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異世界勇者召喚とは

会議も終わり、現在は俺の部屋でアサイさんと二人っきりだ。

と言っても、色っぽい展開では決して無い。そう、決して。

ただ単に、詳しい事情を聞こうと思ったからだ。


「あの二人は無理よ~。諦めようよ~。面倒だよ~」

「おい、最後に本音が出てるぞ。原因は知らないのか?」

「多分、誰も知らないんじゃないかな? 双方の両親も知らないらしいし」

「そうなのか。所で、現状はどうなってるんだ?

 軽くは閻魔様に聞いたけど、詳しい事は知らないからさ」

「え~? それも閻魔様に聞いたら?」

「その閻魔様に派遣されたんだから、働けよ。教えろよ」

「も~、しょうがないなぁ~。聡明なアサイちゃんが教えてあげよう!」


あっ、イラっとした。

だが、教えてもらう為に、ここは我慢しよう。

が、後2回イラっとしたら、カラシ入り大福を食わす!


「まず、聞いてたのは勇者を作ってるって事だけどさ。

 その辺の説明をくれ」

「片方が勇者を作ったから、対抗して勇者を作ったのよ」

「……。

 あのな? そこに至るまでの経緯とかあるだろ?

 そ・れ・を・説明してくれって言ってるんだよ!

 そもそも、何で作ってるんだよ? ほら、異世界から呼ぶってのが定番じゃないか?」

「あぁ、ナグラさんみたいに?」

「そう」

「禁止だから」

「それは知ってる。誘拐になるんだろ」

「それもあるけど、過去に色々あったのよ」


色々あった?

気になるじゃないか。

ラノベの定番だぜ? 何故禁止なんだ?


「1回目は召喚後にすぐに死んだの」

「えっ? 何で?!」

「チート貰って、強いって勘違いしてモンスターと戦闘して死んだの。

 これは説明不足が原因だろうって事になったわ」


なるほど。ラノベでは最初から強いパターンがあるもんな。

それでチート=無敵って勘違いしたんだろう。


「2回目もすぐに死んだの」

「またかよ! また説明不足か?」

「今度はちゃんと詳しく説明したらしいわよ。原因は別」

「何が原因?」

「その世界のウイルスのせいね。病気で死んだの」

「あ~」


未知のウイルスか。

地球にいないモンスターが居る世界だ。知らないウイルスがあっても不思議じゃない。


「おいおい! って事は、俺は大丈夫なのか?!」

「一回死んでからだから、体を適応させて送ってるから問題無いわよ?」

「そ、そうか。安心した。

 …………って! 吉田君は?!」

「…………死んでないから大丈夫?」

「適当! アバウト! いい加減!!」

「知らないわよ! 私が呼んだんじゃないもん! イイクラとかに聞いてよ!」


そりゃそうか。

ま、まぁ、大丈夫だと思っておこう。

……でも、頻繁に呼ばない方が良さそうだな。


「3回目は逆になったの」

「逆?」

「世界が滅んだのよ」

「はぁ?! 何で?!」

「勇者にくっついて、未知のウイルスがその世界に来たから」

「パンデミック!」

「戦争はある意味終わったわよ」


そうか、そのパターンもあるのか。

そりゃ終わるだろ。双方が病気で全滅してるんだから。

そう言えば、第一次世界大戦ってスペイン風邪(インフルエンザ?)のせいで終結が早まったって話もあったな。

それだけウイルスって恐ろしいって事だよなぁ。


「それ以来、似ている世界からしか呼んではいけない事になったのよ」

「そりゃそうだろ。

 あれ? まだ呼んでも良いって事になってるのか?」

「ええ。それで4回目。

 今度は万全に。説明もしっかりと。

 ついでに勘違いからすぐに死なれても困るので、欲しいチートも選べるようになったわ」

「ん? 何で?」

「自分で選べば使い方も考えるでしょ?」

「……それはそれで落とし穴がありそうだけどな」

「正解!

 あらゆる武器を使えるようになるチートを貰ってたわ。

 筋力が足らなくて意味無かったけどね」

「アホか! 筋力もやれよ!」

「貰えるスキルは1つだけって決まりだったのよ。

 そしたらそいつ、『じゃあ<武器全般>ってのをください』って言ったらしいのよ。

 それは1つじゃないって言っても、屁理屈を言ってきたらしいわ。

 で、面倒になって筋力の事は話さずに渡したそうよ」

「……なるほどねぇ」


揚げ足取るような事をされれば、神様だって怒るよなぁ。


「それで5回目。

 そいつは内政チートを持って行ったわ」

「自分は戦闘に出ずに、指揮する方か。でもダメだったんだろ?」

「当たり前じゃない」

「どうなったんだ?」

「異世界に行ったら、基本的に平民よ?

 兵権とか預ける訳ないじゃない」

「国のトップとかに召喚されたんじゃないのか?」

「それでも、よ。逆転出来るような、一騎当千みたいな人間が欲しいの。

 なのに、軍師ですって言われてもねぇ。それに……」

「それに?」

「上手く行って勝てたとしましょう。

 そんな賢い人間を自分の手元に置いておきたい?

 自分の立場が危なくなると誰もが考えるでしょうね。

 王よりも人気を集めちゃうんじゃない?」


……世知辛い。

確かに乗っ取られる可能性も考えるよなぁ。


「事実、6回目では、勇者は勝った後に自分の国を作ったわ。

 それで世界統一を始めたの」

「……それって言い方を変えれば…………」

「ええ。世界征服よ。その時の神が倒したけど。

 人種差別の無い世界にするって言ってたらしいけど、無茶な話だったそうよ」

「悪くない考えっぽいけど?」

「何百年も戦争してた悪魔と仲良くしましょうって言われても無理な事よ。

 その世界の常識ってものもあるしね」


自分の親とかを殺した種族と仲良くしろってのは難しいかもね。

違う人(?)って言われても割り切れないだろうな。


「で、勇者召喚は禁止になったのよ。

 そもそも、異世界から呼んで打開しようってのが間違いね。普通に考えて誘拐だし」

「そりゃなるわ!! ってか、気づくのが遅いわ!!」


アホな話を聞いてしまった……。

次の投稿も来週の土曜日です。

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