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第22話-B  高校1年生 ~ゴールデンウィーク ― 充電~

ゴールデンウィーク中、

二人はさらに二日、一緒に過ごした。


桂花は、自分の家にいるとストレスを感じることを、由奈はわかっている。

だから、由奈の家に誘った。


由奈の祖父母の家で過ごすのが、桂花は落ち着くと、よく言っている。


祖父母の家は由奈の家と隣接していて、渡り廊下で繋がっている。


古い日本家屋で、季節ごとの設えがよく映える。

おばあさんがそれを丁寧に整えていて、桂花はそれを見るのも楽しみにしている。


「おじゃまします」


祖父母の家に入ると、玄関先には、季節の花の菖蒲が活けられていた。


「桂花ちゃん、いらっしゃい。高校に入っても由奈ちゃんと仲良くしてくれて、ありがとう」


丁寧な話し方で迎えてくれた由奈のおばあさん。

その笑顔に、桂花は安心感を覚えた。


座敷に通されると、桂花は部屋を見回した。

端午の節句の頃らしく、畳の座敷の床の間には五月人形が据えられ、兜の金具が障子越しの光を静かに受けている。


外から入る風が、かすかに次の季節の匂いを運んできた。


桂花は、思わず口にした。


「やっぱり、ここ、雰囲気いいなぁ」


由奈は、桂花に座布団を勧めながら微笑む。


「ふふ。桂花にそう言ってもらえると、きっと、おばあちゃん、喜ぶ」


二人が腰を下ろすと、おばあさんがお茶とお茶菓子を出してくれた。


「おばあちゃん、ありがとう」


「いただきます。この部屋、いつ見てもいいなって思います」


桂花は、由奈のおばあさんと話すのも好きなのだ。


「そう、ありがとう。桂花ちゃんみたいな若い人に褒めてもらえるなんて、嬉しいわ」


由奈は、桂花と祖母の会話を、ニコニコしながら見ていた。


一緒に遊んだ二日間、二人は由奈の祖父母の家に入り浸り、昼食をもらい、おやつを食べながら話したり、ゲームをしたりして過ごした。


由奈は、桂花といる間、また会えなくなることなんて気にならなくなるほど、楽しく、穏やかに過ごしていた。


それと同時に、高校に通って桂花と違う時間を過ごしていたことが、嘘みたいに感じられるほどだった。


気持ちが中学生の頃、もしかしたら、小学生の頃に戻ってしまっていたのかもしれない。


二人は身を寄せ合うように、小学生のひとときを過ごした。

それは、クラスメイトからの攻撃に対する防衛であったと同時に、安心と救いの時間でもあり、その時なりの温かさがあったのだと思う。


あれは、あってほしくない状況だったけれど、そこで生まれた二人の時間には、確かな温度があったのだろう。


だから――

ゴールデンウィークが終われば、また桂花に会えなくなる。


それを思うと、由奈の胸はきゅっと締めつけられた。


そして、あっという間にゴールデンウィークは終わってしまった。


(学校に行けば、勉強もあるし、友達もいる)


そう思っても、ゴールデンウィーク明けの数日は、どうしても元気が出なかった。


裕香が心配そうに声をかけてくれて、少し申し訳なくなる。


(裕香ちゃんも、私と一緒にいようとしてくれてる)


こんなふうに心配をかけるわけにはいかない。


桂花とは、人目に付かない場所を探して身を置いていた。

裕香は、その反対にいた人だろう。


だから、少し引け目を感じるが、今、自分の生活の中にいるのは裕香の方だ。


一週間ほど経って、由奈は少しずつ、また学校生活を楽しめるようになった。

クラスも落ち着いてきて、これまで話したことのなかった子とも、自然に会話をするようになる。


(やっぱり、このクラスは居心地がいいんだろうな)


由奈は、これまで通っていた学校と比べて、

今の環境は、最初から馴染みやすい場所だと感じていた。

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