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せいしゅん!  作者: もひぷる
第2章
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第25話 2年生!

 新学期。

 俺は今日から2年生になる。

 高校の2年生と言えば高校生活の中でも自由の多い年だ。

 なぜなら、1年生のように上を気にすることも少なくなり、3年生のように受験という人生の分岐点を気にするわけでもない。

 それに、高校生活最大のイベントである修学旅行というのがある。

 つまり、2年生のクラスは高校生活の思い出における重要な役割を果たしているのだ。


 俺はクラス表が書かれている掲示板の所へ向かう。

 意外とこういうのには興味はある。

 クラス変えとか興味無さそうに見られる事が多いが、新しいクラスで誰も友達が居ないってのは誰でも嫌な環境だろう。

 そりゃ、しばらくすれば友達はできるだろうが、一から作るという労力はかなり面倒なことこの上ない。

 だから、なるべく知り合いが多いクラスが良いのだ。


「よ!川島!俺と同じクラスだな!」


 1年の時に同じクラスだった奴が嬉しそうに話しかけてくる。

 こうやって俺がクラス表を見る前にネタばれをしてくる奴がいるが…まぁそれも嬉しい。

 同じクラスになった連中たちといつも通り騒ぎながら、自分たちの教室に入る。

 そして、友達の友達と紹介された奴と友達になり、今年も良いクラスメイトに出会えたと喜ぶ。

 しかし、一人の人間が教室に入ってくると雰囲気が一気に変わる。

 西条有希だ。


 教室の中でガヤガヤと騒いでいた連中たちが一瞬黙る。

 そして、すぐに自分の席へと座る有希の所へ集まっていく。


「おはよう、西条さん!」

「おはようございます!西条さん!」


 相変わらず、有希はこの学校でかなりの人気を誇っている。

 まぁ半分以上は西条家という看板に怖れている部分もあるのだろうけど。

 有希自身もそれは理解しているだろう。

 あいつはバカじゃない。


「いやぁ、今日も西条さんは綺麗だな」

「いつも通りだろ」

「はぁぁ、川島は何も分かっていない。西条さんはいつも綺麗なんだ」

「その眼は止めろ気持ち悪い」

「そういえば、気になってたんだけど聞いていいか?」

「なんだよ」

「3学期に入ってからお前と西条さん、会話してなくない?」


 不思議そうな顔をしながら俺に問いかけてくる。

 そう、俺と有希はあの時から学校での会話が無くなった。いや、訂正しよう。

 有希との関係が崩壊した。

 別に俺が有希に対する態度を大きく変えたつもりは無い。

 そもそも、あいつが話かけてくることがほとんどだった。

 だから、有希が俺に話かけてこない時点で会話なんてないのだ。

 そんなことをこのクラスメイトに説明するのは面倒だから適当に話を流し、別の話題で盛り上げる。


 そう、俺と有希の関係は無くなったのだ。

 俺にモヤモヤ感だけを残して。


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