海には海の人が居る
やってきました、コロナ国!
バレると面倒なので、『隠蔽』を使っての入国です。
で、早速神社に来てみたんだけどさ……判るはず無いよね。
しょうがない、神主さんとかに聞いてみるか。
そう思いながら歩いてたら、突然腰にタックルされたよ。
カンダさんやナグラさんが止めることも出来ない速さだった。
おかげで1mくらい、一緒に吹っ飛んだわ。
「何? 何??」
「うわーん、待ってたよー!! ヘルプ、ヘルプミー!!」
「いいから離せよ! 離れろよ!!」
「離さないよー! 聞いてくれるまで離さないよー!!」
何なんだ、こいつは。
さっきからゴンゴンと頭をぶつけてくるから痛いし。
ん? 腰に頭をぶつけられてるのに、何で突起物を当てられてる痛みがあるんだ?
あっ、コイツ! 額に角がある!
鬼か? 鬼なのか?!
とりあえず仮称としてツノだからカクさんと呼ぼう。
あっ、ポンコツのじゃないからね! 2本も無いし、タライで壊れそうに無いから!
待て待て。よく考えれば、俺って『隠蔽』してたよな?
何で発見されたんだろう?
えっと、『隠蔽』が効かない相手って事は……この世界のモンスターじゃないのか?
って事は『混沌』を使わないと、運も通用しない?
だから発見されて捕まってタックルされた?
「えっと、とにかく落ち着いて。もしかして、神様関係者?」
「そうだよ! 海の管理者だよ!」
そういえば聞いた事あるな。
このミノ大陸は4箇所のダンジョンで管理してるんだけど、海は別って話だった。
そうか、このコロナ国にあるダンジョンで管理してたのか。
「で、その管理者が何で困ってるの? 死者の管理してるだけだろ?」
「オイラの名前はハイロ! 困ってるのは福田クンのせいなんだからね!」
「は? 俺のせい? 何で?」
「福田クンはさ、サイラス国を改変したよね!」
「え~と、そうだったかな?」
「忘れないでよ! そうなの! そのせいで死者が減ったの!」
「減ったんなら管理が楽になるんじゃないの?」
「何言ってるの?! その代わりに生誕の管理が忙しくなったの!」
「生誕の管理?」
「他のダンジョンでもやってるでしょ!」
「え? 知らない……」
「何で知らないのさー!!」
そんな事やってたのか?
まぁ死者の管理だけしててもダメか。新たに生まれるのも管理しないとね。
同じ所でしてるなんて知らなかったよ。
「で、何で忙しくなったの?」
「戦争が無くなったから、平和になったでしょ?! そうすると出産が増えるの!」
あ~、旦那が戦争に行かなきゃ子作りも可能か。
平和なら尚更だよね。
ついでに戦争が無くなれば、税金も安くなる?
出費が減れば子供を養う余裕も出るか。
「うん? サイラス国って大陸だろ? 関係無くない?」
「あの国は島国を攻めてきてたの! 海戦をすると海の管理になるの!」
あっ、そういう仕組みなのね。
サイラス国周辺の海には6つの島国があったらしいが、現在は2つしか残ってないそうな。
4つも攻め取ってれば、そりゃ死人は多いわな。
「うん、忙しいのは判った。で?」
「で?って!! 今までは1人で管理してても問題無かったの! でもそれじゃあ間に合わなくなったの!」
「えっ? 全部1人でしてるのか?」
「違うよ! 死者の管理はオイラと後2人でしてるの! 生誕の管理はオイラだけ!」
「じゃあ死者の管理してるのを1人連れてくれば?」
「そんな簡単じゃないの! 仕組みが全然違うんだから!」
「ふ~ん。そうなんだ。じゃあ神様に頼んだら?」
「もう頼んだよ! そしたら『自分で探しなさい。あっ、給料はちゃんと出すから』だってさ!」
「え~。こっちの世界の人に勝手に事情を教えても良いのか?」
「何言ってるの?! 管理してるのはどのダンジョンでもモンスターだよ?!」
へっ?! そうなの?
そう言えば人間を見ないな。トムさん、タロージロー、サキ、全員モンスターと言えばモンスターか。
ケンタウロス、ドラゴン、ミノタウロス、ユニコーンだし。
他の管理してる人を見た事無いけど、それもモンスターなのね。
よく考えたらタローに管理とか無理そうだもんな(失礼)。
「そういう事か。じゃあ探しに行けば?」
「忙しいって言ってるじゃないか! そんなヒマは無いの!」
「まぁ、そうか。 ん? って事は、もしかして……」
「そう! 福田クンに探してきて欲しいの!!」
うわっ! 面倒!
あっ、神様も面倒だったんだろうな。
「判った判った。じゃあそこら辺から何か捕まえてくるよ」
「それじゃダメなの! 雇用条件があるの! 福田クンのせい何だから、ちゃんと条件に合ったのを見つけてきて!」
クッソ面倒! 何だよ雇用条件って!
次話は来週土曜日に投稿予定です。




