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片想い  作者:
片想い
9/30

5.日向side

あれ?今お姉ちゃんがいた気がしたんだけど…

寝ぼけてたのかな?


「って、片付けるの忘れてたぁ~!」


あぶないあぶない、こんなのお姉ちゃんに見られたらお楽しみが台無しよ!

私は急いで散らかった本たちを片付け始めた。


「っふう~、これでよし!

明日は学校帰りに毛糸を買ってこないと!」

「ただいま~。ごめんね遅くなって。

ちゃちゃっとご飯にしちゃうから!」


片付けが終わるころ、お母さんが帰ってきた。

私はご飯ができるまでテレビを見ることにした。


「できたよ~♪って、あれ?光は?」

「え?知らないけど」

「たぶん部屋にいるから、日向呼んできてくれる?」

「はーい」


コンコン


「お姉ちゃ~ん、ご飯できたよー」


いつもならすぐに出てくるのに、返事がない。


「お姉ちゃん?いないの?」


不振に思ってドアを開ける。

部屋は真っ暗だ。

いないのかと思って部屋を出ようとしたとき、ベッドの方でなにかがもぞっと動いた。


「お姉ちゃん?」


近寄ってみると、お姉ちゃんがベッドで寝ていた。


「え…」


お姉ちゃんの頬には涙の筋がいくつもついていて、泣きつかれて寝てしまった、という感じだった。


「お姉ちゃん…」


その寝顔が痛々しくて、悲しくなった。

お姉ちゃんのサラサラの髪をなでる。

いつも冷静で強気のお姉ちゃんが泣くなんて…

いったい何がそんなにお姉ちゃんを苦しめたんだろう…

悔しい……

なにも知らずにクリスマスで浮かれてた自分が。

お姉ちゃんに相談してもらえなかった頼りない自分が。


「うぅ…日向……?」


お姉ちゃんが目を覚ます。

しばらくぼーっとしていたが、やがて何かを思い出したように苦しそうな顔になった。


「あ、ごめんね起こしちゃって。

ご飯ができたから呼びにきたんだけど…食べる?」

「……お腹空いてないからいい。」

「そっか、わかった。」


立ち上がろうとすると、服がちょっと重い。


「?」


よく見ると、お姉ちゃんが私の服の裾をきゅっと握っていた。


「お姉ちゃん?どうしたの?」

「あのね、日向…」

「うん」

「…っ、やっぱなんでもない」


お姉ちゃんは悲しそうな目で私を見ていたけれど、結局なにも言わずに力なく笑って私の服を離した。


今、なにを言いかけたんだろう…

でも、もうなにも言ってくれなそうだったので私は大人しく部屋を出た。

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