5.光side
さら…さら…
なんだろう?心地いい…。
頭を誰かに撫でられてる…?
「うぅ…日向……?」
目を開けると、見慣れた顔。
愛しい妹の顔があった。
その顔に手をのばそうとして、さっきまでのことを思い出した。
とたんに、悲しさが込み上げてくる。
「あ、ごめんね起こしちゃって。
ご飯ができたから呼びにきたんだけど…食べる?」
どこか遠慮がちに聞いてくる日向。
でも今はご飯なんて食べる気分じゃない。
日向にそのことを伝えると、
「そっか、わかった。」
と言って部屋を出ていこうとする。
「お姉ちゃん?どうしたの?」
……え?
気がつけば私は日向の服の裾をつかんで引き留めていた。
日向が心配そうに顔を覗きこんでくる。
あぁ、愛おしい。
この子が他の人のものになるなんて……
嫌だ。気が狂いそうだ。
……言ってしまおうか。この気持ちを。
日向はどういう反応をするだろう?
気持ち悪がるかな?
いや、優しい日向のことだ。戸惑っても受け入れてくれるかもしれない。
「あのね、日向…」
そこまで言ってはっとした。
私は何を言おうとしたんだ!
こんな私の一方的な想いを押しつけて、日向を困らせてどうする?
日向は好きな人と幸せになるべきだろう?
自分の手で、大切な人の幸せを壊すなんて堪えられない。
「…っ、やっぱなんでもない」
不安そうな日向を安心させるために、頑張って微笑む。
うまく笑えてるかな?私…
「はぁ~…」
日向が出ていった後、大きな溜め息がでた。
「最低だ、私……」




