表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/83

二度ある事は三度ある?

モリタ君を探しに街に出た。

いや、それはウソだ。買い物したいんです。

でもまるっとウソじゃないよ? 探すのも本当だし。

ただ、城に戻ってくるって事は判ってるので、出会えたら良いな~程度だ。


何故買い物したいかと言うとですね。

今回一人で偵察に行って、軍師とか参謀の人に頼ってたな~と思ったわけですよ。

つまりキジマさんとヒヨ。

で、何か買って帰って労おうと思ったわけですよ。

正直に言えば、これからもよろしくお願いします、っていう打算もある……。


折角の変態の国、いや、魔法道具開発の盛んな国、いや、やっぱり変態の国なので、良い魔法道具でも買って帰るかな。

って事で、早速『運』を使う。

何故って、早く見つけたいってのもあるけど、変態が多い場所に居たくないってのが主な理由だ。


大通りをてこてこと歩いてると、露天商の人から声をかけられた。

ん? 何処かで会ってるような? 気のせいか?


「そこのお兄さん! おもちゃの魔法道具あるよ! どうだい、子供のお土産に!」

「あ~、俺、結婚してないし子供も居ないので」

「えっ…………何か、ゴメンな」

「いや、謝らないで下さいよ!」

「じゃあ俺と同じ様に一人暮らしか?」

「違いますよ。仲間と住んでます。ご主人は一人暮らしなんですか?」

「ああ。女房に死なれてしまってな……」

「そ、そうですか……」

「ウソだよっ! 生きてるよ! ピンピンしてるよ!」

「ウソつかれても、貴方の家族構成とか知らないから判りませんよ!」


何なんだ、この人?!

ま、まぁ、軽いジョークなのかな?

堅苦しい態度じゃあ、露天では売れないからか?


「じゃあさ、お土産にどうだい、その病気の仲間に」

「うおぃ! 仲間は病気じゃないよ!」

「えっ?! じゃあ、誰が病気なの?!」

「どこから病気の話になった?! 誰も病気じゃないよ!」

「あれ~? まぁ、いいや。ささ、買っていってよ」

「でも子供向けのおもちゃなんでしょ? 大人には必要ないでしょ?」

「そうかい? 大人でも遊ぶだろ? 俺もさ、こないだ、トランプを徹夜して遊んだぜ?」

「そうなんですか?」

「ウソだよ~! すぐ信じるねぇ」

「だから、パーゾナルな事は判りませんって!!」


何だ、この人! 怖い!


「さぁさぁ、どうだい、このおもちゃ。なんと回転するんだぜ!」

「貴方が回ってるじゃないですか! 止まって下さい!!」

「目が回るじゃないかよ~。やめろよ~」

「俺が回したみたいに言うな!!」

「とにかくさ、どうだい? この軸に魔力を流すと、切れるまで自転し続けるんだぜ?」


地球のコマみたいだ。あっ、こっちでもコマって言うのね。

違うのは紐で回すんじゃなくて、魔力を流すって事だけ。

外観はほぼ同じ。


「しかも! 押しても倒れないし止まらないんだぜ!」

「……俺を押さないでもらえますか?」

「おっと、間違えた!」

「どんな間違いだよ!」

「いや、ほら、コマだけにね」

「コマだけに………………どこにもかかってないじゃないですか!!」

「何を興奮してるんだい? ドン引きなんだけど?」

「アンタが興奮させてるんでしょうが!」

「えっ?! 俺を見て興奮してるの?! 俺はそっちの趣味は無いから……ゴメンナサイ」

「俺も違うわ!!」

「とにかく、コマを見てよ」


つ、疲れるわ……。


確かにこのコマは面白い。指先でチョンと押しても倒れないし止まらない。

押した方向に逃げていくだけだ。


「あ~、確かに、ちょっと面白いですね」

「だろ?」

「円を書いて、その中に皆で置いて、一斉に回して、誰のが残るかっていうゲームが出来そうですね」

「だろ?」

「他にはどんな遊び方があるんですか?」

「そうだな~。あっ、思い出した。

 えっとな、まず、紙に円を書くだろ?」

「はい」

「そこに皆で回したコマを入れて、最後まで円の中に残ったコマの持ち主が勝ちって遊び方はどうだ?」

「…………それ、俺がさっき言った!!」

「えっ? 俺が今思い出したんだけど?」

「言ったって!!」

「いや、言ってないって。だって、これ、俺の死んだ息子が言った遊び方なんだぜ……」

「え……そうなんですか?」

「ウソだ~よ~!」

「そんなウソ、判るか!!」


何なんだ、この人。狂ってるのか?!


「まあまあ、落ち着いて。そうだ! アメリカンジョークを聞かせてあげようか?」

「何でだよ! 何でココでジョークなんだよ! ってアメリカって何だよ! どこにアメリカがあるんだよ!」

「えっ? 知らないのかい? ここから北東に向かうとアメリカ村ってのがあるんだよ?」

「大阪か?! 大阪なのか?! って言うか、その村で流行ってるジョークって事か?! 範囲狭い!」

「ウソだよ~。そんな村無いよ」

「なんなんだよ!」


結局、何でアメリカを知ってるか教えてくれないし!

あっ! こういう人、知ってる!!

思い出したくないから、記憶の奥底に仕舞っておいたのに!

旅館の主人の兄弟だろ! よく見れば似てるし! メガネかけてるし!


「あんた、弟なんだろ!」

「いや、俺は貴方の弟じゃありませんよ?」

「知ってるよ! 旅館を経営してる兄が居るだろ!

 後、兄弟に孤児院の院長が居るだろ!!」

「むむっ! そんなに俺の事を知っているとは……ストーカー?」

「違うわ!!」

「まぁまぁ、落ち着いて。

 俺は三男だ。今言ったのが上の二人だな。

 何だ、兄達の知り合いか。じゃあ、このコマはプレゼントするよ。兄達にヨロシクな」


正体が判明したらアッサリと引いたな……。

ま、いいか。コマも貰ったし。

沢山貰ったので、皆へのお土産にしよう。

あれっ?! もう居ない?!

もしかして、在庫を押し付けられた?!

次話も土曜日に投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ