二度ある事は三度ある?
モリタ君を探しに街に出た。
いや、それはウソだ。買い物したいんです。
でもまるっとウソじゃないよ? 探すのも本当だし。
ただ、城に戻ってくるって事は判ってるので、出会えたら良いな~程度だ。
何故買い物したいかと言うとですね。
今回一人で偵察に行って、軍師とか参謀の人に頼ってたな~と思ったわけですよ。
つまりキジマさんとヒヨ。
で、何か買って帰って労おうと思ったわけですよ。
正直に言えば、これからもよろしくお願いします、っていう打算もある……。
折角の変態の国、いや、魔法道具開発の盛んな国、いや、やっぱり変態の国なので、良い魔法道具でも買って帰るかな。
って事で、早速『運』を使う。
何故って、早く見つけたいってのもあるけど、変態が多い場所に居たくないってのが主な理由だ。
大通りをてこてこと歩いてると、露天商の人から声をかけられた。
ん? 何処かで会ってるような? 気のせいか?
「そこのお兄さん! おもちゃの魔法道具あるよ! どうだい、子供のお土産に!」
「あ~、俺、結婚してないし子供も居ないので」
「えっ…………何か、ゴメンな」
「いや、謝らないで下さいよ!」
「じゃあ俺と同じ様に一人暮らしか?」
「違いますよ。仲間と住んでます。ご主人は一人暮らしなんですか?」
「ああ。女房に死なれてしまってな……」
「そ、そうですか……」
「ウソだよっ! 生きてるよ! ピンピンしてるよ!」
「ウソつかれても、貴方の家族構成とか知らないから判りませんよ!」
何なんだ、この人?!
ま、まぁ、軽いジョークなのかな?
堅苦しい態度じゃあ、露天では売れないからか?
「じゃあさ、お土産にどうだい、その病気の仲間に」
「うおぃ! 仲間は病気じゃないよ!」
「えっ?! じゃあ、誰が病気なの?!」
「どこから病気の話になった?! 誰も病気じゃないよ!」
「あれ~? まぁ、いいや。ささ、買っていってよ」
「でも子供向けのおもちゃなんでしょ? 大人には必要ないでしょ?」
「そうかい? 大人でも遊ぶだろ? 俺もさ、こないだ、トランプを徹夜して遊んだぜ?」
「そうなんですか?」
「ウソだよ~! すぐ信じるねぇ」
「だから、パーゾナルな事は判りませんって!!」
何だ、この人! 怖い!
「さぁさぁ、どうだい、このおもちゃ。なんと回転するんだぜ!」
「貴方が回ってるじゃないですか! 止まって下さい!!」
「目が回るじゃないかよ~。やめろよ~」
「俺が回したみたいに言うな!!」
「とにかくさ、どうだい? この軸に魔力を流すと、切れるまで自転し続けるんだぜ?」
地球のコマみたいだ。あっ、こっちでもコマって言うのね。
違うのは紐で回すんじゃなくて、魔力を流すって事だけ。
外観はほぼ同じ。
「しかも! 押しても倒れないし止まらないんだぜ!」
「……俺を押さないでもらえますか?」
「おっと、間違えた!」
「どんな間違いだよ!」
「いや、ほら、コマだけにね」
「コマだけに………………どこにもかかってないじゃないですか!!」
「何を興奮してるんだい? ドン引きなんだけど?」
「アンタが興奮させてるんでしょうが!」
「えっ?! 俺を見て興奮してるの?! 俺はそっちの趣味は無いから……ゴメンナサイ」
「俺も違うわ!!」
「とにかく、コマを見てよ」
つ、疲れるわ……。
確かにこのコマは面白い。指先でチョンと押しても倒れないし止まらない。
押した方向に逃げていくだけだ。
「あ~、確かに、ちょっと面白いですね」
「だろ?」
「円を書いて、その中に皆で置いて、一斉に回して、誰のが残るかっていうゲームが出来そうですね」
「だろ?」
「他にはどんな遊び方があるんですか?」
「そうだな~。あっ、思い出した。
えっとな、まず、紙に円を書くだろ?」
「はい」
「そこに皆で回したコマを入れて、最後まで円の中に残ったコマの持ち主が勝ちって遊び方はどうだ?」
「…………それ、俺がさっき言った!!」
「えっ? 俺が今思い出したんだけど?」
「言ったって!!」
「いや、言ってないって。だって、これ、俺の死んだ息子が言った遊び方なんだぜ……」
「え……そうなんですか?」
「ウソだ~よ~!」
「そんなウソ、判るか!!」
何なんだ、この人。狂ってるのか?!
「まあまあ、落ち着いて。そうだ! アメリカンジョークを聞かせてあげようか?」
「何でだよ! 何でココでジョークなんだよ! ってアメリカって何だよ! どこにアメリカがあるんだよ!」
「えっ? 知らないのかい? ここから北東に向かうとアメリカ村ってのがあるんだよ?」
「大阪か?! 大阪なのか?! って言うか、その村で流行ってるジョークって事か?! 範囲狭い!」
「ウソだよ~。そんな村無いよ」
「なんなんだよ!」
結局、何でアメリカを知ってるか教えてくれないし!
あっ! こういう人、知ってる!!
思い出したくないから、記憶の奥底に仕舞っておいたのに!
旅館の主人の兄弟だろ! よく見れば似てるし! メガネかけてるし!
「あんた、弟なんだろ!」
「いや、俺は貴方の弟じゃありませんよ?」
「知ってるよ! 旅館を経営してる兄が居るだろ!
後、兄弟に孤児院の院長が居るだろ!!」
「むむっ! そんなに俺の事を知っているとは……ストーカー?」
「違うわ!!」
「まぁまぁ、落ち着いて。
俺は三男だ。今言ったのが上の二人だな。
何だ、兄達の知り合いか。じゃあ、このコマはプレゼントするよ。兄達にヨロシクな」
正体が判明したらアッサリと引いたな……。
ま、いいか。コマも貰ったし。
沢山貰ったので、皆へのお土産にしよう。
あれっ?! もう居ない?!
もしかして、在庫を押し付けられた?!
次話も土曜日に投稿予定です。




