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13.日向side
「日向」
「なに?葵」
「キスして」
「…いいよ」
目を瞑って、葵の唇にキスをする。
まぶたの裏にお姉ちゃんの顔が浮かんで胸の奥がズキズキ痛むけど、無視してもう一回キスをした。
「…っん、ねえ、私のこと好き?」
「うん、好きだよ。葵」
「嬉しい…大好きよ、日向」
あのクリスマスの日以来、私はお姉ちゃんを忘れようと躍起になっていた。
葵にキスをしたり、好きだよと言ったりするたびに傷は深くなっていく気がしたけど、それを埋めるようにまたキスを繰り返して…抜け出せない泥沼にはまっていった。
葵とこのまま関係を続けても、自分が傷付くだけってことは私にもわかっている。
けれどどんなに傷が深くなろうとも、私は葵から離れることはできなかった。
葵だけが、私を愛してくれて、この痛みをわかってくれる…
「私、もう葵なしじゃ生きていけないわ…」
そう言って抱きしめた葵は温かくて。
このぬくもりをお姉ちゃんの温度だと自分に言い聞かせて、そうやって錯覚していられるうちは、私は生きていられるのだろう…




