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片想い  作者:
片想い
14/30

7.光side

ホームルームが終わり、廊下を歩いていたら、向こうのほうに日向が見えた。

声を掛けようとしたけど、日向は逃げるように帰ってしまった。


隣の子としっかり手を繋いで…。


「え…」


どうなってるの?

いつもなら日向のほうから寄ってくるのに…

さっきの子は確か…日向の中学のころからの友達の葵ちゃん?

いつもなら友達よりも私の方に来るのに…

彼女は“特別”ってこと?


「おーい、榊。大場先生がお呼びだぞー。」


もんもんと考えこんでいた私の意識が、佐々木の声で呼び戻される。


「あ、うん。」


急いで大場先生のところに行き、頼まれた仕事をしているうちに、私はさっきのモヤモヤを忘れていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~




仕事を終え、家に帰ってきたら日向はまだ帰ってないようだった。

どっかで寄り道でもしてるのかなと最初はあまり気にとめなかった


…んだけど、


「遅い」


時計を見ると、もうすぐ9時。

いつもならこんなに遅くまで出歩かないのに。


「…まだ葵ちゃんといるのかしら」


昼間のモヤモヤが、また沸き上がってくる。

前々から仲が良いなとは思っていたけど

日向は葵ちゃんをどう思っているんだろう?

二人は見る度にくっついてジャレているし、

日向と話していると葵ちゃんの名前が頻繁に出てくる。

もしかしたら、日向が受験の時あんなに頑張っていたのも、葵ちゃんと離れたくないからだったのかもしれない…

考えれば考えるほど、悪いほうに落ちていく。


日向の好きな人は……

葵ちゃん?



「ただいま~!」


日向が上機嫌で帰ってきた。

…葵ちゃんといたから?


「…おかえり」


不機嫌なのがわかるようにあからさまに言ってみる。

こうすれば日向は私をほうっておけないと分かっているから。

なにかあった?と聞いてくるのを待っていると、日向は私の横を素通りしてさっさと部屋へと入ってしまった。


「え…?」


最初、なにが起きたかわからなかった。

この状況を認めることができなかった。

でもだんだん状況が飲み込めてきて


「なん…で?」


気付けば私の頬を涙がつたっていた。


日向には、私よりも優先するものができたんだ…

私よりもずっと大切なものが。

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