面接?
しょうがないので、このダンジョンに居るアリ以外のモンスターから選ぶ事にした。
アリ以外を選ぼうとするとシロが悲しそうな顔をしたので、慌てて説明しておく。
「俺の従魔を選ぶんじゃないから! 他人の従魔だから!
それに、ほら、アリ達は俺の従魔扱いだろ? 逆に選んだら可哀想だろ?」
「そういう事か。判った」
「判ってくれたか。良かった」
「じゃあ集めるね」
「ん? 何を?」
「モンスター。選ぶんでしょ?」
「うん、選ぶけど……。集められるのか?」
「うん。ついてきて」
シロについて行くと、少し広めな場所に到着した。
そこでは兵隊アリ(?)が何か準備をしている。
……何でテーブルと椅子を並べているのかな?
「準備出来たよ。座って」
「えっと……何の準備?」
「選ぶ準備?」
「あ、そうなの? それでこれ?」
「そう」
言われるままに座る。
俺の左にはシロが座り、その横にカンダさん。
俺の右にはナグラさんが座った。
「はい。じゃあコレ」
「……何でメガネと筆記用具?」
「必要でしょ?」
「……?」
何に使うというのだろうか?
いや、何となくは判ってきてるよ? だが認めたくないんだ。
皆が伊達メガネをかけると、近衛アリがモンスターを連れてきた。
ボコボコにされたのか、弱り切っている……。
そして、想像通り、近衛アリが話しだした。
「エントリーナンバー1番、ゴブリンです」
就職面接かよ! いや、オーディションか?!
既にナグラさんはノリノリだ!
「志望動機は?」
「ゴブゴブゴブ!!」
「なんて言ったの?」
「すみません……無理やり連れてこられたと言っています。少々お待ち下さい」
そう言うと、近衛アリはまたゴブリンをボコり始めた。
何か俺達が悪者みたいな感じがするわ……。
「……ゴブゴブゴブ」
「はい。自ら進んで来ました。頑張りますと言っています」
いや、言ってないだろ!
と言うか、無理やり言わしてるだろ!!
「計算は出来ますか?」
「ゴブゴブ」
「2ケタの足し算と引き算くらいなら、と言っています」
……ナグラさんも冷静に進めるね。
くっ、乗っかるしかないのか!
そのまま面接は進行した。
ナグラさんが色々と質問していく。
「最後に、このスマホを触ってみてください」
「ゴブ……」
「どうやら作動するようですね。判りました。お下がり下さい」
これでやっと1人目(?)が終了。
そして次の人(?)が連れてこられる。
こうやって10人くらい面接した。
誰もがボコられて連れて来られている。ゴメンね。
来たのは、オーガ・キラーバイパー・スコーピオン・カプリコーン・サハギン・グラップベアー・処刑人・パペット・サードアイ・グール。
スマホが反応しなかったのは次の4人。
キラーバイパー・スコーピオン・カプリコーン・パペット。
キラーバイパー。デカいヘビだ。尻尾で触れたが反応無し。
スコーピオンはそのままサソリ。ハサミでも尻尾でもダメだった。
カプリコーンは、山羊だが2足歩行しているやつ。手が蹄だったせいかな?
パペットは木製の操り人形のようなやつ。木製だからだろう。
ちなみに……
オーガは鬼。身長が3mくらいある。
サハギンは魚に手足が付いた魚人。
グラップベアーはデカい熊。
処刑人は袋を被ったガチムチな男。人間では無いらしい。
袋を被ってるからと言ってカプリコーンに対して「首領!」とは叫んだりはしない。
サードアイは目が3つあるクラゲみたいなの。黄色じゃないし、羽も生えてない。
グールは腐りかけの死体。と言っても元人間ではない。そういう形で発生するそうな。
さて、どれを選ぼうか?
次話も土曜日に投稿します。




