またまたサミット
サイラス国編です。
外伝? 後日談?
サイラス編
最強というか使徒になって1年。
今日はミノ大陸のサミットの日。
何故か未だに俺の島が使われてる。
各国持ち回りで良いじゃないかよ!
絶対お前達、リゾート満喫半分に来てるだろ!
「転移門も結構増えたが、何か問題はあったかね?」
「うちは問題無いな。国土が大きいのでもっと増やしたいくらいだ」
「それは私の国もだ。そういう要望が多くてね」
今回はロッツギルのジジイが司会進行か。
現在、各国には3箇所は転移門が設置されている。
ノートルダムだけは2箇所だけど、国土が狭いからあまり困ってないらしい。
それどころか、沢山設置するのを嫌がっている。
聞けば国を通過してもらう事で国にお金が落ちるからだそうだ。
納得。日本でも高速道路が出来たら、収入が減ったって地域もあるしね。
サミットは滞りなく進んでいく。
現在は転移門のお陰で、サミットになる前に国同士で話し合いをしてるようだ。
で、サミットで最終決定する感じ。
何で?って聞いたら皆が一斉に目を逸らす。
……早く終わらせてリゾート満喫ってか?!
次からは使えないようにしてやろうか?
そんなサミットだが、最後に爆弾が待っていた。
「未確認だが、昨日我が国にサイラス国の王族の1人が入ったという情報が来た」
「それは本当か?! グランザムの、どうなんだ?」
「だから未確認だと言ってるだろ?」
「入ってきたのは誰だ? 何の為に? また戦争でもするつもりか?」
「情報では、女らしい。身分を偽って入国しようとしたらしい。
付き添いも女が1人だけ。多分だが、メイドだと思われる」
「ふむ、それでは斥候とは思えないな……。目的は何だ?」
「そこで福田君だ」
「ん? 俺がどうした?」
「会ってもらいたい」
「はぁ?! 何で俺が?!」
「使徒様は、戦争はイヤだろう? ならば会って話を聞いてもらい、事情があるなら解決してもらいたい。
使徒様なら誰も文句は言わないし、もし攻撃されても国同士の揉め事にはならないからな」
「おい……。こんな時だけ使徒呼ばわりするなよ」
「では、パターン青とか言われた方が良いか?」
「何でそんなネタを知ってる?! ってナグラさんか!!
全員ニヤニヤすんな! コルラドのオッサン、白手袋すんな!!」
「ではこの事は、福田殿に一任しよう。皆の者、それで良いかな?」
「「「「「異議無し!」」」」」
「まだ受けるとも言ってないぞ?!」
「使徒様、お願いしますじゃ」
「ニヤケながら言われても説得力が無いわ!!」
結局、全員から説得されて引き受けることになった。
悔しいので次回からは島をサミットに使わせないという決まりを作ってやったぜ。
「では、次回は、この島で国家討論会を開催じゃ」
「……おい」
「サミットはしませんよ? 討論会ですから」
「王って汚ねぇ!!」
2日後、グランザムに到着。
今回の同行者は、カンキジコンビだ。
ナグラさんはクリュー大陸に行っている。今日も嬉々としながらソロバンを叩いてるだろう。
腐った本を出そうとしてたので、使徒の力で禁書にしたけど。
コタニさんはカンキジの子供の面倒を見てる。可愛くて仕方が無いらしいです。
あぁ、名前はミミちゃん。女の子だ。
使徒である俺に名前を付けてくれと言われたのが、一番焦った。
なかなかのチャレンジャーであると思う。
7日間悩んで、ウエダさんに相談しに言ったんだよ。
そしたら丁度ナミちゃんが居たので、ピンと来たんでミミと決めた。
帰って報告したら、皆安堵の表情をしてたな……。
そんなに信用出来ないなら、名付けてくれって言うなよ。
この世界に来てからの大変だった事ベスト10にランクインする程の苦労だった。
閑話休題。
転移門をくぐると、王が迎えに来ていた。
「使徒様、お待ちしていました」
「あ、はい」
「こちらへどうぞ」
そのまま馬車に案内される。
乗るのは俺達と王だけだ。
「何、あの丁寧なのは?」
「色んな者が見てる前で使徒に偉そうな態度は出来ないだろ?」
「そうかもしれないけどさ……気持ち悪い」
「失礼だな。俺にもあれくらいは出来るぞ」
「はいはい。で、どうだったの?」
「あぁ。確認したが、やはり王族だった。第3王女のアズミだ」
「へ~、そうなんだ。で、何しに来たのか聞いた?」
「亡命だと言っているが、真実は判らない」
「亡命ねぇ。もし真実なら受けるの?」
「サイラスの王族を亡命させるなんて、戦争の口実になってしまうわ」
「まぁそうだろうねぇ。で、俺はどうしたら良いの?」
「真実を聞き出してもらいたい」
「え~?! 素直に喋るかなぁ?」
「そこは使徒の力で」
「そんな力なんか無いわ!」
どうしようか。
そもそも、俺が行って「使徒です。事情を説明してください」って言って信じるか?
絶対に頭がおかしいと思われて終了だろ?
しょうがない。俺の従魔四天王から1~2人呼んでビビらすか。
「じゃあ、広い場所にお願いします」
「広い場所? ……あぁ、アレをやるのか」
「しょうがないでしょ。見た目じゃなめられるんだから」
「判った。手配する」
この世界の管理者になって、最初にやった事。
それは死者の管理をしてる4人(4匹?)を従魔にする事だった。
タローとサキは無茶苦茶イヤそうな顔してたなぁ……。
その後、各国でお披露目をしたよ。どの国でもビビられてた。
思い出したら腹が立ってきた……。よし、今回はタローとサキを呼ぼう。