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片想い  作者:
片想い
16/30

8.光side

昨日はあまり眠れなかった。

目が覚めると日向はまだ寝ていて、珍しく私が日向を起こしてこいと母に頼まれた。


日向の部屋に入ると、机の上のマフラーが目に留まった。


「っ……」


日向は好きなことに関しては集中力がすごいから、一晩中編んでいたのだろう。

疲れた、でも幸せそうな顔でぐっすり眠っていた。


「日向にこんなに一生懸命編んでもらえるなんて、幸せな人もいたものね。」


羨ましいな…


日向にこんなに愛されて、その人はちゃんと日向を受け入れるんだろうか?

こんなに恵まれていながら、日向を振ったりする贅沢なやつは、私は許せないだろう。

私はこんなに日向を好きなのに、どんなに願っても日向が私を振り向くことなんてないのだから。


「うぅ~ん」


日向が目を覚ましかけている。

そうだ、私は日向を起こしにきたんだった。


「日向、日向起きない。学校遅れるわよ」


やりきれない気持ちを振り切って、私は日向を起こしにかかった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「じゃ、また後でね」


そう言って日向が手を振る。

私も手を振って教室に戻ろうとしたとき、


「ひぃ~なたぁ~♪」

「うわ!」


日向の背後から、葵ちゃんが思いっきり抱きつく。

日向はそれに抗議しつつも、あまり嫌がってる感じはしない。


…しっかりと手を繋いでるし。


そんな二人のイチャつきを見て、呆然として動けないでいると、


「あ、光先輩、おはようごさいまーす」


葵ちゃんが挨拶してきた。

まるで私の存在なんか忘れていたかのように。


「え?」


日向まで、お姉ちゃんまだいたの?とでも言うように驚いた声をあげる。


完全に二人の世界だったのね…。


「え、えぇおはよう、葵ちゃん。

日向も、またね。」


私はいたたまれなくなって、逃げるように教室へ向かった。

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