幼馴染
何だよ、神の諍いって。
何で俺が神様の揉め事に介入しなきゃいけないのさ。
あっ、アレか!
ほら、地上最強になったから、宇宙とか過去とか未来とか、そういう所から敵を呼ぶ……人気作品を引き伸ばす……パワーインフレする…………飛ぶ雑誌の好きなパターンの…………ドラ、ゲフンゲフン!
アレだよ、アレ。あのパターンって事?
「……何か失礼な事を考えてただろう?」
「イイエナニモ?」
「……まぁ、良い。では頼んだぞ」
「ちょっと! ストップ! それで終わらせないで下さいよ!
詳しい内容をプリーズ! 情報無しとか、本当にキツいんで勘弁してください!」
「う、うむ。しかし、長くなるので、大まかに……」
「長くなるんですか。では是非説明してください。始めから現在までをね!」
「くっ、しょ、しょうがない。では話そう」
しかし、これ、本当に撮影済み?
ちゃんと会話になってるんだが。
「まず、二人は幼馴染なのだ。
二人の名は、デミとグラス。小さい頃は『やーい、ソース!』などとからかわれていたが、仲良くしていた」
「はい、ちょい待ち。その人達の両親、何でそんな名前にしたのさ!」
「ふふん、私が名付け親なのだ!」
「何でドヤ顔?! しかもイジメられてたってのに、ドヤ顔?!
で、何でそんな名前にしたの?!」
「深夜アニメを見ていた時に閃いたのだ!」
……絶対にグルメアニメだ。
ヒドいエピソードだ。俺なら絶対グレるわ。
「続きを話して良いかね?」
「あっ、はい。どうぞ」
「その二人が、20歳になった時、突然仲が悪くなったのだ。原因は私も双方の両親も知らない」
「って事は20歳までは仲が良かったんですね?」
「そうだ。家が隣同士なだけではなく、小中高と同じ学校に行っていたくらいだ」
そりゃ凄い。
そして、どこでもソース扱いされてたんだろうな……。同情します。
しかし、何で急に仲が悪くなったのだろうか? 20歳って所にヒントがあるのかもな。
「その後、二人は神となり世界を管理する仕事に着いた。
部署が違った事もあり問題にはならなかったのだが、二人で一つの世界を管理する事になったのだ」
「えっ? 仲が悪い二人で? その人事、誰がしたんですか?」
「私だ!」
「だから、何でドヤ顔?! 威張れる所は一つも無いんですけど?!」
「仲良しだったから問題無いと思ってたのだ!」
「昔の話でしょ? 今は違うんでしょ? 何で一緒にしたの? ねぇ、何で? バカなの? 死ぬの?」
「……福田君、興奮してるとはいえ、閻魔に対して、バカとか死ぬとか言うのはどうかと思うぞ?」
「すみませんでした。謝罪します。謝ります。タライを落とさないで下さい」
「何でタライ?」
「で、謝ったので水に流すとして、何で一緒にしたんです?」
「水に流すのは私の決める事なのだが……。まぁ、良いか。
一緒にしたのは、ディスティニースクエアの力なのだ」
「ディスティニースクエア?」
「そう、福田君は知らないと思うが、正方形で丸が21個ついてるのだ。
それを天に掲げ地に投げる事により、運命が決定されるのだよ。
それで選ばれたのだ。逆らう事は出来ぬ」
「…………それって、サイコロの事ですよね?」
「…………そうとも言う」
大事な人事をサイコロで決めちゃったよ、この人!
「何をカッコつけて『ディスティニースクエア』とか言ってるんですか!
言い方を『ディスティニースクエア』とか言ってもサイコロでしょ?!
そんな『ディスティニースクエア』なんかで決めちゃダメでしょ!
何で『ディスティニースクエア』なんかに頼ったんですか?!」
「福田君、『ディスティニースクエア』って言いたいだけだろ?」
「はい」
「それは置いといて、だ。
とにかく、なかなか良い組み合わせが決まらないからサイコロで決めたのだ!
仲が悪い二人に決まった時、運命だと思ったね。
力を合わせ、一つの世界を管理する。その内に仲直りもするだろうと」
「でもそうならなかった」
「そういう事だ。より一層悪くなった」
「ダメじゃないですか……。サイコロなんかで決めるから……」
「ディスティニースクエアは絶対なのだ!」
「何が閻魔様をそこまでにさせてるんですか?!」
しかし、何となく判った。
神同士の諍いを収めると言うよりも、幼馴染を仲直りさせろって事だな。
名付け親だし、気になってるんだろう。
世界の管理とか持ち出して誤魔化してるけどさ。
「二人の仲の悪さは、その世界の者達にも伝わった。
神を信じる者達同士で戦争が起きている。
そしてとうとう、二人は勇者作成を始めたのだ」
「ウォイ!! 大問題!!」
「そうだ、大問題だぞ? だから収めて欲しいと言っているのだが」
「そんな感じじゃなかったですやん! 兄弟喧嘩の仲裁って感じでしたやん!」
「福田君、口調がおかしいぞ?」
「おかしくもなりますわな! ビッッッックリしましたわ!」
「では、頼んだぞ。なお、このファイルは自動的に消滅……しないので、削除してくれたまえ」
「ちょっと! 終わらせるな! 閻魔様?! 閻魔様?!」
返事がない。どうやら屍のようだ。って違う!!
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
シャレにならない問題だったわ。
コレを俺だけで? 解決? それ、どんな無理ゲー?
次話は土曜日に投稿します。




