12.光side
今日はクリスマス。
毎年 日向と過ごしてきたけれど、今年は佐々木と二人で過ごす。
朝、いつもより早起きして身支度をしていると、ご機嫌な日向が飛び込んできた。
「お姉ちゃ~ん!メリークリスマス!」
いつもりよりオシャレしていてすごく可愛い。
まぁ、これから告白しにいくんだから当然か…
毎年やっているとおり、日向がご馳走を食べにいこうと誘ってくるけれど、私はそろそろ佐々木との約束の時間なので
「あ、ごめんね。今年のクリスマスは彼氏とすごす約束してるから」
と言うと、
「え、えええええええええっ!?」
想像以上のリアクションにこっちまで驚いてしまう。
「え………彼氏って…ほ、ほんとに?」
日向は信じられないというような顔をしているが、そんなことで嘘をつくわけない。
「お姉ちゃん、その人のこと…好きなの?」
…なんでそんなこと聞くのよ。
日向に嘘はつきたくないのに。
でも、ここではっきり言わないと…
「あたりまえでしょう、彼氏なんだから」
そう言ったとたん、日向はショックを受けたように走り去っていった。
なに?なんでそんな反応するの?
あなたには好きな人がいるんでしょう?
そんな反応されたら……期待してしまうじゃない…
ふと、足元を見ると、日向が落としたであろう包みが落ちていた。
綺麗にラッピングされていて、日向が編んでいたマフラーが透けて見えた。
「っ!?」
日向は、なぜこれを持って私の部屋に来たのだろう…?
私に渡そうとしていた…?
いやまさか、そんなはずない。日向は葵ちゃんのためにこれを作ったんだ。
でもそれは私の憶測で、日向に直接聞いたわけではないし…
わずかに芽生えた希望に、私はいても立ってもいられず、佐々木との約束など忘れて走り出したのだった。
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さんざん走り回って、やっと日向を見つけたのに、私は一歩も動けないでいた。
動けるわけなかった。
「う…そ……」
だってやっと見つけた日向は、
葵ちゃんとキスしていたんだから…
なんなのよ……
あんなに私を惑わせて、期待させておいて…
やっぱり葵ちゃんなんじゃない…
結局葵ちゃんを選ぶなら、なんであんな顔したの…?
ブーッ、ブーッ、
ふいに私のポケットで携帯が振動しだす。
見ると、佐々木からの着信が数件溜まっていた。
そうだ、私は佐々木を選んだんじゃないか。早く行こう。私を愛してくれる人のところへ。
辛い思いをしなくていい場所へ…
私は日向たちに背を向けると、佐々木との待ち合わせ場所へ急いだ。




