緑鬼の戯れ
3話目です。勢いで二話の後に直ぐ書きました。少し短いですが、楽しんでください。
後ろを振り返るとそこには──
約100体はいるであろう緑の体のゴブリン共がそこにはいた。
その中から、他のゴブリンとは違う装いをした大柄なゴブリンが前に出て、未だに立ち上がることができずにいた俺を睨めつけ、
「ヨウヤクミツケタゾォ!ニンゲン!」
そのあまりにも大きな声に洞窟が大きく震えた。
間近でソイツを確認した俺は、一切動けなくなった。
──これが蛇に睨まれたカエルと云うやつか。
最初に出会ったゴブリンとは違う、圧倒的な威圧感を持つゴブリン。恐らくこのゴブリン共のリーダーなのだろう。
俺の身体が動かない代わりに頭が要らぬことを考え始めていたので、何とか頭を振って考えていた内容を振り払う。
と、そこで俺が立つことが出来ないことに気が付いたのか、
「マサカオマエタテナイノカァ?」
明らかに嘲笑の混じった声でこちらに話しかけてきた。
「チッ、そ、そんなわけねぇだろう!」
俺の足を見ればこんな見え透いた嘘は誰にでも分かるだろう。ゴブリンのリーダーもそれを理解しているのか、
「グフフフ、ソウカァ?ソレナラバハヤクニゲナケレバ、オマエモコウナッテシマウゾォ?オイ、ツレテコイ!!」
声を荒らげ、別のゴブリンに命令するとゴブリンの群れが割れ、そこからナニかを引きずっているゴブリンが出てきた。
「──う!?」
近くまで来て気付いた。その何かは人の形をしていた。そして俺はソレに見覚えがあった。
「お、おっさん……!?」
そのナニかは、一人で一目散に逃亡し、とっくに逃げたと思っていたおっさんだった。
おっさんは顔は腫れ、服は破れ、全身に青痣をつくり、もはや無事な箇所などどこにもなかった。
「ヴ、ヴヴォ、アオ………」
満足に喋ることも出来ないのだろう。くぐもった呻き声しか聞こえてこなかった。
「う、うあ……ひっ!」
俺の口からは上手く言葉が出てこなかった。それほどにおっさんの状態は俺に衝撃を与えていたのだ。
「オマエモハヤクニゲナイトナァ?コウナルゾォ?グッヒャッヒャッヒャア!!」
俺はその言葉を瞬時に理解せざるを得なかった。
立ち上がることの出来ない足を地面に押し付け、足全体を身体を押し上げるようにして動かし、前に進む。その際に腕を前に出し地面に腕を固定し、腕に身体を引き付けるように前に出して進む。大体匍匐前進をがむしゃらに行ったような感じだ。
普通に歩くよりも遅いその前進の仕方が滑稽に見えていたのかゴブリン共は嗤っていた。
「ホォラオイツクゾォ?ハヤクニゲナイトナァ?ツカマッチャウゾォ?グッヒャッヒャッヒャ!」
煽るような足取りで態々俺の爪先の直ぐ傍に足を下ろす。
ズン ズン ズンッ ドズンッ
グシャッ
「!?ウギャアアァァア!!」
不意に足の指を潰したような痛みが走る。
「アレェ?ドコニイッチャッタンダロウナァ?ハヤクサガシテツカマエナイトネェ?」
ドズンッ!
グシャッ
「ガアアッァァアアア!!」
無事だったもう片方の足指も潰された。
──いてぇ!いてぇよ!畜生め!
足が痛い!だが歩みを止めたら──
ゴスンッ
「いづっ!」 「ウガッ!」 「うぇあっ!」
ガツンッ! ドスッ!
背中、頭部、脇腹。
次々に襲い来る痛み。既に頭からは血が滴り、背中と脇腹は大きく腫れていた。痛みで身体が静止する。
ガンッ バコッ ゴスッ ドスッ バキッ
どこにどんな痛みが来ているのかは、もう既に判別がつかなかった。強靭な怪力で殴られ続けたせいで意識が朦朧とする。
「アレェ?ナニカアタルカトオモッタラコンナトコロニイタノォ?キヅカナカッタナァ?グッヒャッヒャッヒャ!」
──ガキの虐めかよ……
段々身体からちからが抜けていく。
重いからだに鞭を打ち、何とか視線を後ろに向けてみる。
辛うじて映し出された視界には、嗤いながら手に持つ大きな棍棒を振りかぶるゴブリンのリーダーが見える。振りかぶった棍棒がゆっくりと降り下ろされるのを見て、
──ああ、死んだな。
そこまで確認してやっとのことで開けていた瞼をおろし、俺は意識を手放した。
どうでしょうか。合格点もらえますかね?w
一応続きは早めに出そうと思っております。まだまだ拙い日本語なので、どんどん駄目なところはご指摘くださいませ。
ですが、唯一作者の心を全力でへし折るような内容はやめてください、マジで。w
ではでは、次話でお会いしましょう!