黒衣の剣士
第4話です。ホントに拙いです。読みづらいかもしれませんが、時間をかけて段々と読みやすくしていこうと思います。
読んでくださる方々、ホントにありがとうございます!
ゴブリンのリーダーがまさに手に持つ棍棒で叩きつけようとしたとき──
ドォン──
ドォンッ─
ドォンッ!
何かを力任せにぶち破る音が聞こえてきた。更にその音をつくっているナニかは段々とこちらに向かってきているのだろう。肌を震わすような轟音が徐々に大きくなってきている。
「!?ナンダ!?」
ゴブリンのリーダーは降り下ろした棍棒を直前で停止させ、素早く己の身を守るように構える。その直後──
バガァンッ!
耳をつんざくような轟音が大小様々な石礫と共に飛来する。ゴブリンのリーダーは驚異になりそうなものを選んで打ち落とした。しかし、背後に控えていたゴブリン達にはそんな芸当が出来る筈もなく、数匹のゴブリンを除いたすべてのゴブリンに石礫が鋭く突き刺さる。
背後の惨状に目をくれることもなく、突如轟音と共に現れたソイツにゴブリンリーダーは目を向けた。
──闇。
一瞥したゴブリンのリーダーは、ソイツの特徴をそう認識した。
ボサボサの黒髪に、やや整った顔立ち。ソイツの目には夕暮れ時の陽光を彷彿させる紅い眼球が収まっていた。全身の衣服は全て黒に統一されており、ソイツの持つ身の丈に合わなさそうな大剣さえも黒く染められていた。
──そして。
何よりもソイツから溢れでる雰囲気に、ゴブリンのリーダーの頭の中では常に激しく警鐘が鳴っていた。
「キ、キサマハナニモノダ?」
ソイツに対してゴブリンのリーダーは、隠しきれない動揺を何とか押し殺そうとしながら、そう問い掛けた。
「別に?何者でもないさ。まぁ…強いて云うなら、しがない討人〈うちびと〉ってとこだな。」
飄々とそう返す討人と名乗るもの。
「ふーむ、ゴブリンロードにゴブリンナイトが何人か、か。何とかなるかねぇ?」
「キ、キサマ……!オレタチニヒトリデカテルトデモオモッテイルノカ!!」
「いや、だってゴブリンだし。」
「オレハホカノヤツラトハチガウ!オレハゴブリンヲコエタノダ!」
「ふーん?じゃ、やってみる?お前が強いかどうか俺が試してやるよ。」
「ホザイタナ!ニンゲンゴトキガァ!!オマエラ、ヤッチマエェ!!」
いつの間にか警戒心が怒りに塗り替えられ、ろくに考えぬまま、感情に任せて配下のゴブリンに命令をくだす。
石礫をかわせる能力があるだけのことはあり、ゴブリンナイト達は即座に命令を遂行する。しかし。
「!?グギャアッ」
「ギァッ!」
「グェッ」
「ガギィッ!」
討人はまず、大剣を横凪ぎに振るい一匹を切り捨てる。更に大剣を振った際の勢いに任せて身体を加速させ、そのまま裏蹴りによってゴブリンナイトの頭を粉砕する。そして地面に降り立つなり力任せに大剣を右下から左上へと袈裟斬りをしかけた。これにより残りのゴブリンナイト達は抗うすべもなく、ただ両断されその骸を晒した。
──それはまさしく一瞬の出来事であった。
「ナ、ナンダト!?」
狼狽するゴブリンのリーダー、いや─ゴブリンロード。その直後──
「敵を前にして油断してンじゃねぇよ!」
ブォンッ
「・・・・・・エ?」
ドチャッ
一閃。
横薙ぎに振るわれた大剣は、容易くゴブリンロードの太い首を断ち切った。
驚愕の表情をし、その大きな濁った瞳を見開いた容貌はまさしく化け物と呼ぶに相応しいものであった。
「っふぅ。さて、どうすっかなぁコレは」
見下ろしたその眼に映るソレは、見るも無惨な姿形をしていた。
自らの身体を庇ったのだろう、腕は大きく腫れ上がり、足は曲がってはいけない方へと曲がり、更に片足の指が無かった。胴体は無事なところなどどこにも見当たらない。あるのはどす黒くなってどれ程の暴力を受けたのかを物語る痣だけだった。辛うじて顔にはそこまで損傷が見当たらなかったが、頭からは夥しい量の血が流れているのがわかる。
──一刻の猶予もないな。
少し逡巡した後、手早く応急処置を済ませソレを肩に担ぐ。同じ様に少し離れたところにゴブリンの亡骸に紛れていたもうひとつのソレを担ごうとするが──
「・・・チッ、ダメか」
かつておっさんと呼ばれていたソレは既に事切れていた。肩に担いでいるソレと見比べてみると、ほとんど同じだがこちらは顔が、喋ることも見ることも出来ないほどに腫れていた。凹凸の激しさから推測すると、顔の骨が折れるほどの衝撃を味わったのだろう。
「・・・すまない」
そう討人は小さく、だが確かに強く思いを込め呟くと、懐から純白の布を取りだし顔であろう部分に優しく被せる。そして唱えた。
「『土の理よ、我が言に宿れ、落穴』」
ドゴンッ
突然地面に大きく穿たれたかのような大きな穴が空いた。そこに優しく遺体を運ぶと更に別の呪を唱える。
「『火の理よ、我が言に宿れ、葬火』」
すると、遺体を入れた穴から突如煌めく炎が発生した。その炎は瞬時に遺体を焼きつくし、対象が無くなると、なにもなかったかのように忽然と消えた。
その後に手を合わせ、暫し祈った後素早く立ち上がり、
「──さて、行くか」
辛うじて息のあるソレを担ぎ直し、己の侵入してきた穴から素早く脱出する。
「『空の理よ、我が言に宿れ、転移』」
ゴブリンの巣から脱出した討人はそう唱えると、身体が陽炎のように揺らぎ、かと思えばいつの間にかその姿は無くなっていた。
いかがでしたか?書いてて自分でビックリしたんですが、未だに主人公の名前が出てきませんw
一応もう決まってはいるんですが、そろそろだそうかしら………
というわけで、どこで主人公の名前が出るかを始め、もう少しお付き合いくださいませ。