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双剣勇者誕生秘話(仮)  作者: シンカイ
2/5

闇の中の逃走劇

第二話目です。スマホで執筆してるので、投稿スピードは遅くなるかもです。ね、ネタはまだあるんだから!か、勘違いしないでよね!

……取り敢えずお楽しみください。(^^;

「うっ……いつっ」


俺は薄暗い洞窟の中で目を覚ました。


──頭がいてぇ。


俺はどうしてこんな場所にいるんだろう?一度頭の中を整理してみようと思う。


俺は確か街道で出会ったローブの人と一緒にいたんだ。そして道案内をしてもらっていた。そして近道をすると言ってどんどん先行していき、立ち止まったと思ったら──


「うあああああ!!っつ……!」


そうだ、あのローブの人がおぞましい異形に変わった時に後頭部を鈍器で殴られたような痛みが──


「お、おい静かにしてくれよ!あいつらが来ちまうだろ!」


そこまで思い出していたとき、若干怯えの含まれた男の声が聞こえた。薄暗い暗闇の中に目を凝らすと数人の人影が確認できた。どうやらその中の一人が俺に声をかけてきたらしい。


「あ、す、すみません」


慌てて謝罪した俺に対して男は、少し強めの口調で


「き、気を付けろよ!お、俺はまだ死にたくないんだ!」


というなりそっぽを向いた。

お前の声の方が大きいぞって言ってやりたい──。


そう心で呟いていると、男は俺の謝罪に少しだけ安堵したのか、フゥッと息を吐いた。


そんなやり取りをしているうちに、暗闇に慣れたのかボンヤリとしか確認できなかった人影が段々と見えてきた。


年若い女性が2名と十にも満たないであろう少女に若い男と少し全体的にふくよかな男性だった。


先程の声から察するに俺に注意したのはどうやらふくよかな男性らしい。


随分とちぐはぐな構成だな──。


「──ん?」


ふと俺は気づいた。全員の足に足枷がはまっていることに。自分の足も見ると俺の足にもはまっていた。今まで足を動かさなかったので気が付かなかった。


足を少しだけ動かしてみる。


ジャラッ ジャララッ


──随分とぶっとい鎖だな、結構重い。


自力で解錠は無理そうだ。だが、歩いて引きずる程度ならできる重さだ。


「!?は、始まったぁ!」


何かに気付いたらしいふくよかな、


──いちいちふくよかとか言うの面倒くさいな、もうおっさんでいいや。


おっさんは再び怯えだした。今度は周りの人も怯えているのが見てとれる。


ふと、遠くの室内で木霊するような何かが聞こえた。これは──悲鳴か?


じっと息を潜めて耳を澄ます。


「─たすけ──れ!たの─、もう─るして─れぇ!」


狂ったように叫び続ける男の声。かすかに聞こえるだけだが、間違いなく悲鳴だろう。それに伴い僅かにだが何かを強く打つ音も聞こえる。


「─もう──て!許し─!おね──!」


また1つ、今度は別の方角から声が聞こえた。今度は女の声。泣き続けて枯れたのであろう声で何度も何度も許しを乞うている。更に人の声では無い何かが会話しているような声も、かすかにだが聞こえてくる。


俺は、あまりにも日常からかけ離れた声に思わず耳を塞いだ。


──聞きたくねぇ!なんだよこれ!?何がどーなってんだよ!?


もうこれ以上聞きたくない。俺はさらに耳に当てた両手に強く力をいれ、固く目をつむる。



とても長い時間そうしていた気がした。


ふと顔を上げた。皆いつの間にか俺と同じようなことをしている。おっさんに至っては歯をガチガチ言わせ、何事かを呟いている。少しだけ耳を澄ませてみると、


「何故俺がこんな目に遭う?俺はこんなところにいるべき人間じゃないはずだ!そうだあいつのせいだ、あいつのせいで俺はこんなことになったんだ!畜生、殺す、アイツもその知り合いも、全員やってやる……ブツブツ…」


呪詛のような言葉を延々と繰り返し呟いていた。段々エスカレートしていく内容に、思わずまた耳を塞ごうとするが──


──ン ─ツン ゴツン


その時、音がした。


その音は段々と近付いてきていた。


それは足音だった。その音からして間違いなく人ではないナニかの。


その音を聞いたのは恐らく俺だけだ。周りの人達は一心不乱に目を、耳を、口をふさいでいて、気付いている様子がなかった。


段々と近づいてくる音から逃げるようにして俺は、思わず洞窟の暗闇の奥へ奥へと全身を押し込むように移動した。それこそ無我夢中で──。


バァン!!


唐突に間近から鳴った大音量の音に身体を震わせた。どうやら扉を乱暴に開いた音のようだ。


その音によって流石に異変に気づいた人達は一斉に音のした方へと目を向けた。俺も同様に入ってきた奴等を見た。


呼吸が一時的に止まった気がした。


俺達の見たそいつの風体は緑の体に伸びた爪、黄ばんだ牙に醜悪な顔。洞窟内に入ってきたとき、そいつ自身が持った松明に自らの身体が照らされ、迫力が増していた。


その姿はその光景を見た人の恐怖を掻き立てるのに充分だった。


「ひゃああああ!!」

「ひっ」

「キャアアアア!!」

「イヤアアアア!!」

「ウアァ……!!」


一斉に悲鳴があがった。そして悲鳴をあげようとしたのは俺も同じだった。


「────。」


俺は声がでなかった。明らかに人ではない。だが、人の形をしている異形の怪物に怯えて。


足が震える。立っていられなくなりそうな位に。手が震える。自分の意思で止められないほどに。鼓動が早くなる。それこそ早鐘の如く。


「オラ!オマエラ、サッサトデテコイ!」


聞こえた声にハッとする。この声は──!


視線を素早くそちらに向ける。そこには──


「オ?ヤットメガサメタヨウダナ?マヌケヤロウガ!」


俺を騙した異形がそこにいた。表情がいまいち読めない風貌のヤツだが俺を嗤っているのは声で分かった。そしてそれを認識したと同時に沸々と怒りが湧いてきた。


思えばことの発端はコイツに出会ってからだ。そのせいで俺は騙され、コイツにホイホイついていき、殴られここに連れてこられた。

──コイツだけは絶対にぶん殴る!


俺は拳を固く握りしめ駆け出した。


「お前に会わなけりゃ……!」


「アン?」


漆黒の暗闇を振り切るように飛び出した俺は足枷の鎖の重さを感じさせない速さで異形に迫り──


「クソッたれがああぁぁあぁぁぁ!!」


「!?ガヒュッ」


渾身の一撃を寸分違わず異形の黄ばんだ剥き出しの目玉に叩き込んだ。


すると、拳が接触した瞬間俺の拳が刹那、強く発光した気がした。


振り抜いた拳の威力に飛ばされた異形の体は、狭い通路の壁に叩きつけられるといった現象を数回繰り返した後、最後に当たった壁で停止し、その身体がずるずると滑り落ち、体を反らせたような体勢で停止した。


幾ばくかの静寂に辺りが包まれた。人は目の前の光景に唖然とし、緑の化物はそこから動くことができずにいた。


だが、一番驚いているのは俺だろう。


一矢報いることが出来ればと攻撃したのに結果、その対象となった異形はどうなったかといえば。


剥き出しの目玉は打撃の衝撃で力強く踏まれた果実のように肉片となり飛散し、何本か体の至るところから生えていた腕は全てひしゃげていた。


──よえぇ……


これが率直な俺の感想だった。


いや、だって弱くない?一撃だよ?ワンパンだよ?弱すぎだろ!何これ!?


俺は他の人と同じく呆然としていた。すると、一足先に我に帰った緑の化物は──


「ギッ、クソッ!」


そう言うなりもときた場所から一目散に走っていき、やがてその姿は見えなくなった。


そこからそう時間の経たないうちに我にかえった一番幼い少女が、


「す、スゴいです!シャドウアイを一撃で倒すなんて!しかも素手で!」


と、俺に賛辞を述べた。


「え、ええそうですよ!僕も初めて見ました!スゴいですよ!」


「そうね!ほんとにスゴいわ!」


と次々に少女に同調した青年と女性が俺に賛辞を送った。


すると、焦りの混じる声で、


「お、おい!悠長にそんなことしてる場合か!あのゴブリンは仲間を呼びに行ったんだ!そうなったら今度は2体なんかじゃないぞ、何十匹ものゴブリンが襲いに来るんだ!ああ…今度こそ…、俺はおしまいだぁ!!」


おっさんがそういうと俺に賛辞を送っていた奴等は一気に顔が青ざめた。青年に至っては青どころじゃなく真っ白になっている。


「じゃ、じゃあここから一刻も早く離れよう!鍵も空いてるし!」


そう俺が促すと、


「言われんでもそうするわ!このド阿呆が!」


おっさんは俺にそう悪態をつき、真っ先に我先にと駆け出した。


──はぁ?なんだよあのおっさん!ムカつくわぁ!


そう考えていたのが顔に出ていたのか青年が、


「あの人はああいう人なんです。自分の働いた悪事を人のせいにしたり、突然殴ってきたり。ここにいるのだって、僕を囮にして自分だけ助かろうとした挙げ句、巡回のゴブリンに捕まってここに連れてこられたんです!ホントに最低な人ですよ!」


そう説明してくれた。と、それよりも──


「それより、俺たちも早くここから移動しないと!緑の─ゴブリン?が来る前に!」


そう俺が促すと少女たちと青年は大きく頷き走り出す。全員が部屋から出たのを確認して俺も駆け出す。さっきは感じなかったのに、今は足枷の存在が明確に認識される。思ったよりも遥かに邪魔だ。



そんなことを考えながら前方の四つの背中を追いかける。四人も足枷に足をとられているのかスピードがなかなかでない。


なかなか思うように走れないせいで段々と焦りが募る。


──そもそも道とか皆わかってんのか?


ふと出てきた疑問を意識した瞬間、足と足枷が絡んで──


「うおっ!?」


──転倒する。


「くっそんのやろ!」


慌てて立ち上がろうとするが足に疲労が来ていたのかうまく立ち上がることができない。足枷のせいでかなり無理な体勢で走っていたからだろうか。足はピクピクと痙攣を繰り返し、誰が見ても限界が来ていることがわかる。


前の四人は後ろで俺が転倒していることを知らないのか、いや、分かっていたとしても止まらないだろう。立ち上がろうとしてる間にも四つの背中はどんどん遠くなっていく。


そして──


『「「「ミツケタゾ!ニンゲンドモメ!」」」』


──絶望を告げる咆哮にも似た、声が聞こえた。






いかがでしょうか?私は一応納得して投稿してますが、未だに日本語を扱えきれている気がまるでしないので、スッゴい不安です。なので、改善しなければならない箇所はたくさんあると思います。よろしければ、是非私の至らぬところを感想などでご指摘くださいませ。

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