勇者作成とは
説明回ばかりですみません…。
「まぁ、勇者召喚の事は判った。
で、勇者を作るってのは何だ? それは許可されてるのか?」
「色々条件があるけど、禁止では無いわね」
条件ねぇ。
「条件は全部で3つ。
1つは、戦争が100年以上続いてる事」
「いきなりヘビーな条件来たな。
理由は?」
「勇者が居れば早期に戦争を終わらせられるからよ」
なるほど。
人間兵器みたいなものか。
「2つ目は、信者が1000人以上で心から願う事」
「ラノベによくある、王族が魔法でムニャムニャみたいなのはダメって事か」
「そうよ。際限無く出来ちゃうからね」
納得。
好きなだけ呼べるようになるもんな。
「あっ、でも魔力がどうのこうので、制限があるってのを読んだ事があるぞ?」
「読んだんなら覚えてなさいよ……。多分勇者を呼ぶのに大量の魔力を使うとかでしょ?」
「うん、多分それ」
「呼ぶと作るでは違うんだけど。まぁ、いいか。
魔力なんてね、足りなきゃ集めるでしょ?」
「集める?」
「ほら、この世界でも王族が魔力を集めてるでしょ?」
「あぁ、そう言えばそんなのあったね」
「で、勇者を一人作ったらまた集めてまた作る。
集めた魔力が足りなくなったら、そういう王なら国民から搾取するでしょうね。
ついでに言えば、魔力を取る魔法もあるでしょ?」
うわっ、ありそうな話だ。
まぁ、召喚にしても作るにしても、一人もしくは一組ってのは不思議だったんだよね。
そういう魔法があるなら沢山呼べば良いのにってのは思った。
確かにヤバい国ならやりそうだな。怖い話だ。
「最後に、勇者を作る場合は魔王も作る事」
「はぁ?! 何で魔王?! 戦争がさらに苛烈になるんじゃないか?!」
「逆よ」
「逆?」
「RPGくらいした事あるんでしょ?
なら知ってるはず。勇者は魔王と一騎打ちするのよ」
「いや、確かにゲームだとそうだけどさ!
それってシナリオだろ? ゲームで、勇者が世界中の人を集めて魔王と戦うって話だと売れないだろ!
単独、もしくは限られた仲間と最後に戦うから盛り上がるんじゃないか!
そんなゲームだったらRPGじゃなくてシミュレーションゲームになるんじゃないか?!」
「ゲームの話はおいといて」
「お前が言い出しただろ!」
「とにかく!
魔王と勇者はどちらも一騎当千。それに戦いを挑めば死体が増えるだけ。
だから一騎打ちで勝敗を決めるの!」
……そう言われると、良い方法にも思えるな。
長く戦争をしてるよりマシかもしれない。
「ちなみに、負けた方の種族の人権は無くなるわ。
生かすも殺すも勝った種族の自由よ」
「うぉい!!」
「何か問題が?」
「問題しか無いわ!」
「戦争なんてそんなものよ?
戦争をずっと続けてたら、片方の種族どころか全ての種族が死滅するわ。
片方だけでも残れる方が良いじゃない」
……多分、これが神様達と俺達の違いだ。
考え方が違うわ。
穏便に終わらせるって考えが無い。
「変な目をしてるけど、ゲームだって描かれてないだけでそんなもんよ。
人間側でプレイしてるから気になってないでしょうけど、魔王に勝った後は多分人間は魔王に組みしたものを全滅させてるわよ?」
「判った! 理解したよ! だからもう喋るな! 聞きたくない!」
そうかもしれないけど、そんな裏話を聞きたくない!
「とにかく! 被害を減らす為に、勇者と対で魔王も作るんだな!」
「そういう事」
「で?」
「で? とは?」
「いや、あのソース達の事だよ。勇者を作ったんだろ?
何かダメだったのか?」
「あぁ、それね。
戦争は200年くらい続いてるから問題無し。信者の数も大丈夫」
「なら良いんじゃね?」
「あの二人はね、魔王を作らなかったの」
「は?」
「どちらも勇者を作って、しかも勇者同士を戦わせようとしてるの!
本来ならどちらかが勇者と魔王の両方を作るか、どちからが魔王を作るの!」
「……えっと、理解出来ない。
例えを入れてもう一回」
「もう! じゃあこうしましょう。その世界にはABCDの4つの種族が居るとしましょう」
「うん、それで?」
「AとBをデミが、CとDをグラスが担当してる。ここまでは良い?」
「うん。で?」
「AとDが戦争を始めました。しかも神の代理戦争です」
「ダメじゃないか」
「いや、別にそれは認められてるからOK」
「良いのかよ!」
「こういう場合は、BとCが介入してきて普通なら終わるから」
「普通じゃなかったんだろ?」
「そうよ。BはAと同じくデミを神としてるから、代理戦争ならA側じゃない?」
「そうだな」
「なのにAはBを攻撃して滅ぼしたの」
「えっ? アリなの?」
「神的には無しね。なのに、デミが指示したの」
「はぁ?! 理由は?!」
「Bが勇者を作る為の願いを拒否したから」
……そんな理由で?!
「ちなみに対抗する為にグラスも同じ事をしたわ」
「……」
「って事で、その世界にはAとCの2種類の種族のみとなりました。
で、Aは勇者を作る事に成功。Cは魔王となるはずなのに、Cも勇者を作りました」
「そこが判らない。何でどっちも勇者? 別に魔王でも良いじゃないか?
強さが違うのか?」
「どちらかと言えば、勇者は物理攻撃が主体。魔王は魔法攻撃が主体。
でも総合すると強さは同じね」
「じゃあなんで?」
「噂でしか知らないけど、魔王だと悪って感じがするからイヤだったって話よ?」
「……それだけ?」
「……それだけ。あくまで噂だけどね?」
く、くだらない…………。
次話は11月3日(祝日)に投稿します。




