第32話 告白?
ファミレスに着いた俺たちはドリンクバーとポテトを頼んで、特に意味もないような世間話を続けた。
あの会談の時から今までの出来事、思ったことを主に俺が聞かされる方だったが、それはそれで面白かった。
「でね、校長先生に少しお願いして同じクラスにしてもらおうようにしてもらったんだ」
こんな一般生徒には伝えてはいけないような裏話まで言い出す始末。
だけど、その話をしている有希の顔はなんとなく可愛いと思えるのだから俺も病気だろう。
そんな病気も発症して、気がついてから時間が経ってしまっている。もちろん、悪い意味で。
「それでね。あ、ジュース無くなった。取りに行ってこようかなぁ」
「なぁ」
「ん?俊吾くんもいるの?」
「俺、お前のこと好きかも」
たぶん、こんなことをいう雰囲気でも姿勢でもない。
周りはガヤガヤとしていて、俺は頬杖を付きながら、ポテトに手を伸ばしている。
きっと、人が息を吐く吸うと同じように無意識に出たんだと思う。
有希はぽかーんとした顔で俺の顔を見て、言葉の意味にたどり着くと俺の空になったコップを手に取る。
「…あ、うん。そう、私はオレンジジュースと炭酸系を混ぜるのが」
「そうやって話をそらす奴は嫌われるぞ」
「えーっと……冗談だよね?」
「冗談だと思うか?」
「うん。だってポテト食べてるし、頬杖付いてるし」
「あ~…悪い。改めて言ったほうがいいか?」
「……それは困るけど。でも本気?」
「まぁ割と」
「そういうのって雰囲気とかそういうのが大事なんじゃ」
「そうだろうな。でもまぁ仕方ない、言っちゃったんだし」
「でも…私はその…」
「あぁ~、困ったような事言っておいてあれだけど、困ったような顔するのやめてほしい」
「やめてほしいって…」
「今ここで答えを欲しいとは思ってない。それにあまり聞きたくないってのもある」
「……ごめんなさい。今は友達としか思えない」
「聞きたくないっていったんだけど」
「だって、こんな状況で言うんだもん」
「お前、意外とヒドイやつだよな。まぁちょっとホッとしてる自分もいるけど」
「ホッとしてるって…それはそれで酷くない?」
「お互い様だろ。俺、メロンジュースな」
「告白して振られてもなお、コキ使う…」
ほら、早く行け!とばかりに指で空のコップを指差したあと、ドリンクバーの場所を指差す。
有希はそれを見て大きなため息を吐きながら、2つのコップを持ってドリンクバーの方へ向かった。




