定義
ついて行く事、10分。
西門と言われる所に到着したっぽい。
門って言うよりも壁だなぁ。
まぁ戦争してたんだから、このくらいの城壁くらい作るか。
あっ、まだ戦争中だったわ。
さて、勇者は誰だ?
ここには兵士が沢山居るから判別出来ないぞ?
おっと、一緒に来た?兵士が話しかけてる人が居る。その人が勇者か?
近づいて見てみる。
あっ!! 角がある!!
ファンタジーな種族だ!! モンスターじゃないのは初めて見た!!
某有名な太郎さんみたいに、頭の天辺に1本立ってる。妖気を感じるのかな?
そうか、この世界にはファンタジーな種族が居るのか。
じゃあ、肌の色が違うだけのエルフじゃなくて、本物のエルフとかドワーフも居るかも!
それどころか、獣人とかも居るかもなぁ。異世界って言ったらコレでしょ!
と言っても、ウサギ耳や猫耳のオッサンとかには会いたくないけどな。でも種族だって言うなら居るよなぁ。
ハーレム物のラノベって、そういうのは出てこないよな~。出しても需要が無いのは判るけどさ。
おっと、トリップしてたぜ。
この人が勇者なのか、ちゃんと会話を聞いておかないと。
「おい、ソミマゴ。重要な話がある」
「何だよ。これから巡回なんだが」
「大事な話なんだよ! 俺の人生がかかってるんだよ!」
「はぁ?! 何だよ、それ?!」
「……悪いけど、ちょっと聞いてやってくれや」
「まぁいいけどさ。ただ……何でお前達は優しそうな目で俺を見てるんだ?」
「気にするなよ」
「そう、気にするな」
「……。で? 何だよ?」
「…………お前、熟女好きって本当か?」
「は?! お前何言ってんの?! それの何処が人生がかかった話なんだよ?!」
「俺よりもお前の方がモテる! だからお前が俺と同じだと困る! さあ、キリキリと吐けっ!!」
「アホか、お前は」
「むっ、否定しない所を見るに、やっぱり本当なんだな!! くそぅ!!」
「違うわ!!」
「……本当に?」
「本当だよっ!」
「そうか、じゃあ、男好きか」
「何でだよ! その2択しか無いのかよ!!」
「あっ、コレは答えなくて良いぞ。プライバシーの事だからな。
ついでに言うと、俺は30代後半以降の女性にしか興味無いから、俺の事は諦めてくれよ?」
「男好きじゃねぇし! そもそも趣味嗜好を聞きに来ておいて、今更プライバシー?!
しかも勝手に思い込んで、なおかつフってるお前に無茶苦茶腹が立つ!!
……あっ!! だからお前達、俺を同情的な目で見てたんだな?! 違うからな!!」
「つまり女好きと」
「合ってるけど! 合ってるけど、そう言われると変態みたいだから止めてくれ!」
判った。
この勇者の名前はソミマゴ。そしてイジられキャラだ。
……有力な情報が一切ねぇ!!
しかし良かった。
ソースの名前じゃ無かったわ。
ん? いや待て。変な名前だぞ? アナグラムか?
…………反対から読んだら胡麻味噌じゃねぇかよ! 結局ソースかよ!
もう、いいや。諦めた。
この世界の登場人物、全員ソースなんでしょ? 神様だけソースの名前なんて許せん!とかで決めたんでしょ?
はいはい、了解しましたよ。
気を取り直して……、この勇者の戦闘と言うか戦い方が見たいんだけどなぁ。
まぁ、俺が見てもどうしようも無いけどさ。
前に聞いたように、近接戦特化なのは判るけども。
せめて使う武器くらいは知っておきたい。
近接戦と言っても、片手剣・両手剣・槍・斧・ナイフ・槌・棍・包丁・バターナイフ・耳かき等、色々あるはずだ。
しかし、今も続いてる会話を聞いても女性の好みの話が続いてるし。
どうにか知る方法は無いものか……。
しょうがない、やっぱり運を使うとするか。
運が1減った所で、西門が騒がしくなってきた。
全員が移動するようなので、ぶつからないようについて行く。
姿は見えないだろうけど、物理的には居るので油断するとぶつかるんだよな。
到着したのは門の外。
どうやらモンスターが出たらしい。
この世界では、モンスターが外に居るのか。俺の居る世界とは違うな。
で、現れたのは牛。地球の牛よりもデカい。
と言っても乳牛しか見た事無いけどさ。
牛と言うよりもバッファローの方が近いか? まぁ、それも辞典での知識だけどさ。
ステータスが見たかったが、やはり世界が違うとダメなようで何も見えなかった。
ただ、周りの兵の様子から、結構強いモンスターなのだろう。ビビってる兵が多い。
ここは予想通り、勇者が対処するようだ。運、グッジョブ!
勇者は正面に対峙し、剣を構えた。
勇者は剣か。見たところ、片手剣だな。
それを突進してきたバッファローもどきの脳天に突き刺して終了。
一撃か~。でも剣の動きとかは目で追えたなぁ。あれ? そこまで強くないのか?
でも、周りの兵士達は「さすが勇者!」「見えなかったぜ!」とか言ってる。謎だ。
それにしても、あのモンスター消えないな。
あれっ? 兵士が集まって運んでいくぞ?
しかも今日の晩飯は豪華だなとか言ってる。
……モンスターじゃなくて、ただの獣?
うわっ?! 俺、恥ずかしい勘違い?!
消えたい! って消えてるんだけども!
次話は12月2日(土曜日)に投稿予定です。




