始まりの始まり
人生初投稿作品です。この作品ですら何かが足りない…気もしますが一生懸命執筆しました。
拙い物語ではありますが、どうぞよろしくお願いします。
気がつくと俺はそこにいた。
目の前に広がっているのは草原、それもかなり広い。
気候はとても穏やかで、俺の頬を撫でるように優しく風が吹いている。時間さえあればこの場で寝転がり、昼寝するのも悪くないだろう。
だが。俺はそんな贅沢な時間にはありつけない。そろそろ思考が現実に引き戻される。
「ここ、どこだよ……。」
そう、俺にはここがどこか分からない。さらに付け加えると、俺はここに来る以前のことさえも分からなくなっていた。
分かっているのは自分の名前だけ。それ以外は何も分からない。
俺はどこにいて何をしていたかなどもっての外、友人がいたか、家族がいたか、それも分からない。
だが俺は、意外と冷静だった。自分でも驚くほどに。
「でもなぁ、流石にそろそろ何かしら行動起こさないと不味いよなぁ…」
視線を前方から左右へキョロキョロと動かす。
すると遠目にではあるが道らしきものを視認することができた。
「アレは道…で良いんだよな?」
誰に問うているのかは知らんが何となく声にだす。
「先ずはあそこまで行ってみようかね」
と、また声に出して歩きだす。
遠目に見えたものの歩き出してからさほどかからずに道に到着した。そしてその道の脇に木で出来た看板を見て、これは街道だということを理解した。だが──
『アヴィルの街← →キーファの森』
この表示に文句はない。無いんだが……
「──どっち?」
看板は通常ならば道と平行に立っているはずだ。だが、俺の目の前にある看板は道と垂直に、延長線上で十字になるように立っていたのだ。
「マジか…看板なのに街と森の名前の把握だけにしか使えないとか……マジかぁー!」
──どうしよう。あれ?リアルにピンチじゃね?地味に。
暫く悩んで俺は自分で考えるのを放棄した。そして、
──誰かが通るまで待とう。
色々丸投げした。まだ見ぬ人に。
誰かが通るまでとは言ったものの暇なので太陽に向かって石を投げたり、その場でゴロゴロしたりして暇潰ししていた。
──あれ?俺って端から見れば只の奇人じゃね?
一瞬そんな考えがよぎったのだが、まぁ幸いにも人はいなかったのでよしとしよう。
そこからまた、暫くの時間が経った。
「流石に腹、減ったなぁ…」
そういって腹をさするがいくらさすったところで腹がふくれるわけもない。
辺りはだんだん暗くなり、赤く燃える太陽に隠れ、空には僅かではあるが星の明かりが出てきていた。
「キレーだなぁ」
現実逃避にも等しい夜空の観察をしていたとき、視界の隅に何かが映った。
何かが見えたその方向に視線を投げると、そこにはボロボロの薄汚い赤茶けたローブを身に纏った人がいた。
「もし──」
「やあっときたああぁっ!!」
「ヒィッ!?」
こちらに話を掛けようとした人は突然の大声にビックリし、小さく悲鳴をあげた。
「あー、申し訳ない、ちょっと道がわからなかった時にあなたが来てくれたのでやっと助かると思って、つい声をあげてしまいました」
「ア、アーそうダッタんデスカ」
どことなく滑舌や発音がおかしいこの御仁に簡単に説明をすると、納得したのかホッと息を吐いた。
「そレナらチョウドいイ、ワタしもマチニ帰ルところダッタんですヨ。よけレバごイッショしまセンカ?」
「え、いいんですか!?ありがとうございます!」
──良かった。やっと街に行ける!
俺は体にたまった疲労を吐き出すかのように息を吐いた。
「ジャあイキマシょうカ」
「あ、はい!」
そう言うなりその人は歩きだしたので、俺は慌ててその人に追従する。その際にその人の顔を確認しようとしたんだが、フードを深く被っていたので、拝見することは出来なかった。
そのまま会話することもなく、ひたすら道なりに歩いていたのだがローブの人は突然、
「ア、ここヲ行くとチカミちナンですよ」
と、いうなり突然道をそれて小脇の茂みに入っていった。見失うと間違いなく野垂れ死ぬと確信した俺は慌ててその背中を追って茂みに入っていった。
さらに進むと周りは茂みどころか「どこのジャングルだよ!」って言うくらい見たことの無い植物や蔓、倒れた樹木しか見えなくなった。
──ん、あれ?どうしてこっちを見てるんだ?
「イキなりマタオおごえダダシテどうしタンデスか?」
どうやら知らないうちに声を出していたらしい。だが!それより──
「いや、それよりまだつかないんですか?」
「いヤ、もう着キマシたよ?──ジゴクニナ!」
そう言うなりローブの人の背中がボコボコと盛り上ったかと思うと、張力によって引っ張られたローブがビリリィ!と派手な音を出して裂けていく。
そして出てきたのは黒い影のような体に黄ばんだ剥き出しの目玉が1つくっついた異形の生物だった。
俺は──動けなかった。身体中を恐怖という名の絶望が瞬く間に駆け巡り、身体が幾重の固い鎖で縛られたかの様に硬直していた。
怖い、怖い、怖い、怖い!
「だ、誰か──!」
ゴン───。
後頭部から響いたこの音を聞いた直後、俺は気を失った。
こんな感じですがいかがでしたでしょうか。
一応続けさせては頂きますので、何卒お付き合いお願いいたします。