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詰めの甘さ

結論。やっぱり俺が見ても強いかどうか判断出来ない。

じゃあ何しに来たんだって事になるけどさ。

で、もう一人の勇者を見に行こうとも思ったんだけど、移動手段が無いし……。

もういいや。帰ろう。



はい、帰ってきました。

何故か島に出場するメンバーが集まっています。

こら! コルラド国王! あんたは王だろうが! 仕事しろ!

何やってんの? あっ、アイ姫を鍛えてるのね。

確かにメンバー中で一番弱そうだもんな。


眺めてると、ホウズキさんがやってきた。


「どうじゃった?」

「え? 何が?」

「偵察してきたんじゃろ? 強かったかね?」

「あっ、知ってたんですね」

「武闘会に参加を決めてから福田君が居なくなれば、偵察に行ったんだろうと誰もが推測すると思うぞ」

「そんなもんですか」

「そうじゃな。で、どうだった?」

「いやぁ、俺が見ても判りませんでしたよ。判断できるほど、俺自身が強く無いですから」

「そうかね? だが想像くらいは出来るじゃろ。君の目で見た感想は?」

「そうですね~。あまり強そうには見えませんでしたけど……う~ん、やっぱり判りませんね」

「ふむ……ま、安心するが良い」

「ん? どういう事ですか?」

「『相手は弱いと思う』と言ったからと、慢心するようなメンバーではない。

 その辺を気にするなという事じゃよ」


あっ、そういうの、判るんですね。


「それにな。逆の方が心配だ」

「逆ですか?」

「そうじゃ。『強そうだった』とでも言った場合、萎縮するメンバーだと思うかね?」


あ~、そういう事。

確かに萎縮しそうにない。どちらかと言えば燃える気がする。


「だから本心を素直に言えば良い」

「そうですか? では。相手の中で一番強そうな人でも、アイ姫に負けると感じました」

「ふむふむ。そう感じたか」

「ええ。獣を相手にする所を見たんですけどね、剣の動きとか見えましたから」

「ほう。ちなみにここに居るメンバーの剣の動きは見えるかね?」

「そうですね……アイ姫のは見えます。セタさんでギリギリ。ムカイ団長やレッコ国王だと無理です」

「なるほど。魔法はどうだった?」

「あっ、そう言えば見てなかったです」

「その獣が出た時はどうだった?」

「誰も使ってなかったと思います」


使ってなかったよな?


「ただ、無詠唱とかなら判らないんですけど……」

「それでも確認の方法はあるぞ?」

「えっ? そうなんですか?!」

「相手のステータスを見る事が出来れば判るじゃろ。

 魔力が減ったかどうかを確認すれば良いのじゃよ」


あ~、なるほど!

確かにラノベではすぐに人のステータスを確認するよね。

そういう使い方もあったのか~。

あれって、持っているスキルとかを覗き見る為に使ってたよな。

中には使える魔法まで見れる話もあったわ。

この世界の『鑑定』は名前・LEVEL・HP・MPの4つしか見れないんだよね。

あっ、それだけ見れれば強さが判るじゃん……。

LEVELが高ければ、それだけでも強さが推測出来る。

しかも今は使徒になってるから、見ようと思えば全部見れるんだったわ……。

いや、あの世界では通用しない!という事にしておこう。うん、きっとそうだ。


……俺って、いつも詰めが甘いよなぁ。

もっと考えて行動しないとな。

最後には結局運任せだもん。

チートがあると、人間成長しないね。

そりゃ各国の王様も俺を自由に使うわな。

反省しよう。いや、反省はスライムでも出来る。今後ちゃんと実行しよう。



さて、さらっと反省した所でもう今日は家に帰ろう。

はいはい、皆さん、もう今日は終了ですよ!

は? 島の俺の家に住んでる?!

何言ってんの?! もう一度言う。何、言ってんの?!

俺の知らない間に、何してんの?!

えっ? 決まった時からずっと居るの?! バカなの?!

特にコルラド国王! 帰れよ! 仕事しろ!!


「福田君が出ろって言ったよな? だから訓練は大事だよな?

 福田君が言い出すくらいだから、大事な試合なんだろ? 訓練、大事だろ?」

「…………判ったよ! 泊まってもいいよ!」

「福田君なら判ってくれると信じていたぞ」

「うそくせー!!」

「おお、そうだ。今は息子が代行しているんだが、この書類が必要と言ってたわ。

 福田君、持っていってくれないか?」

「自分で行けよ!」

「あ~、訓練で疲れたな~。そう言えば、モリタも会いたいと言ってたな~」

「……判りましたよ。行ってきますよ」


何で俺がパシリをやらされるのか。

俺、一応使徒様だよ?

あっ、でも現在、閻魔様のパシリだわ……。



諦めて、コルラド国にやってきました。

モリタ君の部屋に来たんだけど、本人がいない。

政務をしてるのかな? どうしようか? 置いて帰ったらダメなんだろうな。

そんな事を考えてたら、メイドさんが入ってきた。


「あ、あれっ? 誰もいないはずなのに……。あの~、どちら様ですか?」

「え~と、モリタ君の友人です。王からの届け物を持ってきたんですけど、モリタ君は何処に?」

「え? あ、えっと、モリタ様は、現在街に行っておられます……」

「あ、そう。じゃあ行ってみるよ。もしすれ違いで帰ってきたら待っててと伝えておいてくれるかな?」

「あ、わ、判りました!」


よし、じゃあ街に行ってみよう。

しかし、メイドさんよ。本人もいない部屋に居た人物を簡単に信じちゃいけないと思います。

普通に考えて怪しい人だから。


しかし、この時、俺は街に行くべきでは無かったと後悔する事になるとは想像もしていなかった……。

次話も土曜日(9日)の8時に投稿予定です。

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