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片想い  作者:
片想い
13/30

7.日向side

やっと退屈な授業が終わり、ホームルームも担任の話をてきとうに聞き流し、いざ、毛糸を買いに行こう!

…としたら、葵に呼び止められた。


「日向~、今日久しぶりに部活休みだから、これから遊びにいこー!」


うぅ…。一刻も早くマフラー作りに取りかかりたいのに…。

でもまあ帰宅部で毎日暇な私と違って陸上部の葵は、めったにない休みなんだし…ちょっとくらい、付き合ってあげないと可哀想かな?


「いいけど、ちょっと寄りたいところがあるから、寄ってからでいい?」

「ん?いいよー」

「じゃ、行こっか」


二人並んで教室を出る。


「あ!あれ光先輩じゃない?」


突然、葵が廊下の向こうを指差した。

別に、これからお姉ちゃんの毛糸を選びに行くなんてバレるわけじゃないのに、お姉ちゃんに見つかりたくなくて


「葵!急ご!」

「えっ?ちょ、早いって日向~!」


葵の手をとると、早足で学校を後にした。


「ところで、日向が寄りたいところってどこ?」

「あ、うん。ちょっと手芸屋さんに用があって」


そう言うと葵は心底驚いたような顔で


「手芸!?日向が!?」


できるの?不器用なのに?というかどういう風の吹き回し?と失礼なことを連発してくる。


「うん、今年はクリスマスプレゼント頑張ってみようと思って。」


怒りたいのを抑えて言うと、


「おっ、なになにぃ~?

もしかして日向ちゃん、好きな人でもできた?」


ニヤニヤしながら聞いてきた。

…どうしよう。私は嘘が下手だから、違うって言ってもすぐバレそう。

でも葵は信用できるし、相手がお姉ちゃんだって言わなければ大丈夫かな?

うーん…


私が何も言わないでいると、それを肯定ととった葵は、ニヤニヤをひっこめて慌てた感じになった。


「え、ちょ、冗談で言ったんだけど…

え?ほんとに好きな人できたの?」

「…うん、まあね。」


正直に答えると、葵はなぜだか固まってしまった。


「葵?どうしたの?」

「あ…あぁ、ごめん。びっくりしちゃって…」

「もぅ、びっくりしすぎでしょ。

ほら、もうすぐお店着くよ。」

「う、うん…」

「?」


それから葵は急に口数が減って、なにか考え込んでるようだった。

まあ、そのおかげで集中して良い毛糸を選ぶことができたけれど。


毛糸を選び終えるころには葵も元に戻っていて、二人で色んなお店を見て回ったりして楽しんで家に帰った。


「ただいま~!」

「…おかえり」


上機嫌で家に帰ると、なぜかお姉ちゃんが不機嫌だった。

いつもならどうしたの?としつこく聞くところだけど、今は一分一秒でも惜しい。

なにせもう12月に入ってしまって、クリスマスまで時間がない!

私は不機嫌なお姉ちゃんを置いて部屋へ駆け込むと、さっそくマフラー作りにとりかかった。

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