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片想い  作者:
片想い
27/30

14.日向side

どうしてこんなことになったんだろう…


ついさっき葵に振られた。

なにがいけなかったのかも分からず、泣いてすがったが葵はいっさい聞き入れようとしなかった。


なんで…?

私には葵しかいないのに…葵だけなのに…

葵なしでこれからどうやって生きていけというんだろう?

葵がいなければ私は……ひとりぼっちだ



「死んじゃおっかな」


ふと頭に浮かんだ考えを口に出してみると、それはとても魅力的な案に思えた。


そう。葵に捨てられた今、生きていてもなんの意味もないんだ。

死ぬことよりも、このまま生きていくことのほうが何倍も恐ろしく感じる。


私はふらふらと立ち上がり、机の引き出しからカッターを取り出すと、その刃を出して自分の手首にあてがってみた。



「やめてっ!」



ひとおもいに切り裂こうとした時、いつの間に来たのかお姉ちゃんからカッターを取り上げられた。


「っ!返してよ!もう生きてたくなんかないの!」


そう言ってカッターを取り返そうとすると、お姉ちゃんの目から涙が零れた。


「どうして…そんなこと言うの…?」


「どうだっていいでしょ、そんなこと!お姉ちゃんには関係ない!」

「関係あるわよ!日向に死なれたら私っ…生きていけない」


その一言に私の中でなにかが爆発した。


「いい加減なこと言わないで!私のことなんて、どうでもいいくせに!それで私が自殺をやめたら、また彼氏のところに行くんでしょ?私を一人にするんでしょ?だったら…中途半端に優しくしないで!気安く死ぬななんて言わないでよ!」


もう自分が何を言っているのかも分からない。

ただ ただ 頭の中がぐちゃぐちゃで、お姉ちゃんに向かって叫ぶように言葉をぶつけた。


ぎゅっ…


怒鳴り散らす私を、お姉ちゃんの腕が抱きしめた。

私は驚いてなにも言えなくなってしまう。


「いかないよ。私はどこにも行かない。ずっと日向の側にいるから。」


優しく語りかけるように


「絶対に日向をひとりになんかしない。」


お姉ちゃんの声の優しさに、抱きしめられてる腕の温かさに、私のトゲトゲした心は溶かされていった。

いつの間にか私も泣いていて。


「ほんとうに、ずっと側にいてくれるの…?」

「うん、絶対。というか、側にいさせて下さい。」


そう言うと、お姉ちゃんは私を抱きしめる腕をゆるめて私を真っ直ぐ見つめ、


「あなたが、好きだから」


私の唇に優しくキスした。

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