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1p  作者: 雪平あこ
カフェ・ノワール2章
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1p

「依頼人だよ」

店長は閉店後言った。

依頼人は沙依さんが連れてくれるらしい。

この間のリング探しで、若干睡眠不足の清一はあくびをした。

「もしかして僕、メンバーに入ってます?」

「ははは、今さら何言ってんだ」

店長が明るく言う。一方清一は肩を落とし、ため息をつく。

「次の人はどんな人ですか」

「沙依ちゃんが、会わせてくれないとわからないよ」

店長はのんびり言った。

やがて沙依さんと由梨ちゃんが階段を登ってきた。

「さっそくだけど沙依ちゃんよろしく」

ポン、という弾けるような音がすると、沙依さんは妖狐姿になった

少し見慣れた気がするのは気のせいだろうか。

杖を受け取って沙依さんは魔方陣を、描き始めた。

すっと現れたのは高校生くらいの少し幼さの残る少年だった。

「彼はひき逃げされたそうよ」

「ひき逃げ…酷いな。犯人は見つかっているのか?」

「まだだそうよ」

「まさか、犯人探しとか…?」

「いいえ、彼には想い人がいたそうよ」

彼はゆっくりうなずいた。

「ずっと見ているだけだった子に徹夜でラブレターを書いた。勇気をだして。それを渡す日、彼は轢かれ、無念のままに成仏できないままでいる。好きな子に告白できなかった想いが強いの」

「よくわからないけど、手が熱い。なんとなくだけど、それが想いなのかな。すごく好きだったんだな」

「私も何か感じるわ」

「それだけ想いが強いのか」

「皆が感じるということは、暴走する可能性があるわ。店長、くれぐれもよろしく」

「あいよー」

少し緊迫した雰囲気にそぐわない適当な声色だった。

そのおかげで少し緊張がとけたのだけど。

「ラブレターはまだ鞄のなかだそうよ。家族が処分していなければまだあるはず」

「清ちゃん」

「はいはい、わかってますよ。取りに行ってきます」

「私も行くわ」

清一は少し驚いた。由梨は動かないとおもっていたからだ。

「藤原さんひとりじゃ不審者よ」

「酷いなぁ」

多少心強い、清一はひっそりと思った。その感情は隠したが。

「明日行ってみるよ」

清一は仕方なく言った。


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