模擬戦
よくよく考えてみれば、ミノ大陸選抜になって良かったかもしれない。
何故かって、俺やアサイさんが出られない理由と同じだ。
ナグラさん達は、使徒である俺の従属扱いになっている気がするから。
意気込んで乗り込んでいって、出られませんじゃあカッコ悪いもんな。
さて話し合いの結果、出る順番はこのようになった。
順番は、、、
先鋒:レッコ(コルラド国王)
次鋒:ムカイ団長
中堅:ホウズキさん
副将:セタさん
大将:アイ姫
国王が何故トップバッターかと言うと、戦いたいからだそうな。
確かに、中堅までで3勝した場合、残りは無しになる可能性もあるからね。
一応「怪我したり死んだらどうするんだ?」と聞いたが、「跡取りは居るので心配無用」と言われた。
そういう事を聞きたいんじゃなく、危険だから大将に居てくれって事なんだけどなぁ……。
次鋒はムカイ団長。
ここで1勝を取る予定。
負けるイメージが無いので、大丈夫だろう。
中堅はホウズキさん。
ここが不安要素。
ノートルダム国王に言わせれば「魔法について誰よりも熟知している。ちなみに接近戦も出来る」との事。
そう言えば、あの人は禁忌魔法も知ってたなぁ。
まぁ、本番までに、1度誰かと模擬戦をしてもらおう。
副将はグランザムの騎士、セタさん。
騎士って言うからムカイ団長ほどじゃないと思ってたけど、それは間違いだった。
グランザムでは兵士の最高位を騎士と言うんだそうな。
下級兵士→兵士→上級兵士→下級騎士→騎士、って序列。
騎士の中で王の側近を近衛騎士と言うらしいが、あくまで通称なんだって。
セタさん達はその通称近衛騎士の1人だそうだ。
そんな人達を、俺の迎えに使うなよ……。
大将にはアイ姫。
強さを知らないんだけど、このメンバーで考えると弱そう。
だから大将にしておいた。
男尊女卑って訳じゃないけど、やっぱり女性が戦って負傷する所は見たくない。
ナグラさんとかは良いのかって? いや、イヤだけど、止められないじゃない? それに強いの知ってるし。
まぁ、結局の所、運を使うので誰も負けないだろうけどさ。
異世界だけど、参加者はこっちの人間だから何とかなると思ってる。
いつものように間接的に運を使うだけだ。「選抜メンバーが勝ちますように」ってね。
それでもダメなら『混沌』を使えばOKだろ。
一応エリクサーだけは汲んで行くつもりだけど。
メンバーが決まったら、早速模擬戦です。
そうだよ、レッコ国王が実力を見たいと言ったからだよ。
それに全員が賛同。自分の国の者の力を試したいんだろう。
なかなか他の国の者と対戦する事は無いからね。
勿論、俺が各国の王を連れて迎えに行ったさ。
誰も断らない事に驚きです。
それどころか、全員乗り気でした……。
まずはレッコ国王VSムカイ団長。
ヤバい雰囲気バリバリです。
怖いのでトムさんを召喚して、審判をしてもらう事に。
あっ、対戦は木剣でやってもらってる。死なれても困るし。
……結果は引き分け。トムさんが途中で止めた。
うん、怪獣大決戦みたいだったわ。
次はホウズキさんVSセタさん。
セタさんは魔法も使える騎士だそうだ。
魔法も使える騎士VS接近戦も出来る魔法師の戦い。
これも引き分け。
ホウズキさんの魔法を魔法で避けるセタさんも凄かったが、接近戦で剣を避けるホウズキさんも凄かった!
アイ姫は相手が居なかったので、ナグラさんが相手をした。
結果はナグラさんの勝利。
さすがは元勇者。でもアイ姫も良い戦いをしていたと思う。
俺の横で見てたレッコ国王がそう言ってたから、そうなんだろう。
アイ姫はこのまま本番までコルラド国で王に鍛えてもらうそうな。
戦闘狂が戦闘狂に習うのか……。近寄らないようにしよう…………。
そうそう、模擬戦の最中にデカい鳥が飛んできたんだよね。
皆が身構えたけど、島の防衛機能が作動して瞬殺。
皆唖然としていたが、実はよくある。
とうとうクリュー大陸からこっちまで飛んでくるようになったんだよ。
で、何故かこの島にやってくるんだ。
その事を地下にあるコンピューターに聞いたら「誘ってるからです」という驚きの返事。
何で?と思ったが、ここなら瞬殺出来るけどミノ大陸に行ったら甚大な被害が予想出来る。
ならここに集めて倒す方が良い。って事で推奨しといたんだ。
ちなみに肉は極上。以前から何の肉と言わずに、各国の王におすそ分けをしてた。
アレの肉と知って、また唖然としてる。美味いから良いじゃないか。気にしない、気にしない。
さて、今度のスケジュールだけど。
どうやら戦争という名の武闘会は来月にあるようなので、それまで皆には鍛えてもらう。
その間に俺は、やっぱり情報収集だな。
折角山のように加護がある事だし、色々な神様に話を聞いてみよう。
もしかしたら諍いの原因を知ってる人がいるかもしれないし。
会いたくは無いが、双方の親の話も聞くべきかもなぁ。
次話も来週の土曜日に投稿予定です。




