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1p  作者: 雪平あこ
カフェ・ノワール2章
2/6

2p

「彼女に会えそうよ」

閉店後、由梨は言った。

「名案でも浮かんだ?」

「香月高校はマンモス校だった。制服も手に入れたわ」

「由梨ちゃん、すごいね!仕事が早い」

「1人くらい知らない人が紛れてもわからないと思うわ」

ん、と清一は思った。

一人?

嫌な予感しかしない。

「男子の制服」

嫌な予感は当たった。

「僕が潜入するのか?女子の方が警戒されないんじゃない?初対面の僕が声をかけると警戒されない?」

異性、それも初対面の人間が呼び出すにはハードルが高い。

「仕方ないでしょ。女子のは手に入らなかったの。藤原さんがいくしかないわ」

あぁ、胃がキリキリする。

自分の大学でも、グループ発表の時以外には声をかけられないのに。

向こうから相談に来ることはたまにあるけれど、女子は苦手だ。

知らない高校で、知らない女子を呼び出すなんて、罰ゲームみたいなもんだ。

「ほんとに僕一人で行くのか?」

「当たり前でしょ。いくらマンモス校といっても私服で歩いてたら目立つじゃない。諦めなさい」

ガクリと肩を落とし、ため息をつく。

このメンバーに入れられてため息をつくことが多くなった。

けれど、仕方がない。やるしかないのだ。清一は制服を見ながら覚悟を決めた。

明日、大学を途中で抜けて、呼び出すことにした。放課後では帰ってしまう可能性があるからだ。

警戒されて呼び出せなかったらどうしよう。不安ばかりだ。


ちょうど昼休み頃、清一は香月高校に、制服に着替えて高校に、乗り込んだ。

制服、高校なんて、いつぶりだろう。全く違う高校だが、懐かしさを覚えた。

探し歩いて2年生の階に着いた。

髪を後ろでまとめ、花の髪飾りをしている子。

教室を覗いたり廊下を歩いたりして探した。変に見られていないだろうか。

教室は8クラスあった。なかなか見つからない。ふと、廊下の窓から中庭を見ると弁当を食べる学生が見えた。ちらりと髪飾りが見えた気がした。

清一は階段を降りて中庭に足を運んだ。

友達といるのが気まずい。

また胃がキリキリし始めた。

3人の学生が仲良く喋りながら、弁当を食べている。 近づいていく。真ん中の少女は確かに橘の言っていた髪型だ。

「あの、如月梨絵さんで間違いないですか?」

真ん中の女子生徒に尋ねる。

「え、えぇ。あの、私に何か…」

ほら、警戒心丸出しじゃないか。

「橘優斗を知ってますか?」

如月はくりっとした目をさらに大きくした。

「は、はい…」

「橘くんのことで話があるので、放課後、屋上にきてもらえますか?」

まだ、不審者を見るように目を向ける。

「僕、橘くんの知り合いなんです。どうしても伝えたいことがあって。どうこうしようって気はありません。橘くんから、亡くなる前に言伝てをもらっていて、それをどうしても伝えたいんです。信用してもらえないのはわかっています。それでも来てくれたら…」

「わかりました」

彼女は僕の言葉を遮るように言った。

「ありがとう。じゃあ放課後、待ってるよ」

僕は微笑んでそこを離れた。


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