6.日向side
次の日の朝、お姉ちゃんを起こしにいくと、お姉ちゃんはいつも通りのお姉ちゃんだった。
「ん…おはよ、日向」
昨日のことなんてなかったみたいに。
「おはよう、お姉ちゃん」
だから、ほんとは昨日なにがあったのか聞きたかったけど、私もいつも通りに接した。
お姉ちゃんにとっては、思い出したくないことなのかもしれないし…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ひ~なたちゃん♪今日も可愛いねぇ~」
いきなり後ろから抱きつかれる。
「葵…今日も朝からテンション高いね」
「日向に会えたからだよ~♪」
「はは…」
「ん~?なんか日向元気ない?」
そんなことないよと言うと、葵は心配そうにしていたが、すぐになにか思い出したようでものすごい勢いで話はじめた。
「てかさぁ!聞いた!?
光先輩また告られたんだってね~!
しかも今回はあの森先輩だよ!?」
突然お姉ちゃんの話が出てきてちょっと戸惑う。
しかも相手はうちの学校ではかなり有名な人気者の森先輩。
そーいうのに疎い私でも素敵な人だなと思うくらい、かっこいい人。
「へぇ…。それで、どうなったの?」
お姉ちゃんがなんて返事をしたのかものすごい気になるけれど、努めて冷静に聞く。
「それがね、森先輩でもだめだったみたい。また振ったんだって」
もったいないよねぇ~!とかなんとか騒ぐ葵の声を聞きながら、密かにほっとする。
そっか、お姉ちゃん断ったんだ。よかった。
だって、告白する前から失恋なんて、悲しすぎるもんね。
…でも同時に、不安も大きくなる。
森先輩でもダメって、私なんかが告白しても相手にされないよね。
「ほんと、羨ましいわぁ~、あの森先輩を振ってもまだまだ男選び放題よね。光先輩は。」
「そうだね、美人だもんねお姉ちゃん」
「そんなこと言って日向、あんただって整った顔してるじゃない。」
「へ?そう?」
そんなこと初めて言われた。
いつもみんなお姉ちゃんばかりを誉めるから。
私たちは姉妹だけど全然似ていないから。
お姉ちゃんは知的でクールな印象の文句のつけようのない美人。
でも私はのんびりとした顔で美人というよりは可愛い系だねとよく言われる。
だから、葵からそんなことを言われてすごく驚いてしまった。
「ちょ、驚きすぎでしょ。
どんだけ自分に自信ないのよ。」
葵は呆れて、でも真面目な顔で言う。
「光先輩は綺麗だと思うけど、私は日向の顔のほうが好きよ。」
「あ…りがとう。」
たぶん今の私の顔は真っ赤だと思う。
そんなこと真剣に言われたら照れてしまうにきまってる。
いつもふざけてるくせに、こーゆう不意打ちはズルいと思う。
…あれ?
葵のほうに目をやると、なぜか葵も真っ赤だった。
それを見たら、照れてるのは私だけじゃないんだと思ってちょっと落ち着いた。
「そんなに照れるなら言わなきゃいいのに」
さっきの仕返しにからかってやったら
「なっ…!?照れてなんかないわよ!日向のバカ!」
思った以上に動揺して、可愛い反応が返ってきた。
告白する前から失恋なんて、悲しすぎるもんね
↑まさに光のことですね
主に光ばっかりが切ない思いしてますが、後々日向にも切なさを味あわせるつもりです。




