level 19 ボクっ子姫とクルセウスさんとミンミ女史
あ~、暇だなあ・・・
大魔王討伐隊とトンカツ王子が帰ってくるまで現実世界には戻れないし。
アリアちゃんも横ですることがなくてゴロゴロしている。
「ね~ 翼、城下町行かない?あたし突然ここに来たから町には行ったことないんだ」
「ボクも公園しか行ったことないよ?でも二人で行っていいのかな?」
「じゃあメルヴィルさんに聞いてみる?」
「あ、そうだね。そうしよう」
「駄目です。」
いきなりダメ出しですか?メルヴィルさま・・・
「姫さまが誘拐でもされたらどうするんですか?城下町はわりと危険なんですよ、ましてや姫さまたちだけで外出なんてもってのほかです。」
「じゃあ誰か他にいたらいいんですか?」
「まあ、それならば・・・でも私はこれからでかけなくてはならないし、ソナタは魔法隊の遠征で明日までいないし、マルチは闇の会に行ってるし・・・困ったわ・・・」
闇の会ってなんですか!?
「あ、そうだわ。姫さま親衛隊を使いましょう、今まで姫さまがいなかったから国税の無駄遣いって言われてたから・・・」
無駄遣いはダメ、ぜったい。
「翼の親衛隊?そんなのあったんですか?」
「ええ、国内の精鋭中の精鋭を選りすぐったスペシャリストたちですわ。紹介がてら格闘場にいきましょう。」
格闘場に行くとたくさんの男の人がトレーニングしてた。うわー、カッコいいなあ・・・ってボクはそういう趣味はないから!
「クルセウス、ここへ。」
「はい、お呼びですか?メルヴィルさま。」
うわっ、このひといつの間にこんな近くに!?
「彼はクルセウス、姫さま親衛隊長です。」
「御初に御目にかかります、クルセウス・フォン・スピアーズです。お見知り置きを。」
クルセウスさんは歳は20代後半、渋いイケメンで俳優さんみたい・・・ボクもこういう大人の男になりたいな・・・って今無理じゃん!!
「姫さまが城下町に行かれるのですがお供を・・・」
「はい、私めがこの命に変えましても姫さまを必ず御守り致します。」
「いえ、貴方ではなく他の者に。貴方には私に着いてもらいます。」
メルヴィルさまがそういったとたんにクルセウスさんの顔色が代わった。
「え~!?やだやだやだ!!姫さまがいい!!姫さまと遊びたいよ~!!」
と、駄々をこねる子供みたいに床に寝転がりジタバタし始めた。
なに、この人・・・
「はあ・・・クルセウスは腕は確かなのですが昔の戦闘の後遺症でなにかあると子供に返ってしまうのです。」
「残念だ・・・」「うん、残念だね」
「はっ!?あ、いや・・・失礼しました。わかりました、では別の者を着けましょう。私めの姪がこの度親衛隊になりましたのでその者を着けます。」
「お呼びですか?叔父様」
うわっ!?いつの間に?クルセウスさんより速いよ!!
「うむ、姫さまが城下町に行かれるのでお前に護衛をまかせる。」
姪っ子さんは歳は16、7くらいの髪の毛は艶々して肩まであって眼鏡をしている賢そうな人だった。
「姫さま、この者が私めの姪、
ミンミ・ソシタラ・ドォウナルです。まだ新参ですが腕は私めが保証します。」
そしたらどうなる?どうなるんだろう?
「み、ミンミ・ソシタラ・ドォウナルです、よよ、宜しくお願い申し上げそうろうです!!」
すっごく緊張してるよ!?
「御覧の通り人見知りが激しくプレッシャーに弱いですが人間的にまだまだです。」
全然ダメじゃん!しかもアンタはもっとダメだよ!!
「が、がんばりますのれ、宜しくでふっ!!」
噛んじゃった。文字にすると読みにくいだろうなあ・・・
三人で城下町にやってきた。ファンタジー世界の街って感じだ。
「こ、けの、この辺りは城下町の中でも繁華街で主な名産品は王さま饅頭です!」
食べたくないかな、それ・・・
「ねえ、ミンミさん。そんなに緊張しなくていいよ?!」
「うん、友達になろうよ♪」
「そ、そをんなぁ、姫さまとお友だちなんておそれ多いです。」
「あ、そうだ。」
ボクはミンミさんの右腕を掴みアリアちゃんは左腕を掴んだ。
「え?ええ?えええ!?」
「ほら、ずっとこうしてれば緊張もとけるかなって。」
「よ、余計に緊張してしまいますぅ!」
あ、倒れちゃった。
ボクたちはこの間来た公園でミンミさんが目が覚めるまで待つことにした。
「ねえ、この子何処かでみたことあると思ってたんだけどよく翼が行く中央図書館の女史の人に似てない?」
「あ~、水谷さんね。似てるかも」
「じゃあミンミ女史って呼んじゃお♪」
ミンミ女史かあ、なんか合ってるかも
「あ・・・姫さま?アリアさま・・・」
「気がついた?良かった。起きれる?」
「はい、すみません・・・またやっちゃったんだ、ウチ・・・」
ミンミ女史、自分のことウチって言うんだ。なんか意外・・・
「いつもそうなんです・・・頑張ろうとすると余計緊張しちゃって、身体が動かなくなるんです。せっかく姫さまの護衛を任されたのに・・・」
「肩の力を抜いてさ、どうせなら楽しんでやればいいんじゃない?あたしはいつもそうしてるよ♪」
「アリアちゃんは肩の力抜きすぎだけどね。」
「翼~!?」
「うわっ、ゴメン!アリアちゃん!頭グリグリするの止めて!!」
「ふふっ・・・」
よかった、やっと笑ってくれた。
『あれがこの国の姫、勇者か・・・』
『油断しない方がいいわよ、スケルトンで様子をみましょ・・・』