だって、テンプレだよ? 面倒じゃないか。
それに神の力を使うなら他にも方法はあるぞ?
「すぐに終わる方法ならあるよ。国自体を消滅させる。物理的に。
大変だからやらないけどね」
「恐ろしい事をさらっと言うな……」
「神に頼るってそういう事だと認識出来るでしょ」
「確かにそうだが……」
あっ、女の子はガタガタ震えてる。よく見ればメイドさんもだ。
ウソウソ。ゴメンよ。冗談だからさ。
「う~ん、ま、ちょっと考えてみるわ。明日また話そうよ」
「判った。では明日」
そう言って俺だけ退室した。
サキ? 置いてきたよ。見張りくらいしてくれるだろ。
家に帰って、皆と会議をする。
どうしたら良いか。オラに力を分けてくれ!
「テンプレきたーーーーーっ!」
「はいはい。ナグラさん、それはもう俺がやったから」
「だってテンプレじゃない。
勿論助けるんでしょ? で、その娘はハーレム要員になるのよね? ついでにメイドも」
「ならんわっ! とにかくどうしたら良いか考えて欲しいんだよ」
「あの、福田さん」
「はい、なんでしょう、キジマさん」
「何ですか、その言い方は……。
あのですね、神様に相談されてはどうでしょうか?」
「ん? 何で?」
「管理者であり使徒でもあるんですけど、どこまでやって良いか判らないじゃないですか。
その辺を聞いてみたら良いと思いますよ?
手出し無用と言われたら、方法を考えても無駄ですし」
「なるほど! ではそうしましょう」
さすがうちの参謀。良い事を思いつくね。
テンプレと叫んでる人とは違う。あっ、俺もか。
さて、どの神様に相談しようか。
当然この世界を管理してる神様が良いよね。
そうなると仏様はダメ。あの神様は地球だから。
……あれ? 誰が管理してるか知らないぞ?
作った神様は知ってるんだけどさ。
と、とりあえず、ルシファーさんにでも聞いてみるか。
あの人は後から島を作ったりしてるから管理してるっぽいし。
電話してみよ。
「ルシファーさん、今良いですか?」
「はいはーい。問題無いよー。どしたー?」
「ちょっと管理で問題が発生しまして。この世界を管理してる神様に話がしたいんですよ」
「あっ、じゃあ僕でも大丈夫だね」
「そうなんですか?」
「うん。今、その世界は3人の神で管理運営してるから」
「ちなみに他の2人は?」
「イイクラと、アポロンだね。アポロンも連れて行こうか?」
「いえ、ルシファーさんだけでOKです」
アポロン神もかよ! あんな脳筋が来たら危険だ!
イイクラさんでも良いんだけど、忙しそうだからなぁ。
そんな事を考えてる間に、いつの間にかルシファーさんが椅子に座ってた。早いな!!
「で、どしたの?」
「あのですね……」
事情をルシファーさんに説明した。
何故かナグラさんと「テンプレだよねー」と盛り上がってる。
変な文化を広めるんじゃない!
「そんな福田君に朗報です!」
「……何ですか?」
「……何で警戒してるの?」
「今まで平穏だった事が無いからですよ。島に馬車に船。どれも驚かされましたから」
「今回は凄いってば!」
「その凄いがレベルが違いすぎるんですよ!」
「そうかな? ま、気にしない。
あのね、福田君は管理者になったのに、出来る事が無くて困ってるでしょ?
そこで、ある程度の権限を与えます! ついでにキーボードも与えます!」
「……え~と。権限は判りますが、キーボードって何です?」
「パソコンのキーボードだけど?」
「いや、パソコン本体あってのキーボードでしょ?! 単体では何の役にも立ちませんって!」
「そうかな? 鈍器くらいにはなるんじゃない?」
「確かに! いや、そうでは無くてですね……」
「冗談冗談。これは『神のキーボード』さ!」
「神のキーボード?」
「キーボードで操作する事で世界をイジれます!」
全然、意味が理解できない。何を言ってんの?
次話は来週末辺りに投稿予定です。