旧校舎
高校を舞台としたオカルト風味な物語です。
筆者が昭和の人間の為、昭和の香り漂う設定になってしまってます。
旧校舎の二階、突き当たりにある部屋。
長机の上には所狭しとノートや書類が散乱している。
「それじゃあ、もういいかな?質問はあるかい?」
先輩の声が響いた。
午後からずっとここで先輩達から、俺達は引き継ぎを受けている。
根っからの体育会系の俺は限界に近づいていたので、ほっとして息を吐き出す。
隣に座っている親友の知也が俺の脇腹を突っついてニヤッとする。
「アサヒ、終わるみたいだな、良かったな」
俺は心底ほっとした顔になってたみたいだ。
「大体終わったみたいだし、打ち上げにしよっか!」
女の先輩の声を合図に長机の上の資料を片付けると、教室の隅に置いてあったコンビニの袋からポテチやジュースを出した。
紙コップにジュースを注いで、新旧の生徒会執行部8人は
「かんぱーい!」
と紙コップを高く掲げた。
ここ詠里高校は創立43年。
新校舎にも生徒会室があるんだが、引き継ぎの時は旧校舎の生徒会室(…というか資料室?)
で行うのが慣例らしい。
俺の隣にいるのが親友の露草知也黒縁眼鏡の優等生だ。高校に入ってから知り合ったんだが、妙にウマがあって今では俺の一番の親友だ。
本人は背が低いのを気にしているみたいだが、女子からはカワイー!と言われている。
4月にしては暑い日のせいか喉が乾いて一気に炭酸飲料を飲み干す。
「あれ、飲み物無くなっちまったな」
先輩の1人が言った。
ここからコンビニまでは、グラウンドを抜けて行っても結構距離がある。
「先輩、俺行って来ます!」
俺は数時間も座りっぱなしだったし、腹ごなしにひとっ走りしようと立ち上がった。
「おう!緋山行ってくれるか?」
先輩が財布から千円札を取り出して俺に渡した。
「行って来ます!」
俺は元気よく旧校舎を飛び出した。