異例中の異例
双方の親の話を聞こうと思い仏様に連絡したのだが、その時にフと気づいた。
俺もだけど、皆が異世界に行けるのだろうか?という事に。
「仏様、二人が管理してる世界に行く事は出来ますか?」
「いや、基本的にダメです」
「基本的にって事は例外があるんですよね?」
「いえ、ダメです」
「無理ではなく、ダメって事は行けるって事ですね?」
「そういう揚げ足を取るような事を言わないでください!」
「だって、重要な事なんですから」
「諦めて下さい」
「え~。閻魔様にお願いされてやってるんですよ?
これくらい許可取ってくださいよ~」
「では、閻魔様に直接お願いして下さいよ!
私からは、ダメとしか言えませんよ!」
「そうなんですか?」
「そうです。
しかし、何であちらの世界に行きたいんですか?」
「戦争という名の武闘会に乱入しようと思ってまして。
ぶっちゃけ、神同士が争うのは好きにしろって思いますけど、世界を巻き込んでるので。
まず、そっちを止めようかな~と」
これが重要。
平和な戦争になってるけど、止められるなら止めたい。
「その世界の人間が勝手にやってる事です」
「神様視点だとそうなるんでしょうけど、俺はどちらかと言えば人間視点なので。
仏様なら判ると思いますけど、日本出身ですんで、宗教で戦争って納得出来ないんですよ」
「……理解しました。
では閻魔様と話を出来るようにセッティングしましょう。
しかし、私は賛成も反対もしませんよ?」
「それで結構です。お願いします」
1時間後、閻魔様と対面。
まさかこっちに来るとは!
そして仏様は逃亡。
「仏から聞いたよ。福田君、あっちに行きたいそうだね?」
「ええ。戦争を止めます」
「戦争と言っても武闘会だぞ?」
「それでもです。って事で俺以外に5人行きますので、お願いします」
「ん? んん?! 待て待て、福田君だけじゃないのか?」
「武闘会に参加?乱入?して、勝ちます。で、昨日の敵は今日の友みたいな事にします」
「う~ん、考え方は判るが……許可出来ないなぁ」
「じゃあ、俺には諍いを止めるのは無理です。
他の人に頼んで下さい」
「その言い方は卑怯じゃないかなぁ?!」
「そう思うなら許可下さいよ~」
「…………判ったよ! 許可するよ!」
よし!
後は勝つだけだな!
あっ、勝ちを確実にする為に偵察もするかな。
「許可ついでに、明日皆で一回行ってみますので、転送をお願いします」
「はぁ?! 何でだ?!」
「偵察ですよ。
ほら、敵を知り己を知れば、なんか、こう、アレで、勝ち、みたいな、やつですよ」
「……言いたい事は判るが、それくらいちゃんと覚えて言おうな?
さすがにそれは許可出来ない。武闘会の日、1日だけ限定で許可する」
「じゃあ、俺一人はどうですか?
ほら、使徒ですし? 神様に片足突っ込んでるようなモノでしょ?」
「神の世界を棺桶みたいに言うな!
……ふう。判った。福田君だけは明日と当日の2日間だけ許可しよう」
やったね!
これで出る順番とか判れば対策も練りやすい。
「ただし! 絶対に見つからないように!」
「はい。幸い『隠蔽』の能力がありますから、こっそりと行きます」
「後、むこうの物を持って帰ったり、こちらの物を置いて帰るのは禁止だ」
「判ってます」
「それから、一度検疫を受けてもらう。これは行く者全員だ」
「あぁ、病気対策ですね」
「うん? 理解が早いな?」
「勇者の事を色々聞いたので」
「あぁ、そういう事か。……なら行ってはいけない事も判るだろう?」
「判りますが、諍いを収めるのには必要な事なので」
「言っても無駄か。では色々と制約があるが、その辺の説明は不要だろう。
後日連れて行く者には、福田君からちゃんと説明するのだぞ?」
「はい」
「検疫等は、そうだな、トムの所でするとしよう。
その辺りはイイクラに頼んでおく」
「お願いします」
「ここまでするのだから、ちゃんと収めてくれよ?!」
念押しされました。
そりゃそうか。異例中の異例だもんな。
出来る範囲で頑張ろう。
はい、現場の福田です。
只今、デミを信仰する国「アルマンド」に来ております。通称Aの国です。
と、実況のように言ってみた。
しかし、「アルマンド」とはね。これまたソースの名前っぽいなぁ。
ちなみに相手国の名前は「ベシャメル」。
ソース絡みばっかり!
ソースがよく絡んでますね~ってか?! うまい事言うねぇ。どこがだよ!
うまい事言う? ソースだけに? 山田くん、座布団全部没収!
……一人でボケツッコミしてしまった。
一人って寂しいね。
次話は来週の木曜日(23日(祝日))に投稿予定です。




