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片想い  作者:
片想い
23/30

12.光side

今日はクリスマス。

毎年 日向と過ごしてきたけれど、今年は佐々木と二人で過ごす。


朝、いつもより早起きして身支度をしていると、ご機嫌な日向が飛び込んできた。


「お姉ちゃ~ん!メリークリスマス!」


いつもりよりオシャレしていてすごく可愛い。

まぁ、これから告白しにいくんだから当然か…

毎年やっているとおり、日向がご馳走を食べにいこうと誘ってくるけれど、私はそろそろ佐々木との約束の時間なので


「あ、ごめんね。今年のクリスマスは彼氏とすごす約束してるから」


と言うと、


「え、えええええええええっ!?」


想像以上のリアクションにこっちまで驚いてしまう。


「え………彼氏って…ほ、ほんとに?」


日向は信じられないというような顔をしているが、そんなことで嘘をつくわけない。


「お姉ちゃん、その人のこと…好きなの?」


…なんでそんなこと聞くのよ。

日向に嘘はつきたくないのに。

でも、ここではっきり言わないと…


「あたりまえでしょう、彼氏なんだから」


そう言ったとたん、日向はショックを受けたように走り去っていった。


なに?なんでそんな反応するの?

あなたには好きな人がいるんでしょう?

そんな反応されたら……期待してしまうじゃない…


ふと、足元を見ると、日向が落としたであろう包みが落ちていた。

綺麗にラッピングされていて、日向が編んでいたマフラーが透けて見えた。


「っ!?」


日向は、なぜこれを持って私の部屋に来たのだろう…?

私に渡そうとしていた…?

いやまさか、そんなはずない。日向は葵ちゃんのためにこれを作ったんだ。

でもそれは私の憶測で、日向に直接聞いたわけではないし…


わずかに芽生えた希望に、私はいても立ってもいられず、佐々木との約束など忘れて走り出したのだった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~




さんざん走り回って、やっと日向を見つけたのに、私は一歩も動けないでいた。


動けるわけなかった。


「う…そ……」


だってやっと見つけた日向は、

葵ちゃんとキスしていたんだから…




なんなのよ……

あんなに私を惑わせて、期待させておいて…

やっぱり葵ちゃんなんじゃない…


結局葵ちゃんを選ぶなら、なんであんな顔したの…?




ブーッ、ブーッ、


ふいに私のポケットで携帯が振動しだす。

見ると、佐々木からの着信が数件溜まっていた。


そうだ、私は佐々木を選んだんじゃないか。早く行こう。私を愛してくれる人のところへ。

辛い思いをしなくていい場所へ…





私は日向たちに背を向けると、佐々木との待ち合わせ場所へ急いだ。

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