イッカク?
王に連れられて野球場のような所へ行く。
ドーム球場みたいな作りだ。
中央で待っていると女の子が連れてこられた。メイドさんも一緒に。
多分あれがサイラス国の王族と一緒に来たメイドさんなんだろう。
「えっと……ここに連れてこられたのですが、そちらの方は?」
「こちらの方はな、福田殿だ」
「福田様……ですか?」
「ああ。貴方の国では知られてないと思うが、使徒様なのだよ」
「使徒様? ええと、何のご冗談でしょうか?」
「いや、冗談では無いのだ。福田殿、後はお願いする」
「早いな! えっと、福田です。この世界の使徒をやってます。と言うか管理させられてます」
「管理? 皆さん、私をバカにしてますか?」
まぁ、そう思うだろうなぁ。
ただの平民にしか見えないだろうし。
「疑われるのも無理は無い。福田殿、力の一端でも見せてやってくれないか?」
「はぁ。判りました。では」
早速、タローとサキを召喚する。
女の子(アズミだったっけ?)はドラゴンとユニコーンを見て腰を抜かしたようだ。
ヘナヘナと座り込んでしまった。
そのタローとサキだが、何故かこちらを睨んでいる。
「どうした、タローとサキ」
「相変わらず、予告も無しに呼び出すのね……」
「うむ。事前連絡は欲しかった……」
「良いじゃないか。ヒマしてたろ?」
「ヒマじゃないわよ! 私は管理の仕事してたんだから!」
「そうだ! 練習中だったのだぞ!」
「練習? 何の?」
「飛ぶ練習だ! かっこよく羽ばたけるようになってきたのに!」
「ヒマしてるじゃねぇか!」
「で、今回は何の用よ。早く終わらせて帰りたいわ」
「こちらのお嬢さんに、俺が使徒って事を判らせる為に召喚した。
色々聞かなきゃいけないんでね。使徒って信じてもらった方が話は早いだろ?」
「……貴方、閻魔様の加護を持ってたわよね?
なら『看破』が使えるんじゃないの?」
あっ、そうだった。
アレを使えば、ウソは簡単に判るわ。
「なるほど! じゃあ、もう帰っても良いよ。ご苦労さん」
「ちょっと! それだけ?! 待ちなさ」
2人はすぐに送還した。
誤魔化す為じゃないよ? 忙しいって言ってたからだよ?
俺は女の子に向かって歩く。
すると怯えながらもメイドさんが女の子の前に立ちふさがった。
「え~、このようにドラゴンやユニコーンを召喚する事も出来ます。
勿論、そちらが何もしないのであれば、危害を加える事はしませんよ?
使徒だと判って頂けたでしょうか?」
「は……はい……」
「福田殿、相手は怯えておられる。場所を移してから改めて話をしてはどうか?」
「そうですね。その方が良いですよね。お願いします」
女の子はメイドさんに支えられながら、ゆっくりと移動する。
俺と王は残ったまま。
「どう? 信じたかな?」
「あれを見て信じぬ者はいないだろうよ。我が国民も怯えてたからな」
そうなのだ。
使徒の威光を見せるって事で、国中の空をタローに飛んでもらったんだよな。
大々的に公表してたのだが、ほとんどの人間が信じなかったから。
国民はビビりまくって、王都に殺到したらしい。
俺に言わせれば、不格好な飛び方だったので威光も何も無いと思ったんだが。
そうか、だからかっこいい飛び方の練習してたのか。納得。
『ちょっと! 呼び出しておいて、すぐに帰すって何よ!』
『サキ! 念話で叫ぶな! うるさいぞ?』
『叫ぶわよ!』
うるさいなぁ。早く終わらせて帰りたいって言ったのサキだろうに。
しょうがないな。もう一度呼び出すか。
「?! ちょっと! 呼び出して帰して、また呼ぶって何よ!」
「何だよも~。帰しても文句言うし、また呼んでも文句言うのかよ~。オバチャンか?」
「誰がオバチャンよ!」
「はいはい、判った判った。サキはサポートしてくれ。王様、同席させても大丈夫でしょ?」
「ああ。サキ殿くらいなら入れる大きさはあるのでな」
「何よ! 太ってるって言いたいの?!」
「そんな事誰も言ってないだろ?! ……デブった? そのまま太るとイッカクになるぞ?」
「ならないわよ! 失礼ね!! ムキーーーーーーー!!」
否定しない所を見るに、少し太ったんだな?
ま、サキイジリはこれくらいにしておこう。
女の子を待たせてもいけないからね。移動しよう。
怯えながらも女の子は事情を話してくれた。
俺は看破を使用してたが、反応が無かったのでウソは言ってないようだ。
まぁアレを見た上、サキがそばに居る状況でウソが言えたら大したものだが。
話の内容を纏めるとこんな感じ。
王が消えた後、王族は混乱を極めた。
継承権を持っている王族の殆どが、次は自分が王になると言い出したから。
アズミもその中の1人。ただ、アズミは戦争をするのは止めて、他国と仲良くする為に立候補したらしい。
結局11人もの王候補が出たそうだ。
その中で戦争反対はアズミだけ。ちなみに女性もアズミだけ。
当然ながら他の候補者は結託してアズミを排除しようとする。
暗殺までされそうになったから、諦めて逃げ出したそうな。
はい。他国の継承権問題です。テンプレですね。
俺が助けてアズミが王になるパターンです。
はっきり言おう。面倒くせーーーーー!
地球でもそうだけどさ、神様が傍観者になるのが判るわ。
知るかっ!って言いたい。殲滅して無かった事にしたい。
も~、どうしようかなぁ。
次は週末辺りに投稿予定です。